中継ぎ陣の安定感を欠く中で奮闘

阪神復帰2年目の今季もリリーフとして欠かせない存在になっている
阪神の
村上頌樹が7月26日の
巨人戦(甲子園)で6安打完封勝利をマーク。
佐藤輝明が6回にバックスクリーンへ先制の22号ソロを放った1点を守り、手に汗握る投手戦を制した。この試合に敗れれば首位攻防戦で同一カード3連敗を喫していただけに、前半戦最後の試合で飾った白星は大きな価値がある。巨人に再び首位タイで並んだ。
リーグ連覇を狙う戦前は他球団を圧倒する戦力で優勝候補の筆頭と目されていたが、救援陣に大きな誤算が生じた。昨年日本記録の50試合連続無失点を樹立した
石井大智が2月の春季キャンプ中に「左アキレス腱断裂」の大ケガで長期離脱。シーズンに入ると、セットアッパーとして計算していた投手たちの状態が上がってこない。
及川雅貴は2度のファーム降格を経験するなど22試合登板で1勝1敗2ホールド、防御率4.79。一昨年70試合登板で最優秀中継ぎ投手に輝いた
桐敷拓馬は18試合登板で0勝2敗7ホールド、防御率7.04と痛打を浴びる登板が目立ち、6月下旬からファームで2度目の再調整になった。新外国人右腕の
ダウリ・モレッタも19試合登板で2勝2敗5ホールド、防御率6.19と安定感を欠く。救援防御率を見ると昨年は12球団トップの1.96だったが、今年はリーグ4位の3.36に悪化。その中で、奮闘している右腕が
ラファエル・ドリスだ。
通算100セーブを達成
かつて阪神の守護神として活躍した右腕はその後にメジャー復帰し、国内独立リーグの四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスで24年からプレー。昨年7月に阪神が再獲得すると、20試合登板で2勝2敗5ホールド、防御率1.93でリーグ優勝に貢献した。
今年も安定感が際立っている。以前は160キロを超える直球、ツーシームを武器に力で抑え込むイメージが強かったが、キャリアを重ねてスライダー、スプリットの精度を高めて三振を奪っている。「落ちるボールと速いボールは武器。大崩れしない」と自信を深めているように、年を重ねて投球に深みが増している。

5月2日の巨人戦で史上39人目の通算100セーブを達成した
5月2日の巨人戦(甲子園)でNPB史上最年長となる38歳3カ月でNPB通算100セーブを達成。セットアッパー、抑えとあらゆる場面でマウンドに立ち、36試合登板で2勝2敗17セーブ11ホールド、防御率1.31。失点を喫したのは5試合のみで、複数失点は一度もない。この活躍が評価され、監督選抜で球宴に自身初出場が決まった。
高橋遥人が15試合登板で11勝1敗、防御率1.70と大活躍しているが、ドリスの貢献度も非常に高い。前半戦の「陰のMVP」と言ってよいだろう。
藤川監督は「人間として尊敬」
ドリスと
藤川球児監督は阪神でチームメートとしてプレーしている。8年前の2018年に、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「フジと最初に会ったときはアメリカだった。どのメジャーのレベルだったかは覚えていないけどね。そのときに僕は日本に興味があったから、日本で投げられる機会が作れるか聞いたんだ。そうしたら『君はいい球を投げるし、力強いボールだから日本でチャンスをつかめるよ』と言ってもらった。それで日本に行きたいと思った」
「フジも日本に帰ったという話を聞いた中で、僕はタイガースに入団が決まった。そして日本に来てみたらフジが同じチームだったんだ。“まさか”だったけど、うれしかったね。今もグラウンド内外で助けてもらっているよ。人間として尊敬できる人。あとは、年齢の上下関係が日本にはあるから、フジにもそうしようと思ったんだけど『しなくていいよ。仲良くしよう』と言ってもらったのもすごく記憶に残っているんだ。フジのおかげで、一つになれているからこそ、僕らはチームに貢献できていると感じているんだ」
阪神に復帰して選手と監督の立場に変わったが、感謝の思い、尊敬の念は変わらない。
「(昨年は)私自身のキャリアでも初めて優勝を経験した。とてもいい1年だったし、また藤川監督を胴上げできるようチームに貢献したいと思っている」。
球宴に出場した後は、勝負の後半戦となる。巨人との熾烈なデッドヒートを制するため、ドリスは右腕を振り続ける。
写真=BBM