ファームでは好成績

巨人の3年目左腕・森田は殻を破ってほしい存在だ
ナショナルズ傘下2Aハリスバーグでプレーしていた
小笠原慎之介が6月18日に巨人に入団することが発表された。
中日時代に4年連続規定投球をクリアした左腕は、V奪回に向けて即戦力として期待されている。
小笠原の加入により、先発左腕で一軍定着を目指す投手たちは危機感を覚えているだろう。その中で殻を破ってほしいのが、
森田駿哉だ。身長185センチの長身から直球、ツーシームを相手の懐に果敢に投げ込み、フォークやカットボールを織り交ぜて打者を打ち取る。プロ2年目の昨年7月に一軍デビューし、9試合登板で3勝4敗、防御率3.58をマーク。ファームでは15試合登板で7勝5敗、防御率3.32でイースタン・リーグ優秀選手賞を受賞した。昨年11月に都内で行われた表彰式で一軍での目標を聞かれ、「最低でも100イニング以上投げられるように、心技体でレベルアップしていきたい」と誓っていた。
今年は5月10日に一軍昇格したが、同日の中日戦(バンテ
リン)で5回途中4失点。
オルランド・カリステ、
鵜飼航丞に被弾するなど2度のリードを守れず再びファーム調整になった。6月に再昇格すると
ロングリリーフ要員として2試合に登板。11日の
楽天戦(楽天モバイル)は3回からマウンドに上がると5回まで無失点に抑えていたが、6回無死一、二塁のピンチで
カーソン・マッカスカーに真ん中に浮いたフォークをバックスクリーンに運ばれた。
3試合登板で防御率6.92と思い描いた成績を残せていないが、ファームリーグでは主に先発で8試合登板し、5勝1敗で防御率1.65の好成績をマーク。他球団の首脳陣は「直球は145キロ前後ですが球速以上に威力があり、打者が差し込まれている。変化球の質もいいですし、良い球を投げる再現性を高めれば一軍でも十分に通用すると思います」と高い評価を口にする。
高校時代は世代のトップランナー
今季からメジャー・リーグでプレーする
岡本和真(現ブルージェイズ)、巨人で共闘する
岸田行倫、
西武の
高橋光成、
ソフトバンクの
栗原陵矢、
ロッテの
小島和哉と同学年。高校時代は世代のトップランナーだった。
富山商高で3年夏に甲子園出場すると、初戦の日大鶴ヶ丘高戦で完封勝利を飾り、2回戦の関西高戦でも9回二死まで無失点の快投。2試合連続完封は逃したが、11奪三振完投勝利でチームに夏の41年ぶり甲子園2勝をもたらした。3回戦の日本文理高戦は7回7安打3失点で降板後にサヨナラ逆転負けを喫したが、この活躍が評価されて高校日本代表に選出された。先発登板したU-18W杯の決勝・韓国戦は8回1/3無失点の好投。プロのスカウトの注目度が高まったが、その後は試練が続いた。
全カテゴリーを経験してプロへ
法大に進学すると1年夏に左肘の肘頭骨折が判明。保存療法を選択したが痛みは治まらず、2年冬に手術を余儀なくされた。「肘が痛過ぎて何も考えられなかった。普通に練習とかはしてましたけど、痛くて。その日その日をどうやってやるか、朝起きたら『今日は痛くないかな』とか、そう思うことしかなかった」と振り返る。4年春にリーグ戦復帰を果たしたが本来の輝きを取り戻せず、リーグ戦は1年春の開幕戦で挙げた1勝のみ。プロ志望届を提出するも指名漏れとなった。
社会人野球のホンダ鈴鹿ではプロ注目の左腕として名前が挙げられていたが、ドラフトで指名されずに月日が経っていく。巨人からドラフト2位で指名されたのは入社5年目の26歳だった。「遠回りしたと言われるけど、僕はそうは思ってない。すべてのカテゴリーの野球を経験できたし、いろいろな人に出会えた。高卒で入っていたらもうこの世界にいないかもしれない」。週刊ベースボールの取材で自身のキャリアに対する誇りを口にしていた。
自身の置かれた立場は理解している。「長く必要とされる選手になりたい。『年々良くなってるけど、そんな年齢なんだ』って言われるような選手になりたいですね。遅く入ったんでそれぐらいしないと」。プロは実力がすべての世界だ。29歳の左腕は一軍の舞台で輝くために、最善の準備を尽くす。
写真=BBM