母国の戦いぶりを力に

打率を残せて、長打も飛ばせる。勝負強い打撃も兼ね備えており、完全無欠のスラッガーだ
新庄剛志監督就任後に若手の成長に注力し、外部からの補強で選手層が厚くなったが、
日本ハムは「
フランミル・レイエスのチーム」と言ってよいだろう。
両足にかかと痛を抱えているため、勤続疲労を考慮してベンチスタートとなった8月7日の
楽天戦(エスコンF)では代打で結果を出した。2点差を追いかける8回二死満塁の好機に代打で登場すると、
九谷瑠が投じた内角低めのスライダーを左翼線にはじき返す2点適時二塁打。この一打で同点に追いついて試合の流れを変え、9回の
矢澤宏太のサヨナラ打を呼び込んだ。
来日2年目の昨年は32本塁打、90打点で2冠に輝いた。メジャーで108本塁打をマークした長距離砲は異国の地でもきっちり結果を残している。今年はWBCに出場したドミニカ共和国の戦いぶりを刺激にしていた。
準決勝で米国に敗れたが、「WBCは母国のドミニカ共和国の試合も見ていたよ。今回のメンバーだと
タティスJr.が一番仲が良くて、よく話すよ。
オニール・クルーズや
ゲレーロJr.は同郷だから、仲がいいね。でも日本だと、まだ寝ているような朝早い時間帯に試合をやっていたので、あとで動画を見たりしていたんだ。選手やコーチもほとんど全員知っていて友達のようなものなので、活躍している姿を見られたのは、やっぱりうれしかったね。自分自身はシーズンの開幕に合わせることだけを考えて、日々やっているよ。正直かなり順調に来ているので、いつ開幕してもいいぐらいのコンディション。優勝できるチームだから、それに向けて頑張るよ」と気持ちを新たにしていた。
コンスタントに快音
相手バッテリーのマークが厳しくなるが、最善の準備を尽くしてシーズンに臨む姿がプロフェッショナルの証だ。昨年11月から個人トレーナーとして幼なじみのリロさんと契約。「アジリティとかモビリティ、ヨガみたいなことも含めて結構やってきたよ」。今季はリロさんが来日し、シーズン中のサポートを受けている。移動時など体にストレスが掛かると、かかとに慢性的な痛みが出るため、コンディションに細心の注意を払う。
シーズンに入ると、春先から好不調の波が少なくコンスタントに快音を響かせている。6月は打率.400、10本塁打、18打点の大活躍で月間MVPを受賞。7月も打率.341、3本塁打、10打点と好調をキープした。他球団のスコアラーは「クレバーですよね。同じ配球の組み立てが通用しない。パワーはもちろんですが、技術もすごい。タイミングを外されても、うまくバットコントロールしてヒットゾーンに飛ばす。絶好調のときは、どんな球も痛打を浴びる怖さがある。現役の選手では最強の助っ人で間違いないでしょう」と脱帽する。
来季からセは指名打者導入
首位・
ソフトバンクに7.5ゲーム差と離されているが、逆転でのV奪回に向けて勝ち続けるしかない。レイエスの打棒は不可欠だが、今オフの去就も気になるところだ。6月に月間MVPを受賞した際の記者会見で、「来年がどうなるか、正直分からないところです。別のチームでやるかはまだ不透明だが、このチームにいる間、北海道にいる間に優勝したいと強く思っている。今年は少なくともパ・リーグ制覇、そして日本シリーズに行きたいと思っている」と胸中を明かしている。
今季に規定打席に到達している外国人選手は両リーグ合わせて6人のみ。日本で活躍する助っ人外国人が少なくなっている中、レイエスの存在価値は大きい。打率.327、24本塁打、61打点と複数の打撃タイトルを狙える位置につけている。来季からセ・リーグも指名打者制が導入されるため、複数球団の争奪戦になることは間違いない。
もちろん、日本ハムは全力で慰留するだろう。レイエスもチームへの愛着が強いだけに残留する可能性が十分にある。日本語も堪能ですっかりチームに溶け込んでいる。「チームの顔」が打つと、球場のボルテージが一気に上がる。ファンに愛される心優しき男は、勝利に導く一打を打ち続ける。
写真=BBM