セ・リーグを代表するタフネス左腕

今年は自身初の開幕投手を務めるなど、名実ともに先発陣の柱となっている床田
悔しいマウンドとなった。
広島の
床田寛樹が6月9日の
西武戦(ベルーナ)に先発登板し、5回7安打3失点で降板。3点の援護をもらったが、4回一死満塁のピンチに
西川愛也の中犠飛で1点を返されると、5回に
古賀悠斗、
渡部聖弥の連続適時打で同点に追いつかれた。通算1000投球回到達にあと一死足りず降板。9試合連続で6回以上をクリアしていたが、開幕投手を務めた3月27日の
中日戦(マツダ広島)以来の5回でマウンドを降りた。
セ・リーグを代表するタフネス左腕だ。
新井貴浩監督が就任した2023年から3年連続150イニング以上投げ、23、24年と2年連続11勝をマーク。昨年は9勝にとどまったが、リーグ最多の6完投を記録した。投球回数171回1/3イニングは自己最多だったが、自己評価は厳しい。週刊ベースボールの取材で、以下のように語っている。
「今年は結局、昨シーズンと一緒。完投(自己最多だった2023年の2を大幅更新の6)は多かったけど、それを最後に持っていきたかった。最後の最後、大事なところで勝てず、去年も今年も“弱い選手”でした。ここ一番で結果を出せる選手、大事なところで勝ちきれる選手が、やっぱり“強い選手”だと思う。来年まずは“普通の選手”になって、その先に“強い選手”になれたらと思っています」
「オフはまずは疲労を取ることを意識した後、今年に向けてトレーニングをしっかりやってきました。(ウエート・トレーニングで)重いものもいっぱい持ったかな。キャッチボールではオフにやってきたことを投球につなげるため、一球一球丁寧に投げながら、遊び心も入れながらやっています。昨年も9月以降は1勝もできなかった。勝負どころになると、やっぱり体がガッとなって余裕がなくなることが多い。そこは課題です。序盤で試合を壊すことも多かったので、3回でバテてもいいから150%くらいで投げる、というのもありかなと。10年目だからといって特別なことはないですが、結局は自分次第かなと思っています」
ゲームメーク能力の高さが魅力
今年は自身初の開幕投手に抜擢されるなど、名実ともにエースとしての期待が大きい。カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、パーム、カーブと多彩な変化球を駆使し、ゲームメーク能力が高いのが床田の魅力だ。
登板を重ねるごとに安定感が高まる。5月19日の
DeNA戦(横浜)で6回3安打無失点の快投で2勝目を挙げると、26日の
ロッテ戦(マツダ広島)も7回7安打無失点に抑えた。6月3日の
日本ハム戦(マツダ広島)は毎回のように走者を背負ったが要所を締め、6回1失点の粘投で3勝目。チームの連敗を6で止め、12球団最遅で交流戦勝利に導いた。11試合登板で3勝2敗、防御率2.56。4失点以上喫した登板は1度のみと、きっちり試合を作っている。
「取れるとは思っていなかった」
野球人生で大きな節目も迎えた。4月6日に国内FA権を取得。新人の17年に左肘痛でトミー・ジョン手術を受け、翌18年は一軍登板なしに終わるなど入団後は順調なスタートと言えなかっただけに、「僕の中では『プロ野球選手をやっていました』と言える目標でした。プロ入り当初は3年ぐらいでクビになるなという感じだったので、(FA権を)取れるとは思っていなかった」と語る言葉には重みがある。
在京球団の元編成担当は「毎年のように先発ローテーションで長いイニングを投げられる投手は少ない。先発のコマ不足に悩む球団が多いので、今オフに動向が注目される投手の一人になることは間違いないでしょう」と評価する。
もちろん、今は目の前の戦いに集中している。床田が一軍に定着した19年から7年間で6度のBクラスと優勝争いに絡めないシーズンが続いている。借金12で5位に低迷しているが、このまま終わるわけにはいかない。「1年間、引っ張り続けないといけない。悔しいシーズンが続いたので、今年こそは。1年間通して、戦い続けられるように頑張りたい」。巻き返しに向け、エース左腕がチームを引っ張る。
写真=BBM