リーグ2位のアベレージ

5年目の今季、攻守に躍動したプレーを見せている水野
6月以降は19勝7敗。エンジンが掛かった
日本ハムを攻守で牽引しているのが、プロ5年目の
水野達稀だ。
「新庄チルドレン」は飛躍的に成長している。今年は二塁で開幕戦に先発出場したが、4月中旬以降は遊撃のレギュラーに定着。俊足を生かした広い守備範囲と球際の強さを見せているが、目を見張るのが打撃だ。好不調の波が少なく、6月は打率.338、3本塁打、8打点をマークした。
7月に入っても好調を維持している。「二番・遊撃」で出場した2日の
オリックス戦(エスコンF)で、
水谷瞬が先頭打者弾を放ったのに続き、右中間へ5号ソロ。三番の
フランミル・レイエス、四番の
万波中正もアーチを放ち、球界史上初の初回先頭から4者連続本塁打の偉業を達成した。4人でお立ち台に上がると、大柄な3人に囲まれる形になった身長171センチの水野は「ジェシー(水谷)のホームランパフォーマンスが長いので、僕の登場曲が聞こえなくてちょっと腹立ちました」とジョークでスタンドの笑いを誘った。
打率.304はチームメートのレイエスに次ぐリーグ2位の数字。ホームランバッターがそろい、つなぎの役割が求められる打席が少なくない中で、ハイアベレージは大きな価値がある。コンタクト能力の高さに加え、打球に力強さが増している。17本の二塁打はリーグ3位で、6本の三塁打はリーグトップ。左中間、右中間を射抜く打球が増えている。
筋肉の鎧をまとった肉体に努力の跡が見える。体作りの一環で取り組んだベンチプレスのMAXは140キロまで上がる。他球団のスコアラーは「穴がないですよね。速い直球をきっちりはじき返せるし、変化球への対応力も高い。広角に打てるし、甘く入れば長打を打つツボを持っている。
近藤健介(
ソフトバンク)に重なります。打撃に関しては感覚をつかんだように感じます」と警戒を口にする。
期待に応える有言実行
新庄剛志監督に恩返ししたい気持ちは、誰よりも強い。社会人野球のJR四国からドラフト3位で入団。同じタイミングで指揮官が就任した。就任会見をすべて見て、「何かやるだろう、という期待感を皆さんが持っていると思いますし、そこに、自分も関わりたいです。そのためには、チャンスをいただいたときに結果を出せる準備をし、練習から自分の得意な打撃を中心に『コイツを使いたい!』と思ってもらう技術を披露していきたいです」と闘志を燃やしていた。
そして、有言実行で期待に応える。新人のときに「九番・遊撃」でいきなり開幕スタメンに抜擢。3年目の24年はオープン戦中に遊撃の定位置で起用することを通達され、「めちゃくちゃびっくりしたけど、あれがなかったら今の自分はなかった」と感謝の思いを口にする。自己最多の105試合に出場し、打率.220、7本塁打、37打点をマーク。2年連続最下位から2位に躍進する原動力となり、「
ボスを日本一にしないと辞めさせられないので。ボスが無理だなって思う前に、日本一を絶対に獲りたいなと思います」と気持ちを新たにした。
優勝のために全力プレー
昨年は100試合出場で打率.247、7本塁打、39打点。2年連続で開幕スタメンに名を連ねたが、5月末から左ハムスト
リングス筋損傷で約1カ月間離脱したのが響き、自身初の規定打席到達は達成できなかった。守備能力が高い新人の
山縣秀が台頭し、俊足巧打で総合力が高いドラフト3位の
大塚瑠晏も新たに加わって定位置奪取を虎視眈々と狙っている。
ほかのポジションと同様に、遊撃で結果を残さなければ試合に出場できる保証はないが、水野に慢心はない。7月4日の
楽天戦(楽天モバイル)で2点差を追いかける4回に、
前田健太から左前打を放ち、自己最長記録タイの12試合連続安打。強打者を測る指標で出塁率と長打率を足し合わせたOPSは.812で万波、
清宮幸太郎を上回り、リーグ4位の数値を記録している。
水野と同学年の「00年世代」は万波、水谷、
野村佑希、
田宮裕涼、
奈良間大己、
矢澤宏太、
金村尚真、
吉田賢吾とチームの中心として期待される選手たちがそろう。強敵のソフトバンクを倒してV奪回へ。勝利を積み重ねるため、水野はきょうもグラウンドを疾走する。
写真=BBM