序盤からエンジン全開

最速147キロ。得意としているスライダーとのコンビネーションでピッチングの幅が広がっている[写真=BBM]
5月30日
東経大3-2城西大(東経大1勝)
首都大学野球2026春季リーグ・一部二部入れ替え戦1回戦。一部6位の城西大と二部で16季ぶり19度目の優勝を果たした東京経済大の入れ替え戦が行われた。15年秋以来の一部復帰を目指す東京経済大の先発マウンドを託されたのは二部の最優秀選手に選出された左腕のエース・高橋琉士(4年・桐光学園高)だった。
「今季は立ち上がりが課題だったので初回から思い切っていったのですが、チームに流れを持ってくることしか考えていませんでした」と、初回は3者三振と最高のスタート。チームに勢いを呼び込むと、2回裏には味方打線が2点を援護。連打と四球で満塁とし、二死から9番・楢本勇仁(3年・佐久長聖高)がライトへタイムリーヒット。さらに、押し出しでもう1点を追加した。
高橋は序盤から中盤にかけて快調なピッチング。強風でグラウンドの砂が舞い、たびたび試合がストップする難しいコンディションだったが「中盤まで相手打線はストレートに合っていませんでしたし、スライダーとチェンジアップを使って的を絞らせずに投げることができました」と4回まで1安打投球。5回表には二死満塁のピンチを迎えたが「流れを持っていかれないように『何が何でも抑える』という気持ちで投げていました」と一部でベストナインを受賞した石井利篤(3年・国士舘高)をスライダーで空振り三振を奪った。
その後も走者を背負ったが、動揺することなく「ピンチになることも覚悟していたので、どれだけギアを上げてコースをつくことができるかを考えていました」と思い描いた投球で切り抜けた。8回途中で降板するまで134球を投げ、7安打2失点の好投。先制してからは常にリードを保つ展開で逃げ切り、3対2で城西大を下した。
「短期決戦の初戦で、第1先発として勝利に貢献できてうれしいです」と高橋。指揮を執る飯田孝雄監督も「粘り強いピッチングで最優秀選手の実力を十分に出してくれました」と合格点を与えている。
二部優勝の立役者
1年時からリーグ戦に登板し、3年春からは先発を任されている高橋。しかし、昨秋の日本ウェルネス大戦では4回途中6失点で降板。「このままでは来季も打たれてしまう。何かを変えなくてはいけない」と感じたという。そこで、この冬に取り組んできたのがチェンジアップだ。「グッと力強く握ってしまうとスピードが落ちず、腕の振りの強さとの良いバランスを見つけるのに苦労しました」。実戦で使えるようになると、元々、得意にしていたスライダーとのコンビネーションでピッチングの幅が広がっていった。
また、トレーニングによって下半身を中心に体が大きくなり、球速も上がっている。4月の獨協大戦では自己最速の147キロをマーク。「内容も悪くなかったですし、今季のベストピッチでした」と四死球ゼロで投げ切り完投勝利を挙げた。
シーズンを振り返って、高橋本人は「エースとしてもっと結果を出したかったので納得はいっていません」と話すが、チーム最多の46イニングを投げて3勝、40奪三振で二部優勝へチームを導いている。そして、この日の入れ替え戦1回戦でも勝利投手となり、一部昇格へ王手をかけた。
「気の抜けない戦いが続きますが、戦っていくなかで強くなっていかないと一部では戦えないと思うので、明日は圧勝するくらいの気持ちでいきたい」
進路は社会人野球を志望しているが、未定とのこと。自身の未来を切り拓くためにも一部昇格を果たして、実力を示していきたい。
取材・文=大平明