攻守で勝利に貢献

7月29日に金銭トレードで巨人から西武に復帰した若林
パ・リーグ2位の西武は8月2日の
オリックス戦(ベルーナ)に5対1で逆転勝ち。3カードぶりの勝ち越しを決め、貯金を14とし、首位・
ソフトバンクとの6ゲーム差をキープした。
先発・
武内夏暉が7回5安打1失点と試合をつくると、打線は1点を追う5回、一死満塁から好調・
蛭間拓哉の2点適時二塁打などで一挙3得点を奪い逆転。8回には二番手の
トレイ・ウィンゲンターが1回を無失点に抑え、18試合連続ホールドのNPB記録に並ぶ快投を披露した。その裏には
小島大河、
平沢大河の連続適時打で2点を追加し、勝負を決めた。武内はチームトップタイとなる8勝目(5敗)を挙げた。
西口文也監督は「武内がしっかりゲームをつくってくれた。欲しいところで乗りに乗っている蛭間が打ってくれて、あれでチームが勢いづきました」と勝利を振り返った。
その勝利の立役者の一人となったのが、7月29日に金銭トレードで2年ぶりに西武へ復帰した
若林楽人だった。前日に続き「九番・中堅」で先発出場すると、まず魅せたのは4回の守備だった。
先頭・
太田椋が放った左中間への大飛球を追って背走。長い距離を走りながら最後はトップスピードのまま頭から飛び込み、ダイビングキャッチを決めた。入団会見で「チームに新しい風を吹かせられるようなプレーをしたい」と語っていた言葉を体現するようなビッグプレーに、レフトスタンドが沸騰した。
さらに5回にはバットでも存在感を示す。一死二塁から相手先発・
高島泰都の内角150キロを詰まりながらも右前へ運ぶ移籍後初安打。チャンスを広げる一打となり、その後の蛭間の適時二塁打で逆転のホームを踏んだ。
攻守で流れを呼び込んだ若林だが、2年ぶりの西武復帰戦となった1日のオリックス戦については、独特の心境を口にしていた。
「いやー、正直、(試合に)集中し切っていて、今もあまり実感がない。余計な感情が入る隙がないというか……。たくさん声援が聞こえたというのも(ない)。正直、入り切っていて余裕がないぐらいでした。不思議な感覚ですね。自分がまたここでやっているのは」
巨人での経験を生かしながら
ライオンズへの特別な思いを抱えながらも、頭の中は目の前のプレーだけに集中していたという。一方で、一度巨人へ移籍したからこそ見えた現在の西武の姿については、「ライオンズの良さもありますし、他のチームの良さもあります」と前置きした上で、こう分析する。
「野球がもっと緻密になったという感じがします。追い込まれた後に(相手投手に)球数を投げさせることだったり、バッターによっては行きたければ勝負をかけることもありますし、どっちのパターンもあるという感じがしました。巨人もそういうところは緻密だったので、その経験もちょっと生かしながら、チームにアジャストできればなと思います」
復帰直後だけに、まだ覚えることは少なくない。試合前には三塁ベースコーチの
黒田哲史内野守備・走塁コーチとサインを入念に確認し、試合中もベンチでノートを開いて最終チェックを欠かさない。
「サインの確認です。(試合中は)ノートを見ながら確認しています」
そう笑う姿からは、“古巣への再適応”に真摯に向き合う姿勢が伝わってきた。
桑原将志、
長谷川信哉、
西川愛也と外野陣に故障者が相次ぐ中、若林の復帰は西武にとって大きな戦力補強となる。攻守で持ち味を発揮し始めた背番号49が、好調・蛭間とともに外野陣の層を厚くし、首位・ソフトバンクを追う西武の逆転優勝への鍵を握る存在となりそうだ。
文=伊藤順一 写真=矢野寿明