2年目の今季先発転向

今季は先発として投げ続けている岡本。ここまで5勝を挙げている
広島は交流戦を終えて借金13。厳しい戦いが続くが、チーム防御率2.87はリーグトップで投手陣は踏ん張っている。先発で安定感が際立つのがプロ2年目右腕の
岡本駿だ。
新人の昨年は41試合登板で1勝1敗1ホールド、防御率2.88。5月13日の
巨人戦(マツダ広島)でプロ初勝利をマークした際、以下のように振り返っている。
「ヒーローインタビューは、すごく緊張しました。人前で話すのは苦手なので……。でも、ファンの方がいっぱい拍手してくれたのでうれしかったです。また立たせてもらう機会があれば、もっとしっかり答えられるように頑張ります。マウンドには、絶対に1点もやらない気持ちで上がりました。前回(1日の対戦で延長12回サヨナラ負け)は逆の立場(東京ドーム)で、みんなが必死につないでくれたのに自分の投球で負けて悔しかった。坂倉(
坂倉将吾)さんが『絶対やり返すぞ!』と声を掛けてくれて、すごく気合が入りました。しっかりリベンジに成功して良かったです」
先発転向した今年は登板を重ねてたくましくなっている。力感のないフォームからキレのある直球、落差の鋭いツーシーム、左打者の内角に食い込むカットボールを軸に凡打の山を積み重ねる。6月7日の
オリックス戦(マツダ広島)で7回4安打2失点の快投で4勝目、14日の
楽天戦(楽天モバイル)で7回2安打無失点と抑え込んで5勝目をマークした。11試合登板で5勝3敗、防御率2.34。規定投球回にはわずかに足りないが、先発の役割を十分に果たしている。
異色の歩みでプロへ
異色の歩みで、プロ入りしている。徳島・城南高では身長186センチの大型内野手として四番打者を務めていたが、全国的には無名の存在だった。練習会に参加した甲南大で谷口純司監督との出会いが野球人生の転機に。キャッチボールを見てボールの伸びや回転に、「コイツの4年後にかけてみよう」と投手として大きな可能性を感じたという。
岡本は高校時代に公式戦で登板経験がなかったが、投手が入部条件であることを告げられて「ショートにこだわりもあったんですけど、ピッチャーのほうが可能性はあるのかなと思いました。最初はショートをあきらめる悔しさもありました」と振り返る。
最初は野手投げだったが投手としての土台を作り、良い球を投げる再現性を高める努力を続けた。3年秋までは無名に近い存在で就職活動をしていたが、4年春にNPBのスカウトが視察に来るようになり、「周囲の方も期待してくれているのでその期待に応えられるように、甲南大初のプロ野球選手になれるよう頑張りたいと思います。将来は先発で10年、15年活躍できるチームに欠かせない投手になりたい」とプロ入りへの思いが強まった。
谷口監督は「スケールが大きいですね。体ができたら、面白いピッチャーだと思いますね。伸びしろはかなりあります。教えてどんどん吸収している段階です。ポテンシャルはすごいと思います」と話していたが、その慧眼が証明される。広島がドラフト3位で指名し、甲南大出身初のプロ野球選手が誕生した。
同期の存在が原動力
広島が再び黄金時代を築くには若手の突き上げが不可欠だ。岡本は同期入団の
佐々木泰、
佐藤柳之介と共に主力選手への飛躍が求められている。
岡本は「やっぱり同期の存在は、自分の原動力になっていると思います」と明かした上で、「柳之介とは今、寮でも話す機会は多いです。面白がって(自身が活躍して)『悔しい!』みたいなことを言っていますが、僕が投げるときに『頑張れ!』と言ってくれたりもする。プライベートでは、あれ行こう、これ行こうとか言ってくれる。僕はあまりそういうことを言わないけど、すごく行動力があるタイプです。野球の知識も豊富で努力家。これからもお互い切磋琢磨して頑張っていきたいと思います」と誓っていた。
19日から再開するペナントレースでは
ヤクルト、巨人、
阪神と上位の3球団と対戦する。一つでも多く勝って借金を減らしたい中で、岡本も白星を積み上げてエースへの階段を駆け上がる。
写真=BBM