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防御率0点台でMVP級の活躍 新天地で覚醒した「現役ドラフトの最高傑作」は

 

翌日の登板でリベンジ


移籍2年目の今季もリリーフとして好成績を残している田中瑛


「一流」と呼ばれる投手は気持ちの切り替えが早い。7月5日の中日戦(バンテリン)。巨人田中瑛斗が1点リードの8回にマウンドに上がると、二死から連続四球で一、二塁のピンチを招いたが、ミゲル・サノーを初球のシュートで中飛に仕留めた。

 開幕から好投。セットアッパーの大勢が3試合連続失点と安定感を欠いたため、今月に入って8回を託された。だが、4日の中日戦で同点の8回に一死から細川成也に右翼フェンス直撃の三塁打を浴びると、石川昂弥にフルカウントから投じたスイーパーをとらえられて左中間を破られる適時二塁打。決勝点を献上し、今季初黒星を喫した。

 マウンドで味わった悔しさは、マウンドで取り返すしかない。翌日の登板できっちりリベンジを果たした。33試合登板で1勝1敗1セーブ23ホールド、防御率0.64。阪神と熾烈な首位争いを繰り広げるチームの中で、MVP級の活躍を見せている。

シュートを軸にした投球スタイル


 現役ドラフトで移籍し、成功した最高傑作と言えるだろう。2024年オフに日本ハムから移籍すると、シュートを軸にした投球スタイルで打者をねじ伏せた。62試合登板で1勝3敗36ホールド、防御率2.13と大活躍。日本ハムでは主に先発で登板していたが、中継ぎで自身の居場所を見つけた。週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「自分のものというか、自分に合っているのかなという実感はしましたね。1年間、中継ぎでやってみて、体力的なところだったり、メンタル的なところであったり、先発をやっていたときと比べて充実しているというのはありました。自分のものになったという感覚は今でもないですし、いいピッチャーがたくさんいるのでミスが命取りになるという気持ちでずっとやっていますけど、やりがいを感じた1年ではありました。去年はチームのターニングポイント的なところで出してもらうことが多かったので、そういう場面を抑え切ったときのチームの盛り上がりだったり、ファンの皆さんの歓声だったりというところがすごくやりがいを感じる部分でした。ファンの歓声というところでは、今年になって特にそう感じています」

 相手チームは対策を講じてくる。活躍し続けるためには、さらなるレベルアップが必要になる。「もっと圧倒的にバッターを抑え込みたいというのがあります。まだオフシーズンに練習してきたものを試せていないですし、自分が投げたい球を投げられるシチュエーションではないというところはあるんですけど、もう少し引き出しを使って投げていきたいという、個人的な欲望の部分です」と話していたが、今年はシュートと対になる形で威力を発揮しているのがスイーパーだ。右打者の外角に逃げていく軌道で空振りを奪う。さらに、フォークも織り交ぜることで投球の幅が広がっている。昨年は左打者の被打率が.278だったが、今年は.217と大幅に改善。投球全体でも被打率.190と連打を許す確率が非常に低い。

優勝には強力リリーフ陣が必須


 強いチームは救援陣が安定している。巨人が12年からリーグ3連覇を達成した際はスコット・マシソン山口鉄也西村健太朗と強力な3人のリリーバーがいた。

 当時一軍投手総合コーチだった川口和久氏は「僕は、現代野球では抑えじゃなく、7-8-9回を投げる3人のセットが重要だと思います。少し前なら阪神の『JFK』ですね。実際、抑えの西村を生かしたのはマシソンと山口だったと思います」、「マシソン、山口、健太朗が確立してからはコーチとして楽をさせてもらいました。他球団のコーチに言われたこともあります。『巨人を相手にするときは6回までに決めなきゃ勝てない』って。彼らへの最高の褒め言葉じゃないかな」と振り返っている。

 現在の巨人も「勝利の方程式」を担う田中瑛、大勢、ライデル・マルティネスがV奪回のキーマンになることは間違いない。現役ドラフトで移籍し、大輪の花を咲かせた右腕の全盛期はこれからだ。

写真=BBM
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