交流戦首位を撃破
横浜スタジアムの夜空にアーチが架かる。
DeNAが6月5日のソフトバンク戦(横浜)で4発の本塁打攻勢と圧倒して8対3と快勝。5月13日以来の2連勝を飾った。
前夜の
楽天戦(横浜)で最大7点差を逆転した打線の勢いが持続していた。1点を先制された直後の3回に「右太腿裏の肉離れ」から復帰2試合目の
牧秀悟が3号3ランを放つと、5回も
大関友久に襲い掛かる。
度会隆輝が5号2ラン、ヒュンメルが4号2ランを放つと、
松尾汐恩も続いた。外角高めに浮いたスライダーを左翼のスタンド中段に運ぶ今季初アーチ。守備でもソフトバンクの強力打線を3失点でしのいで逃げ切った。
山本祐大の松尾評
松尾は昨年に自己最多の77試合出場で打率.250、4本塁打、18打点をマーク。正捕手の
山本祐大は大きな刺激を受けていた。昨年7月に週刊ベースボールのコラムで、松尾について以下のように語っていた。
「汐恩はまだ21歳という若さで、あれほど堂々とプレーしているのが本当にすごい。もちろん結果も出していますが、あの落ち着いた姿勢には、自分の21歳のころには考えられないような凄みを感じます。発言の内容やコミュニケーション力を見ても、『本当に21歳?』と驚かされることばかり。入団当初から変わらないその堂々としたプレーぶりには、自分にはない『どっしり感』があります。去年から今年にかけて出場機会が増える中で、全体的に能力が上がっているように感じます。盗塁を刺す場面も増え、キャッチングも安定してきて、球を後ろに逸らさなくなりました。バッティングはもともと良かったですが、いろいろなピッチャーと対戦する中で、自分の持ち味を出せる場面も増えている。今後もっと成績が伸びていくでしょうし、キャッチャー特有のしんどさやプレッシャーにも向き合いながら、着実に成長しているような印象です」
「将来的に野球界を引っ張っていく存在になると感じていますが、自分もただそれを見ているだけではいけない。必死に食らいついていきたいと思っています。やはり野球選手である以上、一番を目指したい。私自身が試合に出て、チームに貢献することが、応援してくれる方々が求めている姿だと思うので、日々、もっと上手くなるために努力を続けています」
「すべてのレベルを上げる」
順調に成長曲線を描いているように見えたが、松尾自身は現状を冷静に見つめていた。
「今のチームの正捕手争いは激しいものがあります。ただ、自分が一歩前に出ることができれば、ほかのキャッチャー陣にも火をつけることができると思いますし、いい競争の中で自分も成長していけるはずです。今はまだ山本さんにも、戸柱さんにも勝てている部分は一つもないと思っています。バッティング、守備、リード、すべてのレベルを上げていかなければなりません。去年は日本シリーズでも出番が回ってきましたが、本当にポジションを奪うとなったら、いろいろなことにチャレンジして力をつけていかなければいけない。まだまだすべてにおいて足りていない、もっとうまくならないといけない」
変わった立ち位置

チームを勝利に導くために懸命にプレーするだけだ
正捕手奪取を狙う今年は、5月12日に電撃トレードが敢行された。正捕手の山本が
尾形崇斗、
井上朋也と1対2の交換トレードでソフトバンクに移籍。大きな反響を呼んだこのトレードが、松尾の立ち位置を変えた。
山本の放出は松尾を正捕手として育てることを意味する。大きな重圧が掛かるが、乗り越えなければ未来を切り拓けない。山本のトレード移籍が発表された同日の
中日戦(横浜)。エースの
東克樹とバッテリーを組み、6回2安打無失点の快投をアシストした。松尾とともに試合後のお立ち台に上がった東は「緊張しながらのマウンドだったんですけど、汐恩がいいリードをしてくれて僕らしいピッチングができたと思います」と称えた上で、「本当に堂々としたリードをしてくれるので、これから本当に一本立ちしてベイスターズを背負ってくれると思います」と期待を込めた。
捕手はチームを勝利に導いて評価されるポジションだ。DeNAは2連勝したが、まだ借金4を抱えている。上位3球団に食らいつくためにも、白星を積み重ねていきたい。
写真=BBM