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マーリンズ入りを決断したスタンフォード大・佐々木麟太郎が「休学」を選択した理由

 

「挑戦→復学→卒業」の道


7月19日の記者会見では佐々木[左]と顧問弁護士である水野弁護士[右]が同席した[写真=BBM]


 スタンフォード大・佐々木麟太郎(2年)が7月19日、花巻市内で進路表明会見を開いた。人生の岐路。昨年10月23日のNPBドラフトではDeNAソフトバンクが1位入札。抽選の末、ソフトバンクが交渉権を獲得した。アメリカ現地時間7月12日には、MLBドラフトでマーリンズから8巡目(全体235位)指名を受けた。佐々木にはNPB、MLB、そして大学在学(9月から3年生)と3つの選択肢があった。交渉期限はMLBがアメリカ東部時間27日の午後5時に対して、NPBは7月31日と迫っていた中、18日までにマーリンズ入団を決断。同日、エージェントを通じて、ソフトバンクに対して入団の意思がない旨を伝えた。

 佐々木にはブレない一つの方針があった。かねてからアメリカ留学の大前提として「意志として、卒業したい。揺るぎないものがある」と語ったことがある。「野球だけできる人間を目指しているのではなく、野球もできる人間になりたい」。根底が揺らぐことはなかった。

 この日の会見には、佐々木の顧問弁護士である水野雄太弁護士(水野国際法律事務所代表)が同席した。佐々木の「その後」を、補足説明するためだった。

 アメリカには国としての大学の教育文化として「休学制度」が定着している。まずは競技を優先し、オフシーズンや引退後に学位を取得することが一般的に行われている。スタンフォード大はアスリート支援に寛容であり、期間を設けず、履修することができるという。過去にも同大学出身のMLB、NFL、NBAのスター選手が「挑戦→復学→卒業」という道を歩んできた。水野弁護士は佐々木の「休学」について言及した。

「アメリカのメジャースポーツでスタープレーヤーも含めて、一度、プロに挑戦した後、プロのアスリートとしてのキャリアを終えた後、あるいは現役の合間に単位を取ったりして卒業するという例は多々ありまして、そういった文化が一般的になっております。スタンフォード大学は文武両道の大学として、学歴偏向ではあるんですが、NCAAは各競技において優秀な成績を何年も続けて収められている大学ですので、休学制度に対しての理解が非常にある。私自身もスタンフォード大学を卒業しており、今もスタンフォードアスレチックスという組織とやりとりがあるんですけれども、そこは非常に感じるところであります。佐々木選手は今回、スタンフォード大学を離れ、野球選手として、プロのキャリアを歩みます。卒業を前提に、マーリンズさんからは学業面のサポートもいただけるという話をいただいている。今回、いろいろな選択肢がある中で、マーリンズさんに入団されるというところですけども、当然、いま私が申し上げたように、スタンフォード大学にしっかり戻れるというところも、本人にとっては(進路を決断する上で)大きな要素だったと考えております」

人生にとって一番の財産、宝物


水野弁護士はスタンフォード大出身。「休学制度」について丁寧に説明した[写真=BBM]


 佐々木は異国の地で通訳を置かず、日々、英語と向き合い、本物の文武両道を貫いてきた。スタンフォード大での2年を振り返る。

「自分の人生にとって一番の財産、宝物でしかないと思っています。スタンフォードの監督、コーチに対して本当に感謝しかないです。本当に私自身を評価していただいて、拾っていただいて、スタンフォードでプレーしてきました。岩手で18年間、育ってきましたけど、どこにも行ったことのないような本当に田舎っ子がアメリカで2年間、野球選手、人間としても揉まれたことが、すごく自分自身にとって、成長する場となりました。野球において世界最高峰の国で、ましてやディビジョンワンのレベルの高い大学のカンファレンスリーグで、2年間揉まれたことが、一番の財産だったんじゃないかなと思っています。最終的なオプションとして、大学に残留するというところも、最後の最後まで考えていたところでした。改めて、どの決断をしても自分の中では素晴らしい選択になるんじゃないかなと思っていたので、悩みに悩んだ結果、最終的な今回の決断だったと思います」

 決断のポイントはこうだった。

「個人的にアメリカで挑戦したかった。自分が置かれている環境の延長線上で、同じ国で挑戦したかったというのもありますし、年齢の関係上、自分自身もいつ野球人生が終わるかもわからない中で、自分自身が目標にしている環境(メジャー)に一番近い場所でプレーさせていただきたいなという気持ちで、最終的に選ばせていただいた」

 マーリンズ入りを機に、プロとして野球に専念する。マイナーから一つひとつ昇格を重ね、メジャーを目指す。トップアスリートとして、競技ができる時間には限りがある一方で、学業と向き合うのは別の機会がある。佐々木は新たな野球選手像を示していく。
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