開幕前はレギュラーに最も近い存在

開幕から本領を発揮することができていない中山
首位争いを繰り広げる
巨人は、各ポジションで熾烈な定位置争いが繰り広げられている。特に右翼は9選手が先発起用されている。このチャンスをモノにできるか。殻を破ってほしい選手が、
中山礼都だ。
開幕前はレギュラーに最も近い存在だった。本職は内野だが、昨年のシーズン途中から外野に挑戦。不慣れなポジションだったが守備範囲が広く、球際に強いことから首脳陣の評価を高めた。打撃でも6月29日の
DeNA戦(東京ドーム)でプロ初アーチを放つなど、103試合出場で打率.265、7本塁打、32打点をマーク。ウエイト・トレーニングによる肉体強化の成果が出て、打球速度が速くなった。
今年は攻守の中心選手の一人として期待されたが、開幕から打率1割台と打撃の状態がなかなか上がらず、4月15日にファーム降格。5月1日に再昇格して三番に起用されるなど期待が大きかったが、ファーストストライクに手が出ず積極性が見られない。結果を出さなければいけない重圧があるのか、慎重になっていた。好機で何度も打席が回ってきたが快音が響かず、5月14日にファームに逆戻り。本人が最も歯がゆさを感じていただろう。
求められるのはクラッチヒッター
ファーム・リーグでは15試合出場で打率.348、1本塁打、7打点と格の違いを見せている。一軍で通用する力は持っていることを首脳陣も認めている。2週間の調整期間を経て再度一軍昇格すると、光が見えた試合があった。6月5日の
ロッテ戦(東京ドーム)。「八番・右翼」で先発起用されると、0対0の5回一死一、三塁で相手先発・
廣池康志郎の149キロ直球をとらえて先制の左犠飛。6回二死満塁の好機では
八木彬の148キロ直球をはじき返し、左中間フェンスに直撃する走者一掃の適時二塁打を放った。
8回一死一塁でも
益田直也から中越え適時二塁打を放ち、自身最多の5打点と大暴れ。試合後のお立ち台で、「本当にこんな日になると思っていなかったので、チームに貢献できて良かったです」、「何もうまくいかないというか、すごく苦しい時期が続いていたんですけど、またこうやって活躍するときをイメージしながらやっていたので、結果を残せて良かったです」と喜びをかみしめていた。
中山はホームランバッターではない。求められるのは走者をかえすクラッチヒッターの役割だ。ファームで見せているパフォーマンスのように、積極果敢にストライクゾーンに来た球を捉えればおのずと結果がついてくる。
中距離打者の成功モデル

勝負強く、広角にライナーを飛ばす打撃を見せ巨人打線の中で存在感を発揮した清水
中距離打者の成功モデルと言えるのが、広角に弾丸ライナーをはじき返して安打を積み重ねた
清水隆行氏だ。入団当時の巨人は
落合博満、
松井秀喜、
広澤克実、
シェーン・マックなど強打者がそろっていた。
清水氏は「まさにテレビで見ていた人たちで、実際に生で彼らのプレーを見ると、一つひとつの動きが想像をはるかに超えるレベルの高さでした。練習からしてそうなんです。今でも強烈に覚えているのが、打撃練習ではほとんどがサク越えだったこと。アマチュア時代にそんなのは見たことがありません。つまり、飛ばすコツが分かっている技術の高さなわけですが、ホームランバッターではない人たちもそうですから、『自分は大丈夫か?』となるのも分かっていただけると思います。そういう選手に囲まれてのキャリアのスタートですから、果たして自分は何年プロの世界に生き残れるかな? と早くも感じていました。一軍でプレーできる自分は想像できない。開幕一軍を目指そうとか、レギュラーを獲りたいとか、そんなことは考えている余裕もなく、目先のことを一生懸命やる毎日でした」と週刊ベースボールのインタビューで振り返っている。
中距離打者として大卒1年目から外野の定位置をつかむと、六、七番で勝負強い打撃を発揮。107試合出場で打率.293、11本塁打、38打点をマークし、
広島と最大11.5ゲーム差をひっくり返してリーグ優勝を飾る「メークドラマ」の立役者になった。
高卒で入団した中山は今年でプロ6年目を迎える。自身の打撃スタイルを確立し、定位置をつかめるか。V奪回に貢献するため、ここから巻き返しを図りたい。
写真=BBM