来日初の10勝をマーク
オリックスのアンダーソン・エスピノーザが安定した投球を続け、投手タイトルを総ナメにする可能性が出てきた。
8月5日の
楽天戦(京セラドーム)で7回9安打1失点の力投で来日初の10勝目をマーク。3回に同点適時打を浴びたが最少失点で切り抜け、試合の流れを渡さない。最速156キロのツーシームに
ナックルカーブ、チェンジアップを巧みに織り交ぜて打者にフルスイングさせなかった。試合後のお立ち台では「沢村賞を狙っていきたいです」と宣言。すっかり恒例となった流暢な日本語で「もっともっと頑張るで! みんなめっちゃ好きやで! ほな気を付けて帰ってや!」と呼びかけると、スタンドから大きな拍手が送られた。
今季16試合登板で10勝3敗、防御率2.25。勝ち星は
加藤貴之(
日本ハム)、
前田悠伍(
ソフトバンク)と並ぶリーグトップタイ、防御率はリーグトップを記録している。来日3年目の今季に大きな成長が見られるのが、制球力の改善だ。104回を投げて26四死球。昨年は129回2/3で52四死球から大幅に減っている。
日本野球への適応に意識した点
チームメートの
アンドレス・マチャドと週刊ベースボールの企画で対談した際に、日本野球に対応するために意識した点を聞かれて以下のように語っている。
「僕の場合、日本の野球でまず感じたのはスピードが速いということ。例えばフォアボールでランナーを出してしまうと、得点されるケースが高いなと思ったので、なるべくフォアボールを出さないようにということは意識してやってきました。そうするためには、自分のピッチングのメカニクスの再現性をどう高めるかが必要だったので、メカニクスの練習に多くの時間をかけています。このオフシーズンは、マチに連絡して、ピッチングコーチを紹介してもらいました。マチが4年ぐらい教えてもらって良かったっていうのを聞いていたので。今年はフォームを修正するなど彼から新しいことをたくさん学んで、今取り組んでいる最中です」
異国の地でのたゆまぬ努力が結果につながっている。バッテリーを組む捕手と意見交換し、投球の合間にはベンチでメモを取る姿が。配球面や投球で気づいたことを整理して成長の糧にしている。日本球界で成功したいという思いはグラウンド外でも見られる。日本語のレッスンを週に3回受け、日本の文化を積極的に学んでいる。チームメートにも日本語で話しかけて溶け込み、ムードメーカーになっている。
これから迎える全盛期
早くも気になるのが来年の去就だ。今年で2年契約が切れるため、メジャー球団が獲得に乗り出す可能性がある。日本でプレーしていた
フォスター・グリフィン(ガーディアンズ)、
アンソニー・ケイ(ホワイトソックス)、
ピーター・ランバート(アストロズ)がメジャーの先発ローテーションで活躍していることも追い風になっている。
エスピノーザは28歳とこれから全盛期に入る。マチャドも「エスピの野球選手としての才能自体をすごくリスペクトしているよ。若い(今年3月で28歳)のにまだまだこれほど成長している姿を見せているのもすごいなと。もしかしたらMLBに行くかもしれないし、まだ日本に残るかもしれないけど、これからもっともっと良くなる。この3年間見てきてメンタルがすごく強くなってきてるなっていうのも感じるので、僕が引退したときにも多分、まだ投げていると思うよ」と対談した際に太鼓判を押していた。
ただ、エスピノーザは今春に誕生した第一子の男の子に「賢造」と名付けるなど親日家として知られる。来年以降も日本球界でプレーを望む選択肢が考えられ、NPBの複数球団が獲得に乗り出す可能性がある。オリックスも慰留に全力を注ぐことになるだろう。
首位を快走するソフトバンクとは差が開いているが、白星を積み重ねれば2位争いにはまだまだ食い込める。オリックス、日本を愛する右腕が投げた試合は絶対に落とせない。目標の沢村賞を受賞できるか。
写真=BBM