週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】早大が南魚沼キャンプの対外試合で得た3つの収穫とは

 

フォーム修正に手応え


作新学院大とのオープン戦で先発した1年生・中村は5回無失点に抑えた[写真=矢野寿明]


 夏のキャンプとは強化の場であり、チャレンジの機会だ。早大は8月7日から新潟県南魚沼市内のベーマガスタジアムを拠点にキャンプを実施している。12日の作新学院大とのオープン戦は5対3で勝利。結果だけでなく、内容も充実していた。3つの収穫があった。

 まずは先発の左腕・中村心大(1年・早実)が5回1安打無失点に抑える好投を見せた。

「キャンプでの初登板でしたが、初めて投げた中では良かったほうだと思います。ここからちょっとずつ、コンディションを上げられるように頑張ります」

 中村は早実で2年夏、3年春の甲子園に出場。打撃も非凡だったが、早大では投手に専念している。今春のリーグ戦では6試合に登板も、シーズン途中に大きな挑戦をしていた。第2週の東大3回戦で救援でのリーグ戦デビューを遂げ、第3週の法大1回戦もリリーフ。ところが、この後、フォーム修正に入った。中村は高めにボールが抜ける傾向があり、これを克服するために、テークバックに手を加え、コンパクトな形にしたのである。

「テークバックを小さくしたというよりは、右手の使い方に合わせた感じなので、あまり大きく変えているイメージはありません。以前のテークバックは上に上がりつつなので、いまは低く降りるというか、体の前に出すという意識をしていたら、小さくなった感じです」

 なぜ、着手したのか。小宮山悟監督からの指摘があったという。

「いままではボールゾーンで勝負していたんで、ストライクゾーンで勝負できるように、と。高校時代は高めで勝負できているのが結構、良いみたいな感じだったと思うんですけど、そこには裏付けがなく、狙って投げられるようにしたいという気持ちでした。今日のオープン戦では、課題のストレートが意図的にコースに投げられたので、手応えを感じています」

 今春のリーグ戦では、すぐに対応することができなかった。第5週の立大2回戦では一死も奪えずに3失点降板。この後、Bチームに降格し、もう一度、フォーム固めに専念する時間を設けた。最終週(第8週)の早慶戦にAチームに復帰し、慶大戦では1回戦から3回戦まで3連投。32年ぶりの天覧試合となった2回戦でも、独特な雰囲気の中で貴重な経験を積んだ。

「早慶戦に戻れたのはうれしかったですし、あの大きな舞台で3連投できたので、そこも良かったかなと思います。この秋は、まずはメンバーに入って、1イニングでも多く投げたいと思います。与えられた場面でしっかり、ゼロで抑えるようにやっていきたいです」

浪人組としてのプライド


二番手の1年生・今村は対外試合初登板も堂々たる投球を見せた[写真=矢野寿明]


 次に新戦力の台頭である。6回から二番手で救援した右腕・今村壮吾(1年・札幌国際情報高)が打者3人を、右飛、右飛、見逃し三振に封じた。圧巻の三者凡退。大学入学以降、B戦(二軍)を含めて、対外試合初登板だった。小宮山監督は言う。

「初めてA(一軍)の試合でボールを投げたというところで、緊張の中、ストライクをきちんと放れたということが収穫です。上級生になったら間違いなく戦力どころか、柱になっている可能性があるので、期待しています」

 初めてWASEDAのユニフォームを着ての登板は格別だった。

「自分は1年浪人して入ってきたんで、その分、野球に対する熱も、他の1年生よりは強いという自負はあるので、良いピッチングできて良かったです」

 当初は中大を志望していた。セレクションを受けたが、良い返事をもらうことができなかった。スポーツ推薦ではなく、一般入試で中大を目指したものの、合格することができなかった。

「浪人すると決まってから、野球も勉強も高いレベルでやりたいなと思ったので、早稲田大学を志望しました。早稲田は伝統校ですし、浪人中に早稲田がリーグ戦3連覇を遂げ、そういった影響も受けて受験を決意しました」

 平日は1日9時間以上、机に向かい、合間には体を動かしていた。猛勉強が実り、一般入試で早大スポーツ科学部に合格。1年のブランクはあったが、こうして1年夏のキャンプで登板できているのも、地道な努力が背景にある。春のリーグ戦後のフレッシュリーグ(1、2年生以下で編成)もベンチ入りしておらず、キャンプ前の紅白戦で結果を残し、南魚沼行きの切符をつかんだ。最速143キロ。変化球はカットボールとスライダーで、投球の幅を広げるため、落ちる球種を習得中だという。

