交流戦も好スタート

5月から戦線に加わったネビン。強打で打線をけん引している
パ・リーグ連覇をした2019年以来、7年ぶりのV奪回を狙う
西武が交流戦を4勝1敗1分けと好発進している。
西口文也監督は0対6で敗れた5月31日の
DeNA戦後「交流戦の入りは良かったと思う。また月が替わって球場も変わって、台風も来るということで次の試合が大事になってくる。しっかりとやっていきたい」とコメント。その予感どおり、6月2日の
阪神戦(甲子園)は台風6号接近の影響で中止。今季初の水入りとなった。
それでも最大借金5を抱えていた4月18日以降、24勝9敗1分け(勝率.727)の快進撃で貯金10のパ・リーグ首位に躍り出た1カ月強はチームに大きな自信を与えた。交流戦初V、そして勝負の9月を迎えるためにも、この阪神戦は今後への試金石となる。
四番タイラー・ネビンが復帰した5月の25試合で打線は、打率.277、117得点(1試合平均4.68点)、30本塁打と爆発し、圧倒的な攻撃力でリーグ連覇を果たした2018年(シーズン792得点、同196本塁打)、19年(同756得点、同174本塁打)の「山賊打線」をほうふつとさせる攻撃力でライオンズファンを熱狂させた。
次の塁を攻める姿勢
ただ、当時はチーム防御率4点台の脆弱な投手力を強力打線がカバーする“打ち勝つ野球”でのリーグ連覇。ここまでいずれもリーグトップのチーム打率.252、同防御率2.60と投打ががっちり噛み合った理想的なチーム編成ではなかった。
当時、試合前の訓示が話題となり「ライオンの雄は狩りをしない〜」などの名言でナインを鼓舞していた元ムードメーカーの
熊代聖人外野守備・走塁コーチは山賊時代と今のチームの違いを自身の立場からこう分析する。
「僕が思う2018、19年との違いは選手個々の意識の問題ですね。あの当時は選手個々の能力がめちゃくちゃ高かったんですよ。打力がもうケタ違いだったんで、比較にならないんですけど。今はピッチャーも野手もひっくるめてチームで『1点を防ぎましょう』『1点を取りにいきましょう』みたいな集中力がある。そういう姿勢がすごく見える。特に野手陣の次の塁を狙う姿勢。打って点はもちろん入っているんですけど、次の塁を攻める姿勢が僕はすごく大きいと思っている。2018、19年というのは能力の高い選手がドッカンドッカン打っていってという野球。正直、そのときよりは今のほうが、隙のない野球をしていると思う」
鳥越コーチの意識付け

昨年から就任した鳥越ヘッドコーチはチームに『凡事徹底』を植え付けた
そして、そのソツのない本来の西武野球を取り戻したのは、外様である
鳥越裕介ヘッドコーチの意識付けだという。
熊代コーチは「やっぱりね、去年、鳥越ヘッドを先頭に『できること、当たり前のことをしっかりやっていこう』というところから始まって。そこから選手一人ひとりの意識っていうのが、1年かけてすごく変わったなっていうのは見ていても思うし、感じるところ」と解説。昨年、口酸っぱく注意してきた「凡事徹底」を今年はほとんど口にしていないと言い「選手一人ひとりの意識が本当に変わってる。その意識の高さがこうやって、いい方向に向いていると思う」と断言した。
先発投手の独り相撲により序盤に許した大量失点を長打攻勢により中盤までに詰め、終盤に逆転していた劇的な山賊野球。それとは一線を画す手堅い野球と集中打で奪ったリードを盤石の投手陣が守り抜く2026年のライオンズ。人が入れ替わり、長い年月を掛けて本来のあるべき西武野球を取り戻したともいえる。
文=伊藤順一 写真=大泉謙也