球界を代表する右腕に対して残した結果

高卒2年目の石塚。ファームでの鍛錬を経て打撃に力強さが増した
巨人は50勝40敗2分けで、
阪神と同率首位で前半戦を終えた。投手陣は安定しているだけに、得点力が上がれば試合を優位に運べる。V奪回のキーマンとなる選手が、高卒2年目の
石塚裕惺だ。
高卒2年目の今季は4月21日に一軍昇格したが、11打数1安打で打率.091で1週間も経たずにファーム降格。約3カ月の鍛錬の日々を経て一軍に合流すると前半戦最後のカードとなった首位攻防戦・阪神戦(甲子園)で、3試合連続スタメンに抜擢された。
7月24日の初戦で8回に
才木浩人から右翼線にあわや本塁打のファウルの後、右翼線に安打を放つと、翌25日の2戦目はマルチ安打をマーク。26日の3戦目はプロ初対戦となった
村上頌樹に対して2回にチェンジアップをとらえて左前にはじき返すと、8回も中前打を放ち、2試合連続のマルチ安打。3連戦で9打数5安打をマークしただけでなく、球界を代表する右腕の才木と村上と対戦して結果を出したことは大きな価値がある。
オフにも果たしたレベルアップ
チームの顔として活躍していた和製大砲の
岡本和真が昨オフに、ポスティングシステムでブルージェイズに移籍。生え抜きの強打者を育てることはチームの大きなテーマだった。石塚はその資質を十分に備えている。新人の昨年は度重なる故障に見舞われたが、イースタン・リーグで55試合出場して打率.327、3本塁打、25打点の好成績をマーク。9月に一軍デビューを飾った。
オフもレベルアップに余念がない。豪州のウインター・リーグに1カ月半出場して打率.318、3本塁打、16打点。「野球でも実りが多かったのですが、異国の環境でメンタル的な部分が鍛えられたことも大きな収穫です。思い出に残っているのは動物園でカンガルーにエサをあげたことです。もともと動物は苦手なのですが、人間慣れしていて、そんな襲ってくる感じじゃなかったので、できました。かわいかったです。ただ、最後の夜に初めて野生のカンガルーがホテルの前にいたのを見たときは、ちょっと怖かったですね(笑)。ご飯はお肉やシーフードが中心でおいしかったです。貴重な経験ができました」と異国の地で心身ともにたくましくなった。
今年1月の自主トレでは
坂本勇人の自主トレに弟子入り。守備、打撃で卓越した技術を目の当たりにすることで多くの学びがあった。
球団OBもキーマンとして期待
今年のシーズン前に、球団OBの野球評論家は週刊ベースボールのコラムで石塚を巨人のキーマンに挙げていた。
伊原春樹氏は「巨人にとって来季は将来の主軸を育てなければいけないシーズンになる。その筆頭候補は高卒2年目を迎える石塚裕惺だろう。バットコントロールに長け、潜在能力は十分だ。坂本勇人も高卒2年目の2008年からレギュラーの座に就いたが、そのときはスタメンに
高橋由伸、
イ・スンヨプ、
アレックス・ラミレス、
阿部慎之助、
小笠原道大らが名を連ねていた。坂本が打てなくても、それをカバーして余りある面々だ。しかし、いまの巨人はそのような状況ではない」と強調。
小笠原道大氏も「選手個々でいえば、巨人の2年目・石塚裕惺選手がどうなるか、私は気になっています。昨季、ファームで見て、バッティングに面白いものを感じました。右バッターで、セカンドの上に強い打球を打つことができる。かと思えば、インコースも左肘をうまく畳んでさばく。できない人は、これがまったくできないんですよ。一軍の投手に対して同様のバッティングをするには経験も必要でしょうが、将来が楽しみだな、と思いました」と期待を込めていた。
交流戦から指揮を取っている
橋上秀樹監督代行の下で、若手が次々に頭角を現している。大卒2年目の
浦田俊輔はリーグトップタイの25盗塁で自身初の球宴に初出場。新人王最有力候補だ。
笹原操希、
小濱佑斗、
知念大成も殊勲打を放って存在をアピールしている。石塚も負けられない。
松井秀喜、坂本、岡本と高卒のドライチ野手がスーパースターとして活躍してきた歴史がある。後半戦に覚醒して打線の核になれるか。
写真=BBM