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快進撃のヤクルトに救世主 「抜群の制球力誇る精密機械」は

 

リーグ1位タイの5勝


今季は5月20日現在、リーグ1位タイの5勝をマークしている松本


 昨年は最下位に沈み、今年の下馬評が決して高いと言えないヤクルトだったが、貯金9で首位争いを繰り広げている。その原動力になっているのがともにリーグトップタイの5勝をマークしている山野太一松本健吾だ。

 2人の共通点は抜群の制球力だ。左腕の山野は5月6日の巨人戦(東京ドーム)で6回5安打無失点の好投でドラフト1位左腕の竹丸和幸に投げ勝った試合が印象深い。野球評論家の伊原春樹氏は「ストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボールなど豊富な球種を誇るが、制球力が素晴らしい。制球力を表す指標K/BBはリーグ4位の7.20で抜群の安定感を誇る。4回無死一塁の場面では四番・ダルベックを2ボールから外角へのワンシームで遊ゴロ併殺打に打ち取った。ワンシームはシュートしながら沈む軌道でバットの芯を外す変化球だ。指1本だけを縫い目にかけて投げるので投手出身者に聞くと、それだけにコントロールをつけるのが非常に難しいという。しかし、山野は見事に制球している。どの球種を投げるときも腕の振りが素晴らしいので、打者にとってストレートと変化球の見分けもつきづらいだろう。今後、どこまで成績を伸ばすか楽しみだ」と週刊ベースボールのコラムで、高度な投球術を評価していた。

 松本も負けていない。17日の中日戦(バンテリン)に先発登板して7回4安打1失点で5勝目をマーク。走者を背負っても投球の精度が落ちず、打たせて取る投球で凡打の山を築く。5試合連続でクオリティースタート(先発投手が6回以上を投げ自責3以下)を達成し、ゲームメーク能力の高さを見せている。直球、フォーク、カットボール、スライダー、カーブ、シュートと多彩な変化球を操り、打者に的を絞らせない。7試合登板で5勝0敗、防御率2.08と大ブレークの予感を漂わせている。

鮮烈だったデビュー登板


 村上宗隆(ホワイトソックス)、清宮幸太郎(日本ハム)と同学年で、高校野球ファンの間では知られた存在だった。東海大菅生高3年夏に西東京決勝で清宮を擁する早実を破って甲子園へ。1学年下の戸田懐生(韓国・NCダイノス)との2枚看板で同校史上初のベスト4進出に大きく貢献した。その後は亜大を経て社会人野球・トヨタ自動車へ。完成度を高めてドラフト2位でヤクルトに入団した。

 デビュー登板は鮮烈だった。24年5月15日の広島戦(松山)で、プロ初登板初先発で完封勝利。新人がデビュー戦で無四球、2ケタ奪三振、完封勝利を達成したのは史上初の快挙だった。プライベートでは昨年1月に結婚。「奥さんの手料理では渋いんですけど、みぞれ煮が好きです。鶏肉と鮭と大根おろしとかが入っていて、食べたいときに僕がリクエストします。家にはあまり野球を持ち帰らないようにして、オンオフの切り替えをしっかりするようにしています。もちろん、自分のデータや映像、試合を見ることはしますが、なるべく野球の話はしないですね。奥さんはどんなときもいつもと変わらずいてくれるのでありがたい。一軍に上がるときは僕よりも緊張していました。今は支えてもらっている立場なので、しっかり結果で恩返ししたいというか、本当に頑張らないといけないと思います」と責任感が一層強くなった。

「本当に貴重な経験になりました」


 チームは昨季最下位に低迷したが、23試合の救援登板で防御率1.87と結果を残したことで手ごたえをつかんだ部分があっただろう。今年は侍ジャパンのサポートメンバーに選出され、2月27日の壮行試合・中日戦(バンテリン)に登板して1回2奪三振無失点の好投。球界を代表する右腕の伊藤大海(日本ハム)から登板後の体のケアについて助言を受けたことを明かし、「本当に貴重な経験になりました。いろいろお話もさせていただいて、空気感もそうですし、取り組んでいることや姿勢を見て学べることがすごくありました。行って良かったなと」と大きな刺激を受けた。

 春先から充実した戦いぶりが続いているが、シーズンはまだ3分の1を消化していない。ヤクルトがセ・リーグの主役になるために、松本は山野と共に白星を積み重ねていきたい。

写真=BBM
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