制球力が大きく改善

巨人の大卒3年目右腕・西舘。テンポの良い投球が特徴だ
交流戦は
西武が交流戦史上最高勝率.824で初優勝を飾り、
ソフトバンク、
日本ハムの3球団は勝率7割を超えた。勝率7割以上のチームが複数出るのは交流戦史上初で、合計の勝利数でもパ・リーグが65勝、セ・リーグが39勝で26の勝ち越しは過去最多記録だった。
セ・リーグが圧倒される形となったが、パ・リーグ球団から評価が高かった投手がいる。巨人の
西舘勇陽だ。プロ3年目の今年は開幕からファーム調整が続いていたが、一軍初登板となった5月30日の日本ハム戦(エスコン)で6回4安打無失点8奪三振の快投で初勝利を挙げると、6月7日の
ロッテ戦(東京ドーム)は白星がつかなかったが、7回6安打1失点7奪三振の好投。西舘は交流戦に強い。昨年15試合登板で2勝3敗1ホールド、防御率4.22だったが、2勝はいずれも交流戦に先発登板して挙げた白星だった。
パ・リーグ球団のスコアラーは「去年の交流戦からいい投手だなと思っていました。今年は制球が改善されてテンポが良くなりましたよね。150キロを超える直球で差し込めるし、スライダー、カーブ、フォーク、カットボールの質も高い。もっと白星を挙げても不思議ではない投手だと感じますね」と高い評価を口にする。
東都大学リーグでしのぎを削った同期入団の
武内夏暉(西武)は1年目の2024年に10勝6敗、防御率2.17の好成績を残して新人王を受賞。
細野晴希(日本ハム)は昨年6試合登板で3勝1敗、防御率1.51と頭角を現した。西舘も負けられない。昨オフは花巻東高の先輩・
菊池雄星(エンゼルス)と自主トレを行い、チームのエースである
山崎伊織に弟子入り。肉体強化を図り、技術面でも吸収しようと必死だった。
きっかけ一つで飛躍

日本ハム時代の大卒3年目に新人王に輝いた高梨
プロの世界は何か一つきっかけをつかめば、大きく飛躍できる。
高梨裕稔(
ヤクルト)も大卒3年目の2016年に新人王を受賞している。山梨学院大からドラフト4位で日本ハムに入団すると、プロ2年目までは未勝利だったが、3年目に開幕から救援登板で結果を残し、先発転向した交流戦以降は14試合登板で無傷の8連勝と活躍。10勝2敗1ホールド、防御率2.38の好成績を残した。高梨はブレークした要因について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っていた。
「僕の場合はもう気持ち、精神面ですね。入団した1年目とかは正直、自分のボールにあまり自信がなかったんです。イースタンの試合で投げるときも毎回『打たれたらどうしよう』『ストライクが入らなかったらどうしよう』とマイナスなことばかり考えてしまっていて。そんな自分を変えるきっかけを作ってくれたのが同期入団の白村(明弘)だったんですよね。彼とはプライベートでも仲が良いんですが、本当に私生活でも野球の面でもネガティブなことは一切言わないんですよね。どんなときでもいつも前向き。そういった部分というのはこれまでの自分にないものだったので、すごく触発された。そこからですね、自分をちょっと変えてみようと思ったのは」
「2年目の春季キャンプ前ぐらいからですかね、野球の面ではもうマイナスのことを一切考えないようにしたんです。仮にマウンドでピンチを背負ったとしても、自分のプラスになることだけを言い聞かせたりとか。そういったことを地道にやっていくうちに2年目はファームで結果(11勝)がだんだん出るようになってきて、自分のボールを投げれば大丈夫なんだという自信がついてきたんです。それがいまの自分につながっているかなとは思います」
セ相手でも力を出せるか
巨人は米国でプレーしていた
小笠原慎之介が新加入するなど、先発枠を巡る競争が激しいが、西舘も結果を残せば道を切り拓ける。
6月14日のファーム中地区・ハヤテ戦(Gタウン)では、3回1安打無失点。初回二死から3回先頭まで5者連続三振を奪うなど計6奪三振と状態の良さをキープしている。一軍に再昇格し、24日の
広島戦(マツダ広島)で先発登板が有力視される。セ・リーグの球団相手にも力が通用することを証明したい。首脳陣からの信頼をつかむためにも重要なマウンドになりそうだ。
写真=BBM