5試合連続安打と快音
7月に入って引き分けを挟んで5連勝。まだ借金10を抱えているが、
DeNAが上昇気流に乗ってきた。6試合で計36得点と活発な打線で、起爆剤になっている存在が、シーズン途中に加入したヘラル・エンカーナシオンだ。
7月2日に一軍昇格すると、5試合連続安打と快音を響かせている。5日の
ヤクルト戦(神宮)で4安打3打点の固め打ち。初回に二死一塁で外角低めのフォークを左中間にはじき返す先制の適時二塁打を放つと、3回も二死一、二塁から2点目の右前適時打。1点差に迫られた9回二死一塁は右中間に適時二塁打と貴重な追加点を叩き出した。2試合連続の猛打賞をマークし、右翼の守備でも初回にフェンス際の飛球を好捕した。
エンカーナシオンの魅力は強打だけではない。3日のヤクルト戦(神宮)で延長10回に1点を勝ち越してなおも二死満塁の好機で、
大西広樹の外角低めスライダーにバットが折れて遊撃へボテボテの打球だったが、ヘルメットを飛ばして一塁へ全力疾走。適時内野安打となり、相手の悪送球も誘って2点をもぎ取った。守備でも持ち味の強肩を発揮。1点リードの8回一死一、二塁で
増田珠の右前打を捕球すると、ノーバウンドでバックホーム。勝ち越しの走者の本塁生還を阻止した。
助っ人野手の活躍が難しい時代
マー
リンズ時代に2022年6月19日のメッツ戦でメジャーデビュー。7回にセス・ルーゴから逆転満塁弾を放った。デビュー戦での満塁アーチは、ドミニカ共和国出身選手で史上初の快挙だった。その後は目立った活躍ができなかったが、マイナーでは22年から3年連続で20本塁打以上を記録。パワーが大きな魅力だが、変化球への対応力が高くコンタクト能力に優れる。日本野球向きの助っ人外国人と言えるだろう。
一昔前は外国人選手が打撃タイトルを争うのが日常の風景だったが、NPBの投手のレベルが上がったことで、助っ人が活躍するのが難しい時代になっている。今年のセ・リーグで規定打席に到達している外国人選手は
ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)、
ボビー・ダルベック、
トレイ・キャベッジ(ともに
巨人)の3人のみだ。
日米の投手の違い
DeNAは
クーパー・ヒュンメルが今季から加入したが、59試合出場で打率.209、5本塁打、18打点。打撃の調子が上がらず今月1日にファーム降格となった。ヒュンメルは週刊ベースボールのインタビューで、日本と米国の投手の違いについて以下のように語っている。
「日本の投手の攻め方として、本当に日々変わってくるというのがあると思います。アメリカには『ブック』という、いろんなデータが入っているファイルがあるんです。そこにピッチャーの強みなどいろいろなものが入っていて、そのデータを基にどういった攻め方をするのか、ある程度、そこに集約されています。だけど日本では、例えば第1打席にスライダーで攻められても、そのスライダーをうまくヒットにすることができたら、もう次の打席からスライダーが来なくなる。その1打席1打席で、相手のアプローチが変わってくることが難しいところです。チェスゲームみたいな感じで、日々変わっていくんです」
「アメリカの攻め方は本当に一辺倒というか、その一つのアプローチにこだわっているというか、ずっと続けてくる感じです。例えば、そのピッチャーの一番いい持ち球が真っすぐだったら、その真っすぐの力で勝負するし、スライダーがベストピッチだったら、そのベストピッチを常に投げ続けてアウトを取りにいくという姿勢です。日本は逆に、『このバッターはこの球種が弱いから、この球種をずっと投げ続ける』。それは、たとえピッチャーのベストピッチではなくても、その相手の弱みがこの球種、このゾーンだったら、そこに投げ続けていくっていうのが日本のスタイルですね。アメリカでは、どの投手相手にも同じアプローチで向かっていっても結果が出せたのが、日本に来ると、ピッチャーによって違うアプローチをかけないとうまくいかない。いろいろなピッチャーに対して違うアプローチを持っていないといけないんです」
エンカーナシオンは6試合出場で27打数10安打、打率.370と最高のスタートを切ったが、今後は相手バッテリーの攻め方が厳しくなることが予想される。首位・
阪神と8ゲーム差。まだまだあきらめる数字ではない。逆転優勝を狙うDeNAの救世主になれるか。
写真=BBM