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猛暑のベルーナで見えた西武・渡部聖弥の真の価値 「爆発力」より尊い「戦力であり続けること」

 

首位・ソフトバンクと3ゲーム差をキープ


5回に貴重な犠飛を放って勝利に貢献した渡部聖


 西武は7月14日のロッテ戦(ベルーナ)に2対1で競り勝ち、交流戦後は2度目、7月に入って初の連勝を飾った。貯金を13に戻し、首位・ソフトバンクとの3ゲーム差をキープした。

 打線は2回、主砲タイラー・ネビンがライナーで左翼スタンドへ突き刺す12号ソロで先制。5回一死一、三塁では渡部聖弥が中堅深くに犠飛を運び、欲しかった追加点を奪った。

 これを先発・平良海馬が6回7安打無失点と粘投し、リリーフ陣にバトンタッチ。篠原響トレイ・ウィンゲンターが無失点リレーでつなぎ、最後は守護神・甲斐野央がマウンドへ。甲斐野は3者連続四球で無死満塁の大ピンチを招いたものの、藤原恭大を一ゴロ併殺打に打ち取り、失点は1点のみ。なんとか接戦を逃げ切り、平良は今季7勝目(2敗)を手にした。

 6月6日の中日戦(バンテリン)以来となる一発が決勝弾となったネビンは「あの打席ではしっかり真ん中付近の球を狙っていた。カットボールをしっかりと仕留められた」とコメント。9回無死満塁のピンチで完成させた併殺については「甲斐野さんもマウンドで頑張ってくれていたので、守備もそれに応えるべきだと思ってプレーしていた」と語り、攻守一体となってつかんだ白星を喜んだ。

 西口文也監督は5回の追加点を高く評価し、「(石井)一成がよく打ってくれて一、三塁の形をつくってくれて(渡部)聖弥が大きいフライを打ってくれてよかった。ずっと連勝できていなかったので、これで勢いを取り戻してくれたらいい」とコメント。投打がかみ合い、守り勝つ西武本来の戦いぶりに復調への手応えを口にした。

昨年の経験を生かして


 東京が今年初の猛暑日を記録したこの日、ベルーナドームの不快指数も上昇。毎年、多くの選手が苦しむ高温多湿の夏がいよいよ本格化し、ライオンズにとっても真価が問われる季節が幕を開けた。

 その中で存在感を放っているのが、チーム最多の84試合に出場する渡部だ。この日も犠飛で追加点をもたらし、三塁守備では再三の好守で平良ら投手陣を援護。攻守両面で欠かせない働きを見せた。

 渡部はベルーナドームの暑さについて「ヤバいですね。ちょっと沖縄(遠征)があったので、(屋根で)日差しがない分いいかなと思いながら、やっぱ暑いです」と苦笑いを浮かべていた。

 昨季は7月打率.217、8月打率.160と夏場に失速した渡部だが、今季7月はここまで打率.286と好調を維持。その要因として挙げたのが、オフから取り組んできた下半身強化による土台づくりだった。

「昨シーズンだと、移動とかでずっと座ってたりすると、骨盤が疲れてきて(上体が)前傾していた。背中が張ってきて、ちょっと前かがみになってしまっていた。背中が張った状態で、構える時もお尻が後ろに出たような構えになると、打ち取られる時に全部後ろ体重になって、お尻が引けたような空振りが増えていた。最近はそういったところも安定してきている」

 長距離移動や連戦が続く夏場は、疲労の蓄積がフォームのわずかなズレにつながる。昨季はその影響を受けて成績を落としたが、今季は鍛え上げた下半身が土台となり、疲労がたまってもスイングの再現性を保てるようになったという。

 チーム最多の試合出場についても「ありがたいですね。打ってる、打ってないというよりは、やっぱり試合に出させてもらうことで、自分の成長にもつながるし。自分の役割というか、立場があるというのはありがたいと思います」と語り、首脳陣から寄せられる信頼への感謝を口にした。

 同学年の長谷川信哉は前半戦68試合で打率.286、9本塁打、30打点をマークし、交流戦MVPに輝くなどブレークを果たした。しかし左手有鈎骨骨折により約2カ月の戦線離脱を余儀なくされ、その穴は決して小さくない。

 一方の渡部はここまで84試合に出場し、打率.258、7本塁打、35打点。爆発的な数字こそ残してはいないが、大きく調子を落とすことなく毎日のようにグラウンドへ立ち続け、攻守で安定したパフォーマンスを積み重ねている。長いペナントレースでは、突出した活躍だけでなく、故障なく戦力であり続けることも大きな価値となる。

 数字だけでは測れない「毎日いる安心感」。それこそが今、首脳陣が渡部に寄せる最大の信頼と言えるだろう。

文=伊藤順一 写真=BBM
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