週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

大ブーイングにも心が揺るがない 抜群の安定感誇る「巨人の新戦力」は

 

古巣の本拠地で勝利


シーズン途中に巨人の一員となり、先発として内容のある投球を見せている


 登板を重ねるたびに、首脳陣の信頼を高めていく。巨人のV奪回に向けて必要なピースになっているのが、シーズン途中に加入した小笠原慎之介だ。

 異様な雰囲気に包まれても、心に揺るがない強さがある。8月16日の中日戦(バンテリン)。帰国後初の古巣の本拠地での登板に、中日ファンから大きなブーイングが浴びせられたが、表情を変えずにアウトを重ねていく。初回二死一、二塁のピンチを招いたが、石川昂弥をフルカウントから内角低めの148キロ直球で見逃し三振。1点リードの3回も二死満塁のピンチを背負ったが、石川昂を真ん中低めのチェンジアップで遊ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。

 相手右腕の柳裕也も7回まで1失点の好投だったが、7回3安打無失点の快投で緊張感あふれる投手戦を制した。試合後のお立ち台では「柳さんは素晴らしいピッチャーなので投げ負けないように意識はしました。目の前のアウトを一つひとつ取ることだけを意識して、大城(大城卓三)さんが引っ張ってくれたので本当に良かったです」と感謝を口にした。

チームが必要としてくれる熱


 直球は145キロ前後と決して速くないが、チェンジアップ、ナックルカーブ、スライダー、カットボールと多彩な変化球を操り、打者のタイミングを巧妙に外す。際立つのが制球力だ。投げミスが少なく、捕手の要求したコース、高さにきっちり投げ込む。5試合の先発登板で3勝2敗、防御率1.64。登板したすべての試合でクオリティスタート(先発が6回以上投げて自責点3以内)を記録している。

 大きな故障なく、シーズンを投げ抜くイニングイーターとしての働きぶりは以前から高く評価されていた。中日で2021年から4年連続規定投球回をクリアし、24年オフにポスティングシステムを利用してナショナルズに入団。先発ローテーションの一角を狙ったが現実は厳しかった。昨年は主に救援で23試合に登板して1勝1敗、防御率6.98。今年は招待選手でメジャーのスプリングキャンプに参加したが、3月にマイナーに降格。シーズン開幕後も2Aハリスバーグで過ごす時間が長かった。

 メジャー昇格が叶わない中、6月17日に巨人と契約を結んだことが発表された。週刊ベースボールのインタビューで決断の理由について、以下のように語っている。

「正直に言えば2Aにいる選手を獲るチームはないだろうという心構えだったんですけど、それでも『欲しい』と言ってくれた。チームが必要としている熱が、ジャイアンツが一番大きかったということです」

すぐにチームに溶け込んで


 阪神と首位争いを繰り広げる巨人だが、先発陣は決して盤石とは言えない。開幕から先発ローテーションを守ってきたドラフト1位左腕・竹丸和幸が夏場に入って疲れが見え始め、右肩コンディション不良から7月中旬に復帰した山崎伊織も無理をさせられない。その中で、小笠原が先発の一角に定着すれば大きなプラスアルファになる。シーズン途中の移籍は難しい部分があるが、チームに合流すると笑顔で積極的にコミュニケーションを取る姿が見られた。

「チームが変われば求められるものも違いますし、チームの雰囲気も変わります。そもそも名古屋と東京でもそれぞれに街の雰囲気がありますし、アメリカは文化も全然違うわけですから、いろいろなニュアンスが変わってくる。そういうものを感じながらやっています。(中日で同僚だった)ライデル(ライデル・マルティネス)がいてくれたので、チームにスッと入ることができたような感じで本当に感謝しています。現役ドラフトができたり、他球団から移籍するということが活発化しているので、ジャイアンツ一筋ではない選手も多いじゃないですか。僕が考え過ぎていただけというのはあるかもしれないですけど、チーム自体にそうした雰囲気があったので助けてもらうことができました」

 東海大相模高で3年夏に甲子園で全国制覇を飾ったが、プロ入団後は優勝の経験がない。チームメート、スタッフと歓喜を味わうために左腕を振り続ける。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング