負けはしたが好リード
近年で最も衝撃的なトレードだろう。
DeNAの
山本祐大とソフトバンクの
尾形崇斗、
井上朋也の1対2の交換トレード成立が5月12日に両球団から発表された。山本は翌13日に福岡市内のみずほペイペイドームで入団会見を開き、同日に開催された西武戦に「六番・捕手」で先発出場。1対2で敗れたが、好リードで6投手の良さを引き出した。
山本祐はDeNAの中心選手だった。ドラフト9位で入団すると、2023年に71試合の出場で打率.277、3本塁打、16打点。守備でも盗塁阻止率.455と強肩を発揮し、バッテリーを組む機会が多かった同期入団の
東克樹と共に最優秀バッテリー賞に選出された。24年は108試合出場で打率.291、5本塁打、37打点をマークし、ゴールデン・グラブ賞、ベストナイン賞を受賞。捕手で両賞を同じシーズンで受賞したのは、1998年の
谷繁元信以来、球団史上26年ぶりの快挙だった。
「出るからには先頭に立って」
昨年も104試合に出場して正捕手として活躍。
相川亮二監督が就任した今年に向け、週刊ベースボールのコラムで熱い思いを語っていた。
「秋季練習からは亮二(相川亮二)さんが監督となり、新体制でチームが動き始めました。これまでもバッテリーコーチやディフェンスチーフコーチとして一緒にやってきて、自分たちのことをよく見てくださっていて、『今の延長でやっていけばいい』と言ってくれています。亮二さんが掲げる野球の一つに『当たり前のことをする』というものがあります。自分自身、これまで出場させてもらえていたのも、そうした部分を評価していただいていたからだと感じているので、その評価に見合う選手であることを示していくことが大切だと思っています」
「また、チームとしてもバッテリーを中心とした守備力の強化を最大の課題に掲げています。やるべきことをしっかりやれれば失点は減りますし、それができればバッティングも上向いていくと考えています。バッテリーがチームを引っ張っていく、というメッセージとして受け取り、出るからには先頭に立ってやっていきたいと思っています。そうなるとキャッチャーの責任はさらに大きくなりますが、キャッチャーはピッチャーと違い、自分次第で1年143試合にフル出場することも可能です。現代のプロ野球では全試合出場するキャッチャーはほとんどいませんが、それを目指し、信頼されるよう努力していきたいと考えています。普段は具体的な数字を目標にすることはあまりありませんが、あえて挙げるのであれば143試合出場です。そして、いつも支えてくださる方々や応援してくださるファンの皆さんに喜んでいただける姿を見られるよう、力を尽くしたいと思っています」
新天地で活躍するための準備にフォーカス
今年は開幕から先発マスクをかぶり、28試合に出場。
牧秀悟、
筒香嘉智が故障で離脱している期間に攻守の中心選手としてチームを牽引していた。電撃トレードが発表された12日の
中日戦(横浜)は強い絆で結ばれた東克樹の登板日だった。本来ならバッテリーを組むはずだったが背広を着て会見に臨み、「東さんは僕が一軍にいさせてもらえるきっかけを作ってくれた人。今日東さんが先発で、東さんと一緒にバッテリーを組めないのは、グってきましたけど……」と語った。
DeNAへの愛着は強いが、野球人生は続く。東は6回2安打無失点の快投で今季4勝目をマークしたが、試合を見なかった。「自分でも切り替えが早いなと。言っちゃ悪いですけど(東はソフトバンクに)いないので。パ・リーグの3試合を追っていち早く環境に慣れることが大事だなと思ったので、そっちを見ていました」と新天地で活躍するための準備にフォーカスした。
リーグ3連覇を狙うソフトバンクで、山本祐に掛かる期待は大きい。球界を代表する捕手に飛躍して黄金世代の構築へ。福岡の地で新たな野球人生がスタートする。
写真=BBM