苦戦の要因である抑え不在
春先の快進撃から一転、苦しい戦いが続いているのがヤクルトだ。
8月23日の
中日戦(バンテリン)に2対3で敗れて同一カード3連敗。中日戦は6勝13敗と2年ぶりの負け越しが決定。5月終了時点で最大貯金が11あったが、6月以降は19勝40敗と大失速し、今季ワーストタイの借金10にふくれがあがっている。
苦戦の要因になっているのが、試合を締めくくる投手が決まらないことだ。直近の試合でもダメージの大きい敗戦が続いている。18日の
阪神戦(京セラドーム)では1点リードの9回に
清水昇を投入したが、
佐藤輝明、
大山悠輔に2者連続アーチを浴びて逆転サヨナラ負け。19日の同戦も、先発の
山野太一が8回まで無失点に抑えたが、1点リードの9回に起用した
廣澤優が佐藤輝に同点適時打を浴びると、延長10回に
星知弥が大山のサヨナラ犠飛で力尽きた。22日の中日戦(バンテリン)は同点の延長10回にヘスース・
リランソが一死満塁から
細川成也に押し出し死球を与えてサヨナラ負けを喫した。
「ヤクルトの雰囲気が大好き」
開幕ダッシュに成功して白星を積み重ねた原動力が、今季から新たに加入した守護神のホセ・キハダだった。常時150キロを超える直球が投球全体の80%を超えるというスタイルで三振の山を築く。開幕から5月下旬まで17試合連続無失点をマーク。キハダがマウンドに立つとファンのボルテージも上がり、背中を後押ししていた。
だが、相手球団も当然研究してくる。6月以降は自慢の快速球で痛打を浴びる場面が目立ち、7月下旬に3試合連続救援失敗で8月5日に登録抹消に。38試合登板で2勝7敗21セーブ2ホールド、防御率3.89と成績が悪化していた。
キハダは週刊ベースボールのインタビューで、ヤクルトで1年でも長くプレーすることを熱望している。
「交流戦の間は連敗も重なって、チームの雰囲気も少し落ち込んでいるような空気感がありました。それでもいつも明るい、ヤクルトの雰囲気はものすごく大好きです。一人ひとりのプレーヤーもすばらしい選手ばかりなので、それぞれの選手にリスペクトを持っています。この先もずっとヤクルトに残ってプレーできたらいいなと思っています」
「まずは、『日本で野球をする』という機会を、最初に与えてくれた球団であるということ。そして実際に、すごく居心地がいい。それも大きな理由です。できる限り、この球団でプレーしたい。そう願っています」
指揮官に対する感謝
異国の地で成功したいという思いは、マウンド上の行動にも見える。死球を当てた際にはすぐに帽子を取って打者に謝る姿が。チームメートの
ホセ・オスナ、
ドミンゴ・サンタナから助言を受け、日本の文化に溶け込むことが成功につながると信じている。
池山隆寛監督に対する感謝の思いも、口にしている。
「池山監督から驚かされたことがあります。それは、フォアボール一つにしても、ヒット一つにしても、ホームラン一つにしても、いつも表情が豊かで、すごく楽しそうで、幸せそうな表情を浮かべていることです。試合中も、いつもチームを鼓舞してくれるエナジーを持った監督で、『監督のためにも勝てるように頑張りたい』と思わせてくれます」
「『野球を楽しむ』ということが一番大事だと、自分も思っています。そういう意味では、池山監督のようなエナジーあふれた監督と自分はすごくマッチしています。大事なことは、プロとