高校野球200年構想事業

野球振興を担当する東京都高野連・桑原理事は加盟校に「子ども向けティーボール教室・野球教室」の実施要項を説明した[写真=BBM]
東京都高野連は5月23日、都内で責任教師・監督会議を行い、加盟校の約270校の野球部関係者が出席した。年に1度、指導者が一堂に会す場。約1時間にわたり、チーム、そして生徒を預かる教員たちは真剣な表情で壇上の議題に耳を傾け、配布資料に目を通した。
東京都高野連が積極的に取り組んでいるのは「子ども向けティーボール教室・野球教室」である。日本高野連が定める「高校野球200年構想事業」の一環で、開催意図はこうある。
「野球をする機会が減る中、普及のカギになるのがボール遊びや野球に触れる機会をいかに増やしていくかです。そのため、幼稚園児や保育園児などの未就学児から小学校低学年を対象に、やわらかいボールやバットを使ったティーボールの活用を勧めます。加盟校の指導者や部員が幼稚園や保育園を訪問するなどしてティーボールで一緒に遊び、野球の楽しさを伝える事業です」
教える側も大きな学び
野球振興を担当する東京都高野連・桑原直樹理事は加盟校に実施要項を説明した。
「今年で6回目の開催になります。この間、ティーボール教室だけでなく、野球教室をしてくれる学校も増えまして、昨年度は約40校に開催していただきました。参加者を集める苦労などあるようですけれども、各会場校は工夫を凝らして取り組んでいただいております。高校生が主体になって企画運営をしている会場も増えまして、幼児だけでなく高校生にとっても良い経験になっているのではないかと感じております。『200年構想』という中で考えた時に、ティーボールや野球教室を通した普及・振興活動は、まだ始まったばかりの取り組みです。今年度は東京都から50校の参加校が開催していただければなと思っております。とにかく高校生も成長する大きな行事ですので、ぜひ皆さんご注目いただければと思います」
参加希望校は7月31日までに所定のQRコードから登録し、8月中旬には参加校が決定。同26日に実施校を対象とした説明会が行われ、11月から来年1月末までの期間で開催する。そして、2月1日までに報告書・決算報告書を提出する流れとなっている。なお、単独校でなく、複数の学校(2校以上)が協力しての開催も可となっている。高校球児は教わるだけでなく、教える側の立場に立つことも、大きな学びを得ることができる。
東京都は30校が加盟

東京都高校野球OB連盟・田代会長は今年4月に就任した[写真=BBM]
「振興・普及活動」の次は、多くの可能性が詰まった「親睦の場」。東京都高校野球OB連盟・田代政弘会長(国学院久我山高OB)からは「2026年度マスターズ甲子園東京大会」の説明があった。田代会長は今年4月、
林茂智前会長(立川高OB、現顧問)からバ
トンを継いだ。
田代会長は国学院久我山高を経て、早大で外野手としてプレー。大学同期の主将は2019年1月1日から母校・早大を指揮している
小宮山悟監督だった。卒業後は司法試験に合格し、検察官を15年務め、その後、弁護士に転身し、現在は新丸の内総合法律事務所の代表弁護士である。
「マスターズ甲子園というのは、2004年に第1回大会が
阪神甲子園球場で行われまして、今年は第23回大会が行われます。全国45都道府県から735校が参加しております。東京は2006年10月に小平高校OBチームが加盟をしたのをはじめとして今年4月現在で、30校が加盟しております。東京都高野連の加盟校は約270校ございますので、加盟率としては、約10パーセントということで、全国の会合などに行くと、東京の加盟率が非常に低いということで発破をかけられておりますので今後、加盟校が増えるように頑張っていきたいと思います」
東京大会の決勝は毎年、神宮球場で開催され、優勝校は翌年以降のマスターズ甲子園に出場する。25年度は国学院久我山高OBチームが出場し、出雲北稜高OBチーム(島根)に17対5で勝利した。26年度は11月14、15日に阪神甲子園球場で開催予定。今年は東京の出場枠がないため、25年度東京大会優勝校・東亜学園高OBチームは関東大会からの出場を目指す(優勝校がマスターズ甲子園に出場)。
野球を生涯スポーツとして
マスターズ甲子園の意義について語った。
「私の母校もこれまで2回、甲子園に出場させていただいておりますけれども、出ることも素晴らしいことですが、甲子園を目指して皆で頑張り、OB・OGが一致団結して、現役をはじめとする母校とつながりを構築したり、絆を深め、そして自己実現をするということが非常に大事です。甲子園を目指して頑張るというところに、非常に意義があるものだと思っています。人や社会との関わりが希薄化されてきていますので、このマスターズ甲子園の意義がますます大きなものになっていくのではないかと思っています。ご勤務校の卒業生からそのような声が上がった時には、ぜひ、温かい目で見守っていただき、ご協力をお願いしたいと思います」
マスターズ甲子園は普及・振興にもつながる。OB・OGが野球を生涯スポーツとして楽しむ。家族がプレーしている姿を見た子どもたちが、野球を始めるきっかけとなることも期待される。「甲子園」はいくつになっても、人の心を熱くし、一つにさせる「聖地」なのだ。
取材・文=岡本朋祐