交流戦でもパ相手に快投

開幕から好投を続ける高橋。2カ月連続で月間MVPも受賞した
阪神が交流戦で6勝12敗と大きく負け越し。最終戦となった6月17日の
楽天戦(甲子園)で打線が爆発して10対3と快勝したが、交流戦の前は首位に立っていた状況から、
巨人を追いかける立場となった。
その中で、
高橋遥人はパ・リーグ相手に3戦全勝と輝き続けている。3月と4月に続いて、5月も連続して月間MVPに。5月29日の
ロッテ戦(ZOZOマ
リン)で8回2安打無失点の快投で6勝目をマークすると、6月5日の楽天戦(甲子園)で7回6安打1失点。直球、ツーシーム、カットボール、スライダーとすべての球種がウイニングショットになる。10三振を奪い、今季4度目の2ケタ奪三振を記録した。
13日の
オリックス戦(京セラドーム)では初回に
山中稜真の打球が右手首を直撃するアクシデントに見舞われたが、毎回のように走者を背負いながら、5回まで無失点と粘った。6回に3失点を喫したが、リーグ単独トップの8勝目をマーク。開幕8連勝は2010年の
能見篤史以来、球団史上16年ぶりの快挙だった。
ほかの投手を圧倒するボールのキレ
プロ野球人生は故障との戦いだった。左肘のクリーニング手術、トミー・ジョン手術、24年11月に自身5度目の手術となる「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を受けた。コンディションが整えば、球界を代表する投手になれる素材だ。今年は3試合連続完封を記録し、交流戦も勝ち続けて10試合登板で8勝0敗、防御率1.07。
村上頌樹、
才木浩人と共に開幕から先発ローテーションで稼働している。阪神前監督の
岡田彰布氏が高橋について、週刊ベースボールのコラムで以下のように語っている。
「高橋のどこがすごいのか? とよく聞かれる。オレはその都度、こう答える。『ボールのキレ味』と。球界はまさにスピード全盛時代で、150キロを超すスピードボールを投げるピッチャーは数多くいる。高橋の場合、そこまでのスピードではない(150キロは出せるが)。それでもほかの投手を圧倒するボールのキレ。これが最強の武器になっている。投げてホームベース付近にきても、ボールが垂れない。そこからまだひと伸びするようなキレが高橋の球には宿っている。これがバッターにはとんでもなく映るのよね。高橋のいいところはボールが垂れず、キレもあるところ。万全な状態ならまずそうは打たれないし、今季はずっとこのままいきそうな雰囲気はあるね」
「これから先はどうなのか? 入団以来、フルでシーズンを過ごしたことがほぼないわけで、そのあたりが心配されるところだろうが、オレはもう『大丈夫』とみている。もちろん無理に使うのはアカンし、藤川(
藤川球児)監督も考えて起用している。それをうまく続けていけば、1年を乗り切ることはまったく問題なし。それくらいに体も心も整っているのではないかな。記録を逃した試合(4試合連続完封勝利を逃した5月13日の
ヤクルト戦)でも、勝ち投手にはなれなかったけど、負け投手にもなっていない。いまは目先の1勝より、長いシーズンを見据えて、気持ちを高めていってもらいたい。何より数多くの試練を経験した『強さ』が高橋にある。それはケガや故障で苦しむ選手にとって、何よりの励み、目標になるに違いない。そんな投手になってほしい……と願っている」
後輩投手の良きお手本
阪神では才木もトミー・ジョン手術を経て球界を代表する投手に飛躍。ドラフト1位右腕の
下村海翔は入団1年目にトミー・ジョン手術を受けてリハビリを経て一軍のマウンドを目指している。岡田氏が言及したように、度重なる故障から何度もはい上がった高橋の生き様は後輩の投手たちの良きお手本になるだろう。
今年の阪神はリーグ連覇の大本命と目されていたが、救援陣が安定感を欠き交流戦で打線がつながりを欠くなど攻守がかみ合わず、なかなか上昇気流に乗れていない。その中で、高橋の不敗神話はいつまで続くか。故障なく最後まで投げ切れば、頂点が見えてくる。
写真=BBM