広角に打ち分けるバットコントロール

法政二高の四番・榑松は178cm75kg。右投げ左打ちの好打者で、二塁守備にも定評がある[写真=BBM]
▽神奈川大会3回戦(7月14日)
法政二高6-1星槎国際湘南高
法政二高には不動の四番がいる。左の好打者・榑松正悟(3年)だ。昨秋は県大会準優勝。33年ぶりの関東大会出場を遂げ、花咲徳栄高との1回戦ではプロ注目右腕・黒川凌大から右越え本塁打を放つなど、勝負強さが際立つ。判断力の良い二塁守備を含め、法政二高・絹田史郎監督から攻守の要として全幅の信頼を得ている。
星槎国際湘南高との神奈川大会3回戦でも存在感を見せた。得点圏で迎えた第1、第2打席は冷静に四球を選んだ。相手校のバッテリーが最も警戒する打者であり、勝負を回避してきた。6回表の第4打席では一死一塁から初球を中前へ運んだ。3打数1安打(2得点)で、チームの4回戦進出(6対1)に貢献した。ここまで3試合で、9打数5安打2打点。広角に打ち分けるバットコントロールに、高校通算9本塁打と一発もある。
父は巨人スカウトディレクター

法政二高の四番・榑松の父・伸介さんはスタンドで声援を送った[写真=BBM]
この日は父・伸介さん(
巨人スカウトディレクター)が三塁側の応援席で観戦。ドラフト対象選手がいた第1試合を視察後、法政二高が組まれた第2試合はオレンジのTシャツに着替え、息子のプレーに大声援を送った。安打を放つと、スタンドでは他の保護者から祝福され、笑顔を見せる姿も。父・伸介さんは浜松北高を経て、青学大では4年春(1998年)にベストナイン(DH)を受賞した巧打者だった。父のDNAを継ぐ榑松は50メートル走6秒2の俊足。卓越した打撃技術を含め、野球をよく知っている。法政二高での甲子園出場を目指すため、難関の中学入試を突破し、法政二中に進学した背景がある。中学時代は強豪・世田谷西シニアでプレーし、高校入学後は1年秋からベンチ入りし、活躍の場を広げてきた。抜群の野球センスとポテンシャルを秘めており、将来のプロ入りを目指している。
「悔いのないように最後の夏、チームのために全力プレーを貫いてほしいです」
父・伸介さんはエールを送る。プロ野球のスカウトとは、全国を飛び回る多忙な職種で、この夏のスケジュールもびっしり。この日はタイミングがうまく合ったが、神奈川大会で息子の雄姿が見られるのは、この日が最後の予定だという。次のチャンスは仕事として足を運ぶ甲子園である。「夏に向けてチーム力を上げてきました」と明かす榑松は伝統校の四番として、覚悟と責任を背負う。関東学院高との4回戦は、16日に控える。法政二高は今夏、ノーシードから1988年夏以来の聖地を狙っている。
取材・文=岡本朋祐