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「故障なければ首位打者候補」 打撃絶好調の「中日の巧打者」は

 

一番でチャンスメーク


8月もここまで月間打率.395と絶好調だ


「故障がなければ首位打者の有力候補だよ」

 他球団の打撃コーチが絶賛する選手が、中日福永裕基だ。

 8月13日のDeNA戦(バンテリン)で3試合連続マルチ安打をマーク。3回に相手右腕・深沢鳳介の144キロ直球を中前にはじき返すと、先頭打者で打席に入った8回にホセ・ルイーズの150キロ直球を再び中前に運んで出塁した。7月の月間打率.308に続き、今月は月間打率.395と打撃絶好調だ。一番でチャンスメークの役割を果たし、広角に安打を打ち続ける。チームトップの12盗塁と機動力でも貢献度が高い。

 社会人野球・日本新薬から26歳のときにドラフト7位で入団。エリート街道を歩んできたわけではなかったが、打撃技術は本物だった。プロ2年目の2024年に111試合出場で打率.306、6本塁打、32打点をマーク。出塁率と長打率を足し合わせたOPS.789と高い数値を記録した。同年オフに背番号が68から7に変更されたことが、球団の期待の大きさを物語っている。

ケガに泣かされた昨季


 前年まで根尾昂がつけていたが、中日の背番号7で印象が強いのが大型遊撃手として活躍した宇野勝だ。1984年に37本塁打で掛布雅之(阪神)と共に自身初のタイトルに輝くと、翌85年は遊撃で歴代最多の41本塁打を記録。通算338本塁打を記録し、ファンから「ウーやん」の愛称で親しまれた。

 背番号7を継承した福永も「チームの顔」としての活躍が期待された。昨年は井上一樹監督が「三番・二塁」で起用する構想を明かしていたが、大きな試練に見舞われた。3月18日のオープン戦・ソフトバンク戦(みずほPayPay)で、二塁牽制の守備のベースカバーに入った際、滑り込む形で右膝を負傷。「右膝内側側副靱帯損傷」と診断されて戦線離脱した。

 5月24日に一軍復帰を果たしたが、わずか3日後に再び悲劇に見舞われる。27日のヤクルト戦(神宮)で本塁にヘッドスライディングした際に左手首を骨折。このケガで一軍の舞台に再び戻るまで3カ月以上を要した。2度の故障により一軍で稼働した時期が少なく、20試合出場で打率.173、1本塁打、3打点。「期待された1年で、大きいケガを2つもしてしまいました。感覚が戻るのか、このまま終わっていくんかなという不安もありました」と週刊ベースボールの取材で胸中を吐露している。

1カ月で打率急上昇


 30歳を迎える今年に向け、ケガをしないための体の使い方を一から見直してきた。「バランスの左右差をなくす。操作性を上げて、あとは野球にどう変換できるか。ケガする前に戻そうとは思わないようにしています。故障とは付き合っていかないといけない。新たにもう1回つくり上げます」。もう一度、首脳陣の信頼をつかむためにはい上がるしかない。「しっかり1年間試合に出ること。チームの優勝に向けて、攻守で勝ちに貢献できる選手になりたい。野球人生をかけてと言うか、すごく大事な1年になると思います」と言葉に力を込めていた。

 コンディションが整えば、結果は出る。だが、全力プレーの代償として今年もアクシデントに見舞われた。「三番・三塁」で先発出場した4月18日の阪神戦(甲子園)。3回の守備で三塁ファウルゾーンに舞い上がった打球を追いかけた際、スピードを緩めずカメラマン席に頭から転落。その場から動けず担架で運び出されて病院に直行した。精密検査の結果、脳に異常がなかったことは幸いだったが、「脳震とう特例」で登録抹消された。最短の10日で1軍に復帰したが、5月13日に脚の違和感で再び戦列を離れた。心配されたが、2週間後に戻ってきた。

 万全の体でプレーし続けている選手の方が少ない。ケガとの付き合い方も重要になる。夏場に入ると、福永の逆襲が始まった。7月12日時点で打率.228だったが、1カ月で打率.283に上昇。リーグ4位に相当する数字で、このまま打ち続けて規定打席に到達すればタイトル争いに絡む可能性が出てきた。チームは3位・DeNAに5ゲーム差。逆転でのCS進出に向け、打線を牽引する。

写真=BBM
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