ピンチを救ったピックオフプレー

サヨナラ負けの大ピンチをビッグプレーで切り抜け、雄叫びを上げるネビン
西武は6月7日の
中日戦(バンテ
リン)で延長12回の末、4対1と快勝。2勝1敗と勝ち越し、交流戦は4カード連続勝ち越し。これで5月から11カード連続して負け越しがなく、うち10カードで勝ち越し貯金は最大の13となった。この間23勝7敗2分け(勝率.767)と2勝1敗ペースを上回る驚異的な戦績が続いている。
一打サヨナラ負けの大ピンチをひとつのピックオフプレーが救った。
1対1の同点に追いつかれ延長にもつれ込んだ11回裏、二死満塁のピンチだった。ここで六番手・
上田大河の
板山祐太郎に対しての入り球がボールとなった。
5日の初戦に続くサヨナラ勝ちの再現を期待して盛り上がる敵地・バンテリンドーム。しかし次の瞬間、敬遠気味の四球で出塁した相手主砲・
細川成也をキレのあるターンで一塁けん制。細川の視界から消えていた一塁手・ネビンがスルスルと後方からベースに入り、そのまま戻り切れなかった細川をタッチアウト。昨年、
阪神との交流戦でも
山田陽翔→ネビンが成功させた“サインプレー”が2年連続でさく裂した。
この大ピンチを年一回あるかないかのビッグプレーで切り抜けた西武ベンチは大盛り上がり。守備から作った攻撃のリズムに乗り、12回表に先頭・
長谷川信哉の8号決勝ソロで勝ち越し。なお一死二、三塁から代打・
古賀悠斗が中越え2点適時二塁打を放ち勝負を決めた。
殊勲の長谷川は「打った瞬間、入ったなという感触でした。良かったです」と決勝弾を振り返った。その上で「あの(11回の)ピックオフでいい形で守備を終えることができたので、いい形で(12回の)攻撃を迎えることができた。初球からどんどん行こうと思っていたので、いい形で結果が出てよかった」とコメント。絶体絶命の状況を救った“けん制サインプレー”がこの日の勝因であることを強調した。
「シーズン中はあまり(練習を)やらない」
昨年6月12日の阪神戦(ベルーナ)でも3点リードの8回一死満塁のピンチで山田からネビンへのピックオフプレーで一走・
佐藤輝明を刺した年イチのビッグプレーの再現。このプレーについては常々、
黒田哲史内野守備・走塁コーチが「シーズン中はあまり(練習を)やらない。キャンプとかオールスター休みとか、そういうときにやるだけ」と語るピンチでこそ効果絶大なサインプレーだ。
その状況が整った場合、ベンチからサインを出すかどうかは「ピッチャーにもよりますよ。ターンの速いピッチャーもいるし、けん制の苦手なピッチャーもいるので」(同コーチ)とのことで、この日の上田は適任だったようだ。
「バッティングはいいときもあれば、悪いときもある。どんなときも守備だけは、守るほうさえしっかりやっておけば(勝機は来る)」と語る黒田コーチ。今のライオンズの快進撃のベースに、この投手を中心とした「守り勝つ野球」があるのは間違いのないところだ。
文=伊藤順一 写真=榎本郁也