首位とは5.5ゲーム差

シーズン終盤の戦いを見据える西口監督
昨季までとは違う戦い方が、
西武にはできるようになってきた。パ・リーグ2位の西武は7月24日の首位・
ソフトバンク戦(ベルーナ)に3対7で敗れ、首位との差は5.5ゲームに広がった。
球宴まで残り2試合。貯金は13となり、2022年以来の「貯金ターン」、さらにリーグ連覇を果たした2019年以来となる2ケタ貯金で前半戦を折り返すことが確定した。
この日は、王者・ソフトバンクとの地力の差を改めて感じさせられる一戦だった。
タイラー・ネビンの先制ソロ、
林安可の同点2ランで食らいついたものの、その後は打線がつながらず、投手陣も踏ん張り切れなかった。
西口文也監督は「打ち負けた。(ネビン、林安可の)本塁打もあったが、それ以外はチャンスらしいチャンスをつくれなかった。(二番手の
エマニュエル・ラミレスは)点を取られる以前に、あのフォアボールに尽きます」とコメント。3失点につながった先頭・
川瀬晃への四球を敗因に挙げた。
球宴後の戦いを見据えて
それでも、3年連続Bクラスからの再建という視点で見れば、ここまでの戦いは十分に評価できる。だが、7年ぶりのリーグ優勝を目指す現場に満足はない。「これ以上、ホークスに離されるわけにはいかない」。その思いはチーム全体で共有されている。
試合前には
佐藤隼輔、
岩城颯空、
仲三優太を一軍登録し、
上田大河、
篠原響を登録抹消。球宴後の戦いを見据え、思い切った戦力の入れ替えに踏み切った。
岩城は今季26試合で1勝18セーブ2ホールドを挙げ、守護神としてブルペンを支えてきた。しかし、6月10日の
広島戦(ベルーナ)から3試合連続で本塁打を浴びるなど疲労も見え始め、6月24日に登録抹消。ファームではリカバリー期間を挟み4試合連続無失点と状態を整え、「どうやって相手を打ち取るのか、自分のスタイルを見つめ直してきました」と手応えを口にして一軍へ戻ってきた。
だが、この日は9回に四番手で登板。ファームで
炭谷銀仁朗から助言を受けた緩急を意識し、25球中6球でカーブを交えたものの、スライダーを捉えられて一、三塁のピンチを招くなど本来の内容とは言えず、西口監督も「今日に関しては抹消前よりいいとは思えなかった」と厳しい評価を下した。
一方、入れ替わる形でリフレッシュ期間に入った高卒2年目の篠原も、前半戦は31試合で1勝2敗1セーブ23ホールド、防御率2.10と勝利の方程式の一角を担った。しかし、一軍フル帯同による疲労は隠せず、直近4試合の防御率は9.82。奪三振もゼロと本来の投球ができなくなっていた。
本人も「ストレートでファウルが取れない。だから三振も取れない」と状態を冷静に分析していた。
カギを握るブルペン陣の層の厚さ
球宴前最後のソフトバンク3連戦、そして球宴明けから8月末までは本拠地で16試合。西武にとって、この期間が「勝負の9月」を迎えるための重要な土台となる。
投手力を軸に守り勝つ野球を掲げるチームにとって、酷暑の夏をどう乗り切るか。そのカギを握るのはブルペン陣の層の厚さだ。
ウィンゲンター、
甲斐野央、
中村祐太、E.
ラミレス、岩城に、故障から復帰した
森脇亮介、
山田陽翔、さらにリフレッシュを終えた篠原が加われば、救援陣は再びリーグ屈指の陣容となる。
チーム関係者は「そもそも去年までは、先々を見据えて選手を入れ替える余裕なんてなかった。それだけ選手層が厚くなっていること自体が、チームとして大きな前進じゃないですか」と話す。
首位との差は5.5ゲームに広がった。しかし、ここ数試合の大胆な選手の入れ替えこそ、西武が昨季までとは違うチームへ変わりつつある証しでもある。目先の1勝だけを追うのではなく、疲労を見極めながら戦力を循環させ、勝負の9月へ照準を合わせる――。そんなマネジメントが可能になったことも、再建途上にあるチームの確かな成長と言えるだろう。
真夏の総力戦を勝ち抜けるか。その答えが、7年ぶりのリーグ優勝への可能性を大きく左右する。
文=伊藤順一 写真=BBM