キャプテンシーでけん引

東京経済大は15年秋以来となる一部復帰を決めた[写真=BBM]
5月31日
東京経済大4-0城西大(東京経済大2勝)
首都大学野球2026春季リーグ・一部二部入れ替え戦2回戦。今春、二部リーグで優勝した東京経済大が入れ替え戦で一部6位の城西大に連勝。15年秋以来の一部復帰を決めた。
1回表、東京経済大は三番の早川颯眞(4年・関東学園大付高)が右越えのソロ本塁打で先制。4回表には二死満塁から九番・楢本勇仁(3年・佐久長聖高)が左中間へ走者一掃の適時三塁打。点差を広げると、先発の山田
蓮(4年・藤枝明誠高)は9回を投げ切って完封。4対0で城西大を下し、マウンド付近には選手たちの歓喜の輪ができあがった。
東京経済大へ10年ぶりの歓喜をもたらすのに大きく貢献したのが主将・岸本空知(4年・倉敷商高)だ。飯田孝雄監督は「岸本は強いキャプテンシーでチームをけん引してくれました。勝つためならば同級生にも下級生にも厳しい言葉をかけることができましたし、打線のなかでも良い場面で打ってくれて結果を出してくれました」と手放しで褒めたたえている。
岸本本人は「チームの仲が良いからこそ、プレーのけじめの部分が曖昧になりがちなので、きちんと練習ができていない選手には背中で見せるのではなく、お尻をたたきながら一緒に寄り添って進んでいくようにしていました。自分を受け入れてくれたチームメートと副主将の岡田諒汰郎(4年・岡山学芸館高)、高橋琉士(4年・桐光学園高)、楢本には感謝しています」と振り返る。リーグ戦では打率.308でベストナイン(捕手部門)を受賞した。
「この冬、キャプテンとして自分が一番、振り込んでいけば周りも付いてきてくれると考えていたので、先頭に立って打撃練習をしていました。そして、指導者の方々が自分を多く打席に立たせてくれたおかげで、自分がどのような攻め方をされているのかが分かってきました。そこで対策を立てることができ、狙い球を絞れるようになったんです」
スローガンは「歴史を変えろ」
入れ替え戦では前日の1回戦で高橋。2回戦は山田とタイプの違う投手をリードした。
「高橋は真っすぐが持ち味なんですが、城西大の打線にも十分に通用していたのでストレートを中心にピッチャーの力を信じた配球をしました。山田は変化球が得意なのでコースの投げ分けを意識しました」。この日は4点リードの6回、無死一塁で次打者の初球がボールになったところでマウンドへ走った。「グラウンド整備後に内野安打で出塁されて嫌な状況でした。絶対にゼロで抑えたいところで初球がボールになり、2ボールで打者有利にしてしまうのは良くないですし、ピッチャーの呼吸を整えさせる意味でも少し間をあけました」
この判断が功を奏して、このイニングも失点なしで切り抜けると、9回裏の二死一、二塁のピンチもしのいで勝利、一部復帰へとつなげた。試合後、スタンドにあいさつした後はベンチ前で涙があふれ出した。「先輩の代から昇格を目標にしていたので、その頃のことも思い出してしまいました」。また、昇格できた要因については「オープン戦から『流れを意識して試合をやろう』と声をかけてきたのですが、その流れをみんなが感じられるようになってきました。勝負どころになると声を掛け合えているので、そこは成長できたと感じています」と話している。
今季のチームスローガンは「歴史を変えろ」。
昨今は入れ替え戦にもなかなか進出できていなかったが、この春、昇格を果たして歴史を変えた。だが、この目標にはまだ続きがある。
「秋は明治神宮大会に出場して首都大学リーグのチームのなかで一番、長いシーズンを過ごしたいです。そして、飯田監督は法大のOBなので、神宮球場へ連れていきたいです」
そのためには強豪ひしめく一部リーグを勝ち抜いていけなければならないが「(例年通りのスケジュールならば)開幕週は春の王者の日本体育大と戦うことになるので、チャレンジャーの気持ちでぶつかっていきたいです」と岸本主将。飯田監督も「この夏はまた一からのスタート。出番がなかった選手にもチャンスを与えながらキャンプなどで競争をさせてメンバーを選んでいきたい」と展望を語っている。10年ぶりの一部の舞台で、東京経済大がどのようなプレーを見せてくれるか楽しみだ。
取材・文=大平明