好調維持の巨人で存在感

交流戦に入り、打撃が復調してきた松本
交流戦で7勝3敗2分けと好調を維持している
巨人。6月7日の
ロッテ戦(東京ドーム)は1点リードの9回二死で守護神の
ライデル・マルティネスが
安田尚憲に同点ソロを浴び、2試合連続引き分けとなったが、試合に勝ち切っていれば殊勲打を放った
松本剛がお立ち台に上がっていただろう。
バットが振れている。「二番・中堅」で先発出場すると、同点の7回二死三塁の好機で、
中森俊介のスライダーを三遊間にはじき返す勝ち越しの適時打。得点圏打率.391と勝負強い。今季6度目のマルチ安打を記録し、交流戦は30打数11安打で打率.367と復調の気配を見せている。
2022年に打率.347で首位打者に輝いた実績がある巧打者だが、昨年は66試合出場で打率.188、0本塁打、7打点。オフにFA権を行使すると、幼少のころからあこがれていた巨人から獲得オファーが舞い込んできた。
「あまり表立って言ってはいなかったんですけど、ファイターズを出るのであればパ・リーグよりもセ・リーグに行けたらうれしいなという気持ちはありました。パ・リーグで14年間やってきて、セ・リーグのチームと対戦することは数少ないんですけど、やっぱり野球がちょっと違うというか、プレーの違いを少なからず感じていたので、実際に中に入ってみたらどうなのかを知りたい、経験してみたいという思いがありました」
「戻すというよりは、しっかり振る」
巨人は昨年にセンターを固定できなかった。打球処理や状況判断で目に見えないミスが多く、守備力の高い松本が入ることでディフェンス面を強化したい意図が見えた。ただ、打撃で貢献できなければ定位置はつかめない。FA移籍したが、出場機会を保証されているわけではなかった。打撃の復調に向けて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「技術的な部分は本当に崩れてしまいましたし、その修正を含めて、新しいことを取り入れながら今はやっているところです。未知数なところはありますけど、そこを改善していかない限りはレギュラーとして試合に出続けることはできないと思っているので、その課題に一番重きを置いてやっています。言葉にするのは難しいんですけど、簡単に言うとあまり手を使わない感覚を少しでも付けようと思っていて。もともとけっこう手で打ってしまうタイプなので、下半身との連動性を意識して、しっかりボールに力が伝わるようにということを一番に取り組んでいます」
「(首位打者を獲得した22年の打撃に)戻すという意識はないですね。もちろん、新しいことをやっている中で、『これに似た感覚が22年はあったな』と感じる部分もあります。ただ、戻すというよりは、しっかり振っていく。今はそのことを練習の中で意識しています。ベースをもう一度しっかりつくり直して、シーズンが近づくにつれて調整しながら、合わせていけたらなと思います」
古巣相手に快打を披露

古巣・日本ハムの本拠地・エスコンFでヒーローインタビューを受けた
開幕から「二番・中堅」で先発起用されていたが打撃の状態が上がらず、スタメンを外れる機会が増えるように。だが、
橋上秀樹監督代行が就任した交流戦以降は快音が響くようになった。印象的な活躍が古巣の日本ハム戦(エスコンF)だ。5月29日の試合で1点リードの6回二死三塁の好機に、
達孝太の直球を右前にはじき返す適時打。手を叩きながら一塁に走り、塁上で笑みを浮かべた。
試合後のお立ち台で「なかなか(試合に)出られてなくて、エスコンが近づくにつれて『なんとか出たいな』と思っていたので、試合に出られてうれしいです」と心境を吐露すると、巨人ファンだけでなく日本ハムのファンからも拍手が注がれた。翌30日の同戦でも初回に
有原航平から左翼線の適時二塁打。この一打が決勝打となった。
新天地で活躍することが、高く評価してくれた
阿部慎之助前監督や日本ハムへの恩返しにつながる。定位置奪取、チームの勝利に向けて全身全霊をかける。
写真=BBM