貧打のチームで高い得点圏打率

勝負強いバッティングで存在感を発揮している坂倉
広島が5月31日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)で1対3と敗れ、交流戦開幕6連敗。借金が今季ワーストの12にふくらんだ。
先発の
岡本駿が5回まで3安打無失点と踏ん張ったが、6回に
近藤健介の適時二塁打、
栗原陵矢の2ランで3点を失うと、打線は相手先発・
徐若熙の前に沈黙。6回まで無得点に抑えられ、8回に
持丸泰輝の左犠飛で1点を奪ったが反撃は及ばなかった。四番に座った
坂倉将吾は前日の同戦で2打席連続適時打と奮闘したが、この試合は無安打に終わり険しい表情でグラウンドを後にした。
チーム打率.213、142得点はいずれもリーグワースト。チーム防御率2.96はリーグトップだが、貧打が低迷の要因になっている。その中で坂倉は47試合出場で打率.272、6本塁打、31打点をマーク。リーグ2位の得点圏打率.410と勝負強さが光る。4月30日の
巨人戦(東京ドーム)では2点差を追いかける8回二死一、二塁の好機に、3ボールから強振すると打球は右翼席へ。3号3ランで鮮やかな逆転勝利の立役者になった。翌5月1日の
中日戦(マツダ広島)も3回二死三塁で
柳裕也のカットボールを中前にはじき返す先制適時打。勝負どころで集中力が最大限に研ぎ澄まされている。
今年は捕手でスタート
昨年は右手中指骨折で出遅れ、104試合出場で打率.238、5本塁打、37打点と不完全燃焼に終わった。捕手一本で勝負することを決断したシーズンだったが、盗塁阻止率.181と守備面でも課題が残った。シーズン後は3年ぶりに宮崎・日南の秋季キャンプに参加。バットを振り込み、ユニフォームを泥だらけにして打球を追いかけた。
今年は捕手でスタートしたが、打撃を生かしたい首脳陣の意向と持丸の台頭で、4月下旬以降は一塁、三塁が
メインのポジションに。スタメン出場を見ると、捕手が16試合出場で打率.196、1本塁打、9打点に対し、一塁は16試合出場で打率.350、4本塁打、16打点。捕手は守備面で頭を使うことが増えるため打撃に影響する部分が否めない。捕手へのこだわりはあるが、坂倉を輝かせるためにはどの起用法が最善策か。
チームが1点を取るために力を尽くす
打撃センスは以前から光っていた。2021年に打率.315、12本塁打、68打点をマーク。チームメートの
鈴木誠也(現カブス)に2厘差で首位打者のタイトルに届かなかったが、ミート力と長打力を兼ね備えた打撃技術は鈴木も一目置いていた。翌22年はチームで唯一全試合出場を果たし、打率.288、16本塁打、68打点。主に三塁を守っていた。
「もともとホームランバッターではないですし、(打球)角度もそんなにつくタイプじゃない。ホームランというよりは、率(打率)だったり打点だったり。打線の絡みも出てきますけど、やっぱりいいところで打ったり、高い集中力を持って打席をこなしていくことだと思います。チームがここで1点を取るために、というところで、それに順応していけるようなバッターだったら、使うほうは使いやすいですよね。自分でも納得して、すべてができる高いレベルの中でやっていけたらなというふうに思います」と週刊ベースボールのインタビューで自己分析している。
23年は正捕手として120試合出場。翌24年は捕手、一塁を守り、打率.279、12本塁打、44打点の成績を残した。11月に開催されたプレミア12で侍ジャパンの正捕手として7試合に出場し、打率.444、1本塁打4打点の活躍で大会ベストナイン(捕手部門)に選ばれた。
坂倉は順調にいけば今シーズン中にFA権を取得する。捕手、一塁、三塁と起用法の幅が広く、主軸を託せる打撃力は大きな魅力だ。権利を行使するとなれば複数球団の争奪戦になることは間違いない。だが、今は広島での戦いに全神経を注いでいる。6月2日から
日本ハム、
オリックスと本拠地・マツダ広島で6連戦を戦う。借金を1日でも早く完済し、上位に浮上するためにも負の流れを断ち切りたい。
写真=BBM