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「朝は二軍、昼に昇格、夜は一軍ブルペン」西武・山田陽翔を襲った“14時間超の復帰初日”

 

突然告げられた一軍昇格


二軍から一軍へ。慌ただしい復帰初日を迎えた山田[2025年撮影]


 西武4年目の山田陽翔が7月22日、日本ハム戦(ベルーナ)で慌ただしい一軍復帰初日を迎えた。

 3年目の昨季にプロデビューを飾った山田は、49試合に登板して3勝3敗1セーブ17ホールド、防御率2.08をマーク。勝利の方程式の一角として飛躍を遂げた。

 さらなる飛躍が期待された今春キャンプは一軍(宮崎・南郷)でスタートしたものの、3月にコンディション改善を目的とした「右肘関節鏡視下クリーニング術」を受け、戦列を離脱した。

 長いリハビリ期間を経て7月11日のファーム・リーグ中地区DeNA戦で実戦復帰。中継ぎとして4試合4イニングを投げ、3安打無失点、4奪三振と順調な回復ぶりを示し、この日、ついに一軍昇格を勝ち取った。

 ただ、その一日は実に目まぐるしかった。

 この日の“出勤時間”は午前8時。ファームのヤクルト戦に備え、午前9時10分開始の二軍練習に参加。ベルーナドームに隣接するカーミニーク・フィールドで汗を流し、昼食を済ませてベンチ入りしていた。

 すると午後1時頃、二軍戦が始まったばかりのタイミングで突然、一軍昇格を告げられた。

「試合があったのでベンチにも入っていました。13時ぐらいに言われました。二軍戦が始まったくらいのタイミングです」

 二軍戦に出場するはずが、そのまま一軍へ。まさに“電撃昇格”だった。

 日本ハム戦前のチーム練習に合流すると、久しぶりの一軍投手陣と笑顔でストレッチをこなし、外野でキャッチボール。ところが、ほどなくして一人だけ練習を切り上げ、そのままロッカーへ引き揚げていった。

 記者から「早上がり?」と声を掛けられると、「もうファームでやってきているんで。このあとちょっと(体を)休ませます」とニヤリ。朝から二軍で汗を流してきたことを思えば、その一言にも納得がいった。

進化した姿で勝利に貢献


 もっとも、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。

「やっぱり投げられなかったのはきつかったですね。投げることが仕事なので。投げられない期間は(手術から)1カ月半ぐらい。5月くらいですかね。まずはネットスローから始めたんですが、投げても痛みが出るとか全然あったので。もう1カ月ピッチングはするなとなって、ちょっとずつやっていって、そこで痛みがなければ、という感じでした」

 リハビリは一歩前へ進んでは立ち止まる、その繰り返しだった。「順調ではありましたけど、投げると痛みが出ることもありました」。野球人生で初めて経験した手術は、想像以上にもどかしい時間だった。

「いま思うと経験してよかったと思いますけど、本当にいま強く投げられているんで、(その)ありがたみも感じられていますし。手術したときは早く投げたいし、早く仕事がしたかった」

 投げられない間も一軍戦はマメにチェック。マウンドに立てない悔しさを抱えながら、復帰の日だけを見据えてきた。

 そして迎えた待望の一軍復帰。二軍のベンチから一軍のブルペンへと、激動の一日だったが、その表情は晴れやかだった。

 目指すのは昨季の再現ではない。さらに進化した姿で勝利に貢献することだ。

「しっかり打者と勝負して抑えて(ベンチに)帰るという自分の仕事を全うしたい。(4カ月間は)レベルアップの時間ではなかったので、新たな武器はないです(笑)。でも去年以上のコンディションではあると思うので、チームの勝利に貢献できるよう頑張りたい」

 ナイターの日本ハム戦は同点の延長10回、タイラー・ネビンのサヨナラ本塁打で西武が4対3で勝利した。投手6人がつないだ延長戦でも出番は訪れなかった。それでも、朝8時にファーム施設へ入り、昼は突然の一軍昇格、夜はブルペンで出番を待った。14時間を超える“ひとりダブルヘッダー”は、長いリハビリ生活に終止符を打つ、忘れられない復帰初日となった。

文=伊藤順一 写真=BBM
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