「2ケタ勝てる力を持つ」

今季はまだ勝利を得ることができていないマラー
中日が5月23日の
広島戦(バンテ
リン)で3対5と逆転負けを喫し、今季ワーストタイの借金14に逆戻り。最下位に低迷する状況を打開するためには、白星を積み重ねるしかない。
先発陣を見ると、
大野雄大、
柳裕也、
高橋宏斗、
金丸夢斗と力のある投手がそろっている。高橋宏は7試合登板で1勝5敗、防御率3.86と本来の力を発揮しているとは言えないが、巻き返す力を十分に持っている。そして、来日2年目左腕のカイル・マラーも他球団の評価が高い投手だ。
今年は4試合登板で0勝2敗、防御率3.55だが、1イニングあたり何人の走者を出したかを表す数値を表すWHIPは0.87。他球団の打撃コーチは「昨年からいい投手だなとは思っていましたが、今年は制球が改善されてさらに打ちにくくなったイメージがあります。直球と同じ球速帯のツーシームが左打者の内角に食い込んでくるので見極めるのが難しい。カットボールも低めに決まるとなかなか打てないし、速い球に絞ると
ナックルカーブでタイミングを崩される。状態の良いときは連打でチャンスを作るのが難しい。2ケタ勝てる力を持った投手だと思いますよ」と分析する。
打線の援護に恵まれない登板
来日1年目の昨年は18試合登板で4勝9敗、防御率3.54。打線の援護に恵まれない登板が少なくなかったが、制球が浮いて痛打される場面も目立った。今年は制球力を重視して丁寧に投げようとする意図が見える。5月14日の
DeNA戦(横浜)で7回4安打無失点。201センチの長身から投げ下ろす直球、変化球がきっちり決まればなかなか打てない。打線の援護がなかったため初勝利はならなかったが、無四球と完ぺきな投球だった。
20日の
阪神戦(甲子園)でも6回まで散発2安打無失点の快投。四番・
佐藤輝明を2回は外角低めのスライダーで空振り三振、4回はナックルカーブで見逃し三振に封じ込めた。打撃でも魅せた。6回二死一塁で打席が回ってくると、
石黒佑弥の145キロ直球を振り抜き、左翼席に運ぶ来日初アーチ。衝撃の一発に甲子園がどよめいた。だが、試合後に笑顔はなかった。7点リードの7回に2点を奪われて降板。救援陣に託したが阪神打線の勢いを止められず、7-8でまさかのサヨナラ負け。マラーは7回途中5安打4失点で初白星がまたもお預けとなった。
「休みの日は街を妻と散策」
異国の地で奮闘する左腕はコンディション作りに注意を払っている。名古屋への愛着は強い。
「私が育ったテキサスも暑いですが、先日両親が日本に滞在したときに『ここは別のレベルだ』と言っていました。すごく暑いですね。夏場は体重を維持するように心掛けています。お肉が好きなのでたくさん食べています。コストコでデリバリーができるので、ひき肉を買っています。5キロくらい。冷凍で来るのですが、これをその都度、解凍して塊ごと焼いて塩を掛けて食べています。妻がアメリカに戻っているときは、1日に2、3回食べていました。1日1キロくらい食べるので5日でなくなります。おいしいし、調理しやすいし、タンパク質も豊富に入っている。まったく言うことないですね」
「休みの日は街を妻と散策しています。名古屋の栄やテレビ塔の辺りを歩いたり、地下街を巡ったりしています。名古屋の生活は快適ですね。食事は焼肉やとんかつが気に入っています。焼肉はやはり和牛がおいしい。とんかつは名古屋だとみそかつが有名ですが、私も好きです。『矢場とん』の弁当をウーバーイーツで配達してもらうこともあります。バンテリンドームのセンタービジョンの上に豚のキャラクターで『矢場とん』の広告が出ていることも、もちろん知っています。アメリカにお土産に持って帰ろうと思ったら、あの味噌だれがどれだけ必要になるか分からないですね。それくらい気に入っています」
28歳とまだまだ若く、大きな伸びしろを秘めている。チームが低迷する現状からはい上がるために、マラーの力は不可欠だ。
写真=BBM