首位・西武とは5ゲーム差
パ・リーグが混戦模様になっている。
西武が首位を快走していたが、リーグ3連覇を狙う
ソフトバンクが1ゲーム差に接近。6月は15勝5敗と好調の
日本ハムも3ゲーム差に迫ってきた。そして、オリックスも十分にチャンスがある。28日の
楽天戦(ほっと神戸)で5対2と快勝。西武に5ゲーム差と逆転優勝の射程圏内につけている。3年ぶりのV奪回に向け、攻守のキーマンになるのが
宗佑磨だ。
中嶋聡前監督に、外野から三塁へコンバートされたことが野球人生のターニングポイントになった。2021年からベストナインとゴールデン・グラブ賞を受賞してリーグ3連覇の原動力に。打球への反応速度が速く、ダイナミックな守備で球際が強い。正確性も高く、好守で幾度もチームを救った。
かつては遊撃を守っていたが、「リズム感を持って臨むこと。ショートのころはバウンドに合わせる感覚でしたけど、三塁は『自分が捕りにいく』イメージ。捕球姿勢を考えていると(打球の速さに)刺されるので、もう考える時間はありません」と週刊ベースボールの取材で違いを語り、「僕は形にとらわれない意識です。自然の摂理に任せて、打球の流れに逆らわない。反応に任せる感じ。何も考えていないんです」、「捕るか捕れないか。まず、そこからスタート。キャッチできれば当然、投げる。僕たちの目的は『きれいに捕る』ことじゃなくて『打者をアウトにする』こと。あらためて、そこに気がつけたのは三塁を守り始めたぐらいからでした」と明かしている。
勝負強く、出塁能力に優れる
打撃でもパンチ力と勝負強さが光ったが、近年は不完全燃焼が続いた。24年は4年ぶりのファーム降格を経験するなど打率.235にとどまり、昨年は開幕から打撃不振から抜け出せず5月に約1カ月間ファームで過ごした。夏場に体重83kgから75kgまで体重が落ち込むことも。2年連続で100試合出場をクリアできず、「(もどかしさを)めちゃくちゃ感じますね。レギュラーとして3年やった時期があって、結果を気にしてそのときと比べてしまうことがある。毎年新しい自分をつくっていかないといけないので、それではやっぱりダメなんですよね」と責任を背負い込んでいた。
今年にかける思いは強い。6月20日の西武戦(京セラドーム)で下半身の違和感で4回の守備から途中交代したが、スタメン復帰した23日のソフトバンク戦(みずほPayPay)で2本の適時打を放って勝利に貢献。翌24日の同戦は1点差を追いかける2回二死二、三塁でソフトバンク・
中村稔弥のカーブを振り抜き、右翼席へ6号3ランを放った。67試合出場で打率.242、6本塁打、26打点と本人は納得できる数字ではないかもしれないが、得点圏打率.340を記録し勝負強さを発揮。チーム2位の出塁率.342が示すように選球眼も優れている。三塁の守備力の高さもリーグ屈指だ。
打席にどれだけ全力で向き合えるか
順調にいけば今年中にFA権を取得する。三塁のレギュラーを固定できていない球団が多いため、市場価値が高いことが予想される。「守り勝つ野球」を目指すなら、ピタリと当てはまるピースになるだろう。もちろん、今の宗はV奪回しか頭にない。
「僕としては1打席1打席で、より成長できるようにやってきている。たとえその打席で凡退したからといって、それが失敗でもないし、ヒット打ったからといって成功でもない。結果とかではなく、その打席にどれだけ全力で向き合えているかを、自分の中ですごく大事にしています。成長を感じる部分もありますけど、そこに目を向けるのではなくて、成功した中でも課題を見つけるところを常に考えてやっているので。うまくいくときも、いかないときも、どちらも僕なので。僕がその試合でできることは、その日の100%を1打席、1球にぶつけること。その打席で出た課題を、次の打席に生かすことの繰り返しでやっていきます」
オリックスファンが声を張り上げて歌う応援歌が、宗の野球人生に重なる。「胸の奥で熱くたぎる想い全て出し切れ 壮絶な争いに勝ち残れ最後まで」。毎試合、毎打席にすべてをかける。
写真=BBM