細かな所作にもこだわる

横浜高の主将・小野[左端]はチームをけん引し、4季連続甲子園出場を決めた[写真=福地和男]
▽神奈川大会決勝(7月26日)
横浜高11-1桐光学園高
横浜高が激戦区・神奈川大会を制して、2年連続22回目の甲子園出場を決めた。
2024年秋から6季連続優勝で、県内公式戦連勝を39に伸ばした。甲子園は25年春から県勢初の4季連続出場である。
横浜高の強さとは何か。神奈川県高野連・朝木秀樹会長は閉会式の挨拶で言った。
「個々の能力の高さが目立っていますが、それだけではありません。攻守交代の全力疾走、カバー
リングも決して怠らないのです。隙のないスタイルが、チームとして徹底されている。それが、本物の強さだと思います」
村田浩明監督、高山大輝部長ら指導者の教えが行き届いている。閉会式でも統率のある行動が見られた。代表4選手に優勝旗、賞状、カップなどが授与され、一礼すると、マウンド後方に並んでいる選手たちも同じタイミングで一斉に頭を下げた。細かな所作にもこだわる。これが、1プレーの「微差」が最終的に勝者と敗者に分かれる「大差」となるのだ。
気配り、目配り、心配り

神奈川県高野連・朝木会長は閉会式の挨拶で出場全172チームの健闘をたたえていた[写真=福地和男]
閉会式で気になる動きがあった。朝木会長は横浜高の主将・小野舜友(3年)に優勝旗授与の際に、肩をたたいて優勝を祝福していたのだ。この珍しい行動を、閉会式後に確認した。
朝木会長(横浜隼人高校長)は今年4月、県高野連会長に就任した。千種高(愛知)、東大を通じて捕手としてプレーし、大学卒業後は銀行員として勤務した後は、高校野球の監督経験がある。野球界にも精通し、球児の考え、立場を十分に理解している。今春の県大会閉会式でも小野主将に優勝旗を授与。話には続きがあった。
「その後、春季関東大会決勝(千葉開催)へ行きました。試合前のシートノックが終わり、ベンチ前で小野君が素振りをしていたんです。私はネット裏の本部席に座っていたのですが、私の姿を見つけるや、丁寧に頭を下げたんです。あの閉会式でしか顔を合わせたことがないのに正直、驚きました。高校生でなかなかできる行動ではありません。これこそが、人をつくる高校野球の良さだと、あらためて思いました。記憶に残る感慨深いシーンでした」
今夏の開会式での優勝旗返還から、閉会式では再び授与する形になり、ここではすっかり2人は「顔馴染み」。緊張感あるセレモニーの中でも、人と人とのぬくもりを感じさせる穏やかな空気が流れていた。人への気配り、目配り、心配りができるチームリーダーが、そこにはいた。朝木会長は閉会式の挨拶の最後、横浜スタジアムのスタンドに向かって「村田監督、小野主将も全国制覇を狙うと言われていました。神奈川の高校野球ファンの熱量は日本一です。今日からどうでしょう。一緒に横浜高校を応援していこうではありませんか」と呼びかけた。村田監督が目指す「応援されるチーム」に成長を遂げている。部員67人をけん引する主将・小野の洞察力、視野の広さこそ、横浜高の強さの神髄である。
取材・文=岡本朋祐