安定しているリリーフ陣

シーズン途中からクローザーを務めている甲斐野央[写真=矢野寿明]
3年連続Bクラスからの巻き返しを図る
西武が、7年ぶりのリーグ制覇へ首位・
ソフトバンクを6ゲーム差で追っている。
ここまで99試合を消化し、55勝41敗3分け(勝率.573)の貯金14。過去3年間は早々に自力優勝が消滅し、長い消化試合を戦ってきたことを思えば劇的な変化だ。残りは44試合。8試合を残すソフトバンクとの直接対決を含め、戦い方次第では逆転優勝の可能性は十分に残されている。
チーム打率.249、363得点はいずれもリーグ3位。それでも、リーグトップのチーム防御率2.84を誇る投手陣を軸に、攻守がかみ合い始めたことで、7年ぶりのリーグ制覇は十分に射程圏内にある。
交流戦明けの7月は9勝11敗1分けと苦しみ、先発陣にも疲労の色が見え始めた。それでも8月は2連勝でスタート。0.5ゲーム差で迫る3位・
日本ハムを引き離しながら、首位・ソフトバンクを追撃していきたい。
その終盤戦で大きな鍵を握るのが、リーグ屈指の厚みを誇るブルペン陣だ。
西口文也監督は「ブルペンはずっと安定しているんで、これを続けていってほしい」と、夏場の戦いを見据えてリリーフ陣への厚い信頼を口にする。

6月下旬に育成から支配下復帰した森脇の存在も大きい[写真=矢野寿明]
7月には
森脇亮介、
山田陽翔が相次いで故障から復帰。もともとリーグ屈指だった救援陣は、さらに質、量ともに厚みを増した。
大石達也投手コーチも「やっぱり人数が増えたことによって(起用の)幅は広がるかなと思います」と両投手の復帰効果を認める。その上で、現在のブルペン最大の強みをこう語った。
「
ウィンゲンターの存在はやっぱり大きいです。まず三振が取れますし、大事な7回、8回の三振が欲しいところで自信を持って送り出せる。森脇の場合は、ランナーがいる場面でも行ける。またバッターを見ながらになりますけど、変化球で行ったほうがいいのか、真っすぐで押したほうがいいのかを天秤にかけてウィンゲンター、(山田)陽翔を使い分けられる。森脇の場合はコントロールがまとまっているので、フォアボールから自滅というのはないので計算しやすい。状況を見ながら篠原、ウィンゲンター、森脇、山田、最後は甲斐野と、いろいろなパターンが組めますよね」
篠原を休養させる余裕

プロ野球タイ、パ・リーグ新記録の18試合連続ホールドを挙げたウィンゲンター[写真=佐藤博之]
森脇、山田の復帰は、高卒2年目ながら31試合に登板して1勝1セーブ23ホールド、防御率2.10と飛躍を遂げている
篠原響にも好影響をもたらした。登板が続いていた若きセットアッパーを適度に休養させる余裕が生まれたからだ。
大石コーチは、抹消前の篠原の状態についてもこう説明する。
「投げられないことはなかった。本人は『大丈夫』と言っていたんですけど、平均的にちょっとずつ落ちていっていた。ストレートで簡単にファウルや空振りが取れない、球数を要するようになってきた。実質1年目ですし、少し休んで球質も大分戻ってきたと思います」
夏場以降は先発陣の疲労が避けられず、救援陣の力が順位を左右する。その点、西武はウィンゲンター、篠原、森脇、山田、甲斐野に加え、前半戦で18セーブを挙げたドラフト2位・
岩城颯空や
エマニュエル・ラミレス、
中村祐太、
佐藤隼輔、
豆田泰志と、役割の異なる投手を状況に応じて使い分けられる厚みを手にした。
勝ちパターンを柔軟に組み替え、相手打線や試合展開に応じて最適な継投を選択できることは大きな強みだ。さらに、8月の6連戦は現時点で2度のみ。ブルペンに過度な負担をかけずに運用できる日程も、優勝争いを戦い抜く上では追い風となる。
ペナントはいよいよ勝負どころを迎えた。リーグ屈指の投手力を支える厚いブルペンは、西武が7年ぶりのリーグ制覇をつかむための大きな武器となりそうだ。
文=伊藤順一