勝ちパターンの一角として

高卒2年目ながら勝ちパターンの一角で奮闘している篠原
西武の2年目右腕・
篠原響が、逆転での「最優秀中継ぎ投手賞」獲得を狙っている。高卒2年目の19歳ながら、今季は勝ちパターンの一角を担う篠原。ここまで33試合に登板し、2勝2敗1セーブ、23ホールド、25ホールドポイント、防御率1.97、34奪三振(奪三振率9.56)をマークしている。
シーズンは残り33試合。首位・
ソフトバンクとは7.5ゲーム差が開いている一方、3位・
日本ハムとはゲーム差なしの2厘差で2位につけ、CS本拠地開催権を懸けた争いが続いている。
そんなシーズン終盤、篠原が自ら掲げている目標が「最優秀中継ぎ投手賞」だ。
「『最優秀中継ぎ投手賞』を獲りにいきたいです。もう1位の人を抜かすだけなので。1位は今、(
オリックスの)椋木(
椋木蓮)さんの30(ホールドポイント)なので、5ポイント差ですね。今年は『中継ぎ』と言われた時点からこのタイトルは狙っていましたし、逆に言えば、今はそれしか見ていないです」
最優秀中継ぎ投手賞は、シーズンを通してホールドポイント(HP=ホールド+救援勝利)が最も多かった投手に贈られる。現在トップに立つオリックス・椋木蓮は41試合に登板し、2勝4敗1セーブ、28ホールド、30ホールドポイント、防御率2.07(2位は
ロッテ・
鈴木昭汰の27ホールドポイント)。篠原との差は5ポイントだ。
残り試合は西武が33、オリックスが34。今後、両チームが6連戦を戦うのは、18日からのオリックス戦と、続く
楽天戦(楽天モバイル)の一度だけ。ブルペン陣に大きな負荷がかかる3連投を強いられるような過密日程ではない。
それでも、篠原の意気込みは揺るがない。球宴前後には首脳陣からまとまったリフレッシュ期間を与えられ、コンディションも整っている。タイトル争いを意識する19歳は、登板機会が増えることにもためらいがない。
「全然、呼ばれれば行けますし、問題ないと思います」
残り33試合で椋木を逆転するためなら、いつでもマウンドに上がる。その強い意志が言葉にも表れている。
さらに大きなビジョン
一方、パ・リーグ新人王争いへの関心は薄い。開幕から無傷の10連勝を続け、防御率1.75をマークするソフトバンク・
前田悠伍に次ぐ候補の一人と見られているが、本人は意に介さない。
「全然意識するところはないです。新人王は記者投票なので、あまり自分の数字でどうこう(コントロール)できるものではないと思っています」
記者投票で決まる新人王に対し、最優秀中継ぎ投手賞は極めてシンプルだ。ホールドポイントという明確な数字でトップに立てばいい。自分の力でつかみ取れるタイトルだからこそ、篠原はそこに照準を絞っている。
同賞を西武の投手が獲得したのは過去に5人、計6度。1997年の
橋本武広(25ホールド)、2002、03年の
森慎二(32ホールド、26ホールド)、2015年の
増田達至(42ホールドポイント)、そして2022年の
平良海馬、
水上由伸(ともに35ホールドポイント)だ。
その歴史に名を連ねることを、篠原は今春キャンプの時点から目標にしてきた。そして、タイトル獲得の先には、さらに大きなビジョンがある。
「来季については、まだ何も言われてはないですけど、自分の中では先発以外にはないと思っています。自分は先発をやりたいと思っています。今年一軍のバッターとたくさん対戦できているので、そこは非常に大きいと思いますし、(試合終盤の)緊迫した場面で投げているんで、そういうピンチをどう抑えるかという部分は来年以降に生きるかなと思っています。自分が肌で感じた経験を来年以降に出せればいいと思っています」
中継ぎとして積んだ緊迫した場面での経験を、来季は先発マウンドで生かす。そのためにも、まずは目の前の5ホールドポイント差をひっくり返す。
19歳の右腕は、明確な目標を胸に、シーズン終盤のマウンドへ向かっている。
文=伊藤順一 写真=BBM