勝利の方程式を担う右腕

5月21日現在、14試合に登板して奪三振率12.83をマークしている篠原
西武の2年目右腕・
篠原響が「勝利の方程式」として好調なチームのブルペンを支えている。
中継ぎに指名された今季は、ここまで14試合(13回1/3)に登板し1勝1敗10ホールド、防御率0.68、19奪三振と圧倒的な数字を残し、守護神・
岩城颯空につなぐセットアッパーとしてブレーク。高卒2年目、キャリアわずか16試合とは思えない落ち着き払ったマウンドさばきでライオンズの未来を明るく照らしている。
5月19日の
ロッテ戦(前橋)では2点リードの8回に登板。
小川龍成、
西川史礁、
上田希由翔の3人をわずか11球で三者凡退、2奪三振と圧倒し岩城へと勝利のバ
トンをつないだ。
今季は3度目の登板となった4月10日のロッテ戦(県営大宮)の9回にクローザー登板を果たすも、名手・
源田壮亮の適時失策も絡んで2/3回3安打4失点で初黒星を喫した。続く19日の
日本ハム戦(エスコンF)でもリリーフに失敗(2/3回2安打1失点)していただけに、その後の立て直し、無失点が続く10試合(1勝8ホールド)の内容と結果は圧巻だ。
篠原は、失点した4月の2試合についてこう語っていた。
「投げて思ったのは、やっぱり終盤にかけて点差が詰まっている状況なので、バッターも1回から打席を重ねてしっかりとゲームに入ってきている。その中で自分が7回とかに出て行って、入り(球)でやられているっていうところが悪かったところだと思う」
試合の流れの中で、狙いを絞り込んでいる打者に対して、安易に意図のないストレートを投げ込む危険性を反省していた。篠原は「入り方についてはストレートだけじゃなかったり、いろんな工夫をしながら入っていったほうがいいのかなとは思いました」とコメント。初球にストレートを投げるにしても、厳しいコースでファウル、見逃しでカウントを取るといった意図を明確にしていった。
そしてこうも続けた。「自分はストレートを狙われるピッチャーだと思う。でも自分ではストレートしかないピッチャーだとは思ってない。球種的にも(カットボールやスライダー、チェンジアップなど)いろいろ投げるボールはあるので、その選択を間違えないようにしていきたいです」。
バランスが良くなったフォーム
長年スカウトとしてチームを支え、今はファーム投手コーチとして篠原を指導している
渡辺智男コーチは篠原が3対2の9回に登板し、二死から源田の適時失策なども絡み3安打4失点と崩れた4月10日のロッテ戦をまず、こう振り返った。
「ああいう切羽詰まった場面に行っちゃうと、持っている以上の力を出さないといけないとなってしまうので、体を使い過ぎて制球がブレ出す。余分な力が入って、悪いときの篠原になってしまう」
その上で、連続無失点が続くその後10試合の改善点について、こう解説した。
「フォームのバランスが良くなった。入団してきたときから球速は出ていたんだけど、体のうねりというか、体を使い過ぎて投げていた。だからちょっとボールが(右打者の)外角に引っ掛かるところがあった。でも今はきれいなバランスで打者方向に出力を出せている。その分、球速も上がったし制球も良くなった。なおかつ一軍で経験を積んだことで、ちょっとした心の余裕ができたと思う。ストレートの球速、制球力が上がったことで変化球も生きてくるし、自分のイメージが出しやすいんだと思う」
そんな篠原はチーム、球団内で「将来のエース候補」と期待値が高い。首脳陣が今季、勝ちパターンの中継ぎを経験させているのも、もちろん将来的な狙いがあってのことだ。
これについて篠原も明確な意識を持って目の前の課題に取り組んでいる。
「やっぱり中継ぎはショートイニングなので、欲しいところで三振が取れるというのが、今の自分に求められるところだと思う。そういう奪三振能力(の向上)というところで、今年の経験を今後に生かしていければいいかなと思います」
19歳右腕にとってこの経験は今後、先発に戻ったときに生きてくる心強い「引き出し」となる。試合の要所で走者を得点圏に背負ったピンチの場面、ここで三振が欲しい局面でどう三振を取るか。こんな具体的なイメージを持ちながら、目の前のタスクと向き合っているようだ。
文=伊藤順一 写真=BBM