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正捕手に返り咲きへ 崖っぷちからはい上がった「巨人の人格者」は

 

先発マスクは昨年の3試合から急増


今季は再び先発マスクをかぶる機会を増やしている大城


 巨人阪神に同一カード3連敗を喫し、貯金2で交流戦を迎える。

 エースの山崎伊織が右肩のコンディション不良で一軍登板がなく、戸郷翔征も投球フォームに試行錯誤して一軍昇格が5月にずれ込んだことを考えると、ここまでは十分な戦いと言えるだろう。ドラフト1位左腕の竹丸和幸はチームトップの5勝をマーク。田中将大井上温大、先発と救援で稼働する赤星優志が3勝を挙げている。救援陣は田中瑛斗船迫大雅中川皓太大勢ライデル・マルティネスと強固な布陣に加え、ドラフト2位の田和廉が20試合登板で防御率1.59を記録し、大きな戦力になっている。

 野手陣はプロ2年目の浦田俊輔が38試合出場で打率.235、0本塁打、9打点、9盗塁をマーク。機動力に加えて広い守備範囲で球際に強い。ユニフォームを泥だらけにして執念を見せるプレースタイルはチームに新たな風を吹き込んでいる。育成から支配下昇格した平山功太の活躍も明るい材料だ。25試合出場で打率.291、2本塁打、9打点をマーク。今月23日に「左太腿裏の肉離れ」で登録抹消となったのは痛手だが、本人は手ごたえをつかんだだろう。

 そして、見事な復活劇を見せているのが大城卓三だ。29試合出場で打率.338、4本塁打、12打点、得点圏打率.429と勝負強さが光る。トレイ・キャベッジボビー・ダルベックとともに打線の核となり、先発マスクは20試合と昨年の3試合から急増している。

ベストナイン2度獲得の実績


 大城はかつての正捕手だった。2023年に打率.281、16本塁打、55打点と自己最高の成績を残すなど2度のベストナインを受賞し、「強打の捕手」として評価が高かったが、阿部慎之助監督が就任した24年以降は出場機会を減らしていた。同学年の甲斐拓也ソフトバンクからFA移籍した昨年は入団以来自己最少の56試合出場に終わり、打率.187、3本塁打、10打点。課題は守備面だった。甲斐、小林誠司のようなリーダーシップに欠け、投手を引っ張る姿勢が希薄に見えたことが要因の一つだった。

 ただ、マイペースな一面がある大城はナインの人望は厚い。山崎は「大城さんが、僕の調子が悪いときにどうリードしていったら崩れないか、というのをすごく考えてやってくれていたし、自分の考えと合っている感じがした」と信頼を口にする。自身が試合になかなか出られない状況でも、力を発揮できずに落ち込む選手に寄り添う姿が見られた。今年は攻守でチームの要になる活躍を見せ、5月は19試合中14試合で先発マスクをかぶっている。起用されている理由は打撃が評価されているからだけではない。投手に積極的に声掛けし、配球を組み立てる際も低めに徹底したり、腕を思いっきり振る仕草を見せるなど体全体で投手に要求する。その姿が首脳陣の信頼を勝ち取っているのだろう。

「キャッチャーとしての責任感の表れ」


 捕手は特殊なポジションだ。球界を代表する捕手として活躍した野村克也氏は、阿部監督の現役時代の成長ぶりを、週刊ベースボールのコラムで言及した時があった。

「キャッチャーは、年を取れば取るほど味が出る。私もかつては、キャッチャーとしての阿部の未熟さを、再三指摘してきた。彼はキャッチャー向きの性格ではないのでは、と言ったこともあったと思う。バッティングに関しては、天才的。ゆえに『自分がここに投げられたらイヤだ』という、バッター目線でリードをしているように感じられた。味方ピッチャーの心理や、相手バッターの狙いは、二の次だった」

「それが変わってきたのは、日本シリーズを何度か経験してからだ。キャッチャーにとって、一番の成長の場は、日本シリーズ。阿部も一皮、二皮とむけていき、やがて円熟の味を発揮するかと思われた。打者心理を逆手にとったようなリードも見受けられるようになったし、日本シリーズ(2012年)で先発・澤村拓一の頭をマウンドではたいた一件も、私に言わせればキャッチャーとしての責任感の表れであった」

 試練を乗り越えた大城も捕手として円熟味が増している。交流戦でもチームのキーマンになることは間違いない。

写真=BBM
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