チームを引っ張る気持ち

今季は守護神として復活したピッチングを見せている山崎
試練を味わった
DeNA・
山崎康晃が輝きを取り戻している。
5月28日の
オリックス戦(横浜)。2点リードの9回にマウンドに上がると、先頭打者の
紅林弘太郎に四球を許し、続く
宗佑磨にも11球粘られた末に連続四球。無死一、二塁のピンチを背負ったが、ここで崩れない。
山中稜真を遊ゴロ併殺打に仕留めると、
野口智哉をスライダーで投ゴロに仕留めて13セーブ目をマーク。りりしい表情を崩さずにナインとハイタッチを交わした。
新人の2015年に37セーブをマークし、18、19年と2年連続最多セーブのタイトルを獲得したが、ここ数年は「不動の守護神」という立ち位置ではなくなっていた。昨年はプロ入り後最少の17試合登板で0勝3敗1セーブ1ホールド、防御率4.20。直球に本来のキレがないため、伝家の宝刀のツーシームを見極められる。カウントを苦しくして甘く入った球を痛打されるケースが目立ち、ファームで過ごす時間が長かった。
今年から就任した
相川亮二監督は復活に期待を込めていた。就任会見で期待する選手を聞かれた際、「牧(
牧秀悟)であったり、筒香(
筒香嘉智)、投手は東(
東克樹)、山崎康晃に中心になってやってもらわないと」と奮起を促した。2月の春季キャンプでは第1クール最終日に、指揮官自らブルペン捕手を務めて球を受けた。「ヤス、カモン!」「いい球だよ!」。力強いミット音が鳴り響く。「やっぱり僕がこのチームを引っ張らないとという強い気持ちを持っています。キャンプではブルペンでも相川さんが受けてくれて、ずっと期待の言葉を掛けてくれている。同時に背筋が伸びる思いでグラウンドに立てていますし、これまでにない刺激が入っている状態です」と誓っていた。
春季キャンプから復活の兆し
期待に応えるためには、マウンド上の結果で示すしかない。今年は
入江大生が先発に転向し、
伊勢大夢、
レイノルズ、
中川虎大と抑えの座を争っていたが、直球に力強さを取り戻してストライクゾーンで勝負できるようになり、春季キャンプから復活の兆しが見えていた。週刊ベースボールのインタビューで、昨年との違いについて以下のように語っていた。
「戦略的な部分もあるんで全部お話しすることはできないんですけど、良くなったことが分かってきているというのが一つカギになるのかなって思っています。自分に対するネガティブな要素をちゃんと自分の頭の中で理解することと、強みのポイントを引き続き伸ばしていくトレーニング、強化をしています。今は本当に毎日が楽しくてワクワクしていますし、きっとそういうことが普通にできるようになれば、しっかり応えられるのかなって思っています。僕のほうではもうしっかり準備が整った状態で練習ができていますね」
幾多の修羅場をくぐり抜けてきた自負
開幕時点で名球会入りの基準となる通算250セーブまであと18に迫っていた。山崎は「250セーブにこだわりはない。ただ9回のマウンドにはこだわりがある」と常々語っていた。その言葉には新人から抑えを務め、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた自負がある。
「9回って花形で、簡単に語ることのできない場所でもあると思うんです。プレッシャーもものすごくかかるので。普段、起きないようなことが平気で起こる。応援のパワーもそうですし、相手もいつも対峙しているときと全然違う感覚で戦っていたりもします。そこがやっていて楽しいし、かつ、この場所で輝いてきたという自分のプライドもあるんですよね。それは誰にも譲れないという思いでいます。強い気持ちを持って、9回のポジションにこだわりを持ち続けていくというところは、過去の、これまでの僕の生き方、野球人生としての生き方の集大成だと思っているので。もちろんほかにもいい選手がいて競争があるのは分かっていますけど、これまでの経験を生かして、どんどん前に進んでいくつもりで今、頑張っていますね」
チームは交流戦に入って2カード連続負け越しで、借金が今季ワーストの5に。このままズルズル借金を積み重ねるわけにはいかない。大記録を通過点に、9回のマウンドをきっちり締めることに全神経を注ぐ。
写真=BBM