首位ソフトバンクの底力

シーズン終盤の戦いを見据える西口監督
3年連続Bクラスから巻き返しを図る
西武が、7年ぶりのリーグ制覇を懸け、勝負の8月に挑む。
前半戦を53勝40敗3分け、貯金13のパ・リーグ2位で折り返したものの、首位・
ソフトバンクとは5.5ゲーム差、3位・
日本ハムには0.5ゲーム差に迫られている。残り47試合で逆転優勝への道を切り開かなければならない。
球宴ブレーク前、
西口文也監督は現状を冷静に受け止めていた。
「交流戦が終わった時点ではいい位置(首位)にいた。去年同様、交流戦後に負けがちなパターンに陥っているので、オールスター休みを挟んでいろいろまた考えていかなきゃいけない。対策はしっかり練っていかないと」
昨年まで3年連続で借金を抱えたまま球宴を迎えていたことを考えれば、貯金13は十分に評価できる数字だ。しかし、現場の目標はあくまでリーグ優勝。首脳陣や選手たちに現状への満足感はない。
交流戦では史上最高勝率で優勝を果たした。それでも2位・ソフトバンクとの差は、わずか0.5ゲームしか広がらなかった。そしてリーグ戦再開後、一気にアクセルを踏み込んだ王者との差が、優勝争いの構図を変えてきた。
ソフトバンクはリーグ戦再開後に21勝8敗1分け(勝率.724)と快進撃を続ける一方、西武は10勝17敗1分け(勝率.370)と失速。直接対決でも1勝5敗と苦戦し、首位を明け渡し、ゲーム差は5.5まで広がった。
チーム関係者は、王者の底力をこう分析する。
「ホークスの強さは、シーズンが深まるにつれて確実にチーム力を上げてくること。前半はケガ人や離脱者が続出して苦しい戦いが続いても、若手を起用しながら、交流戦あたりから徐々に戦力が固まってくる」
さらに、戦力を維持する上で環境面の違いもあるという。
「向こうは空調の利いた本拠地があり、夏場でも練習量を落とさずに体調もキープできる」
ベルーナの暑さと向き合う
一方、西武は酷暑との戦いも避けられない。本拠地で全体練習が再開された7月29日も、午後1時から始まった練習は2時間弱で終了。選手のコンディションを最優先し、練習量をコントロールしながら後半戦に備えた。
夏場に入り、
黒田哲史内野守備・走塁コーチは暑さへの対応について「(試合前の)ノックの量は減らしています。熱中症は蓄積していくものなので、(選手の)体に負担をかけ過ぎないように。試合にベストに持っていけるように、いろいろ考えてはいるつもりなんですけど。やはり自然が相手なので……」と語っている。
毎年この時期に話題となるベルーナドーム特有の暑さは、今や広く知られるところだ。だからこそ西武は、限られた体力を試合に集中して注ぎ込むマネジメントが求められる。
もちろん、選手たちは環境を言い訳にはしない。
2年目の
渡部聖弥は「これから大事になってくるのは気持ち、根性じゃないですか。暑いというのはただの言い訳じゃないですけど、条件は相手も同じ。相手選手がベルーナに来て、調子のいい選手は暑くても打つ」と言い切る。
後半戦は技術や戦力だけでなく、暑さとの戦いでもある。王者・ソフトバンクとの差を縮めるには、ベルーナドームという過酷な環境を乗り越えながら、失速した流れを断ち切らなければならない。
交流戦初Vで築いた貯金13を無駄にせず、7年ぶりのリーグ制覇へ再び上昇気流に乗ることができるか。球宴明けから8月にかけて迎えるベルーナドーム15試合は、「勝負の9月」へ向けた西武の真価が問われる戦いとなる。
文=伊藤順一 写真=BBM