 高校時代の恩師は有倉雅史監督(北海高-日体大-日本ハム-ダイエー-阪神)。プロ3球団で通算8勝を挙げた右投手で、早大からドラフト1位でロッテに入団した小宮山監督とは同期入団という縁があった。

「浪人するにあたって、有倉先生から『早稲田に行け』と後押しされたんです。早稲田には指導が素晴らしい小宮山監督がおり、厳しい環境でやってほしいという思いもあったようで、有倉先生からは背中を押されたのでその分、勉強も頑張れました」

 秋への意気込みを語る。

「春は5位で、ただ見ているだけだったんで、秋は少しでも食い込んでリーグ戦で投げたいという気持ちは強いので、そこに向けてこのキャンプもあと1週間以上あるんですけど、そこでもっとアピールしていきたいなと思います」

 今村には、浪人組から這い上がってきたというプライドがある。

「小宮山監督も浪人(2浪)して、早稲田、プロ、MLBでも活躍されたので、自分にとってもプラスの考え方になりましたし、ブランクというのを言い訳にしないでパフォーマンスできるように、これからも成長していきたいなと思います」

 尊敬するのは札幌国際情報高から仙台大を経て、昨年のドラフトで広島から1位指名を受けた平川蓮である。「高校の時とかもたまに練習に顔を出してくれて、その中で会話したりしていました。プロに行く人のメンタルの違い、練習に対する意識というのをすごく感じたんで、見習いたいです」。目指す選手像はドジャース・大谷翔平である。

「北海道出身なんで、大谷選手の試合は何回も見に行きました。メジャーリーグで活躍している姿を見て、刺激を受けています。将来はプロ野球選手になりたいと思っているので、意識高く持って取り組んでいきたいと思っています」

1日500スイングがノルマ


三番・岡西は7回裏に右越えソロ。この試合は3安打3打点の活躍だった[写真=矢野寿明]


 打者で目立ったのは三番・三塁に入った副将・岡西佑弥(4年・智弁和歌山高)である。1年生の活躍に最上級生も黙ってはいない。1回裏に先制打を放つと、3回裏にもタイムリー、7回裏には右越えソロ本塁打と3安打3打点の活躍だった。

 智弁和歌山高では2年夏に全国制覇を経験。3年時は主将として名門校をけん引した。早大では3年秋までレギュラー定着に至らず、今春は初めて規定打席に到達も打率.244、4打点と思うような結果を残すことができなかった。

「あまり良い思いをしたのは少ないんですけど、良い先輩、卒業生、指導者に出会えて、自分は成長できているというのはすごく感じているので、お世話になった方のためにも、最後の秋は結果で恩返ししたいと思っています」

 刺激になる同級生がいる。高校時代のチームメートで青学大の主将・渡部海(4年・智弁和歌山高)だ。1年春から3年秋まで東都大学リーグ戦で6連覇を遂げ、全日本大学選手権では1、2年時に優勝、明治神宮大会も2、3年時に優勝。さらには侍ジャパン大学代表においても、昨年の日米大学選手権で5戦全勝優勝、今年は主将として「ワールドカレッジベースボールチャンピオンシップ」で初代王者と「勝てる捕手」として実績を積んできた。

「渡部は1年からずっと結果を出し続けてきて、すごいなと思いますが、それを見て負けてはいられないな、と。ただ、見ているだけの自分にはなりたくないので、この秋は見返してやりたいなって思っています」

 とにかくバットを振り込む日々だ。

「チームとして1日500スイングを設定しています。まずは目安として500という数字を挙げたんですけど、その1本1本に中身がなければ何も成果がないと思うので、目の前の1本を全力で振るのを繰り返し続けていった結果、今日は何本だったっていうふうにしないと意味がないと思います。目の前の1本に全力というのにこだわります」

 学生ラストシーズンの目標は一つ。優勝しかない。

「チームが劣勢のときでも、チャンスのときに『ここで1本』という場面が絶対にあると思うので、そこで1本出せるように練習していきます。数字というよりかは、チームが勝つためにいま必要な一打、いま必要な打席、いまは何が大切なのかというのを考えて打席に入っていければなと思っています」

 昨春以来の天皇杯奪還。野球漬けの南魚沼キャンプは8月21日まで続く。

取材・文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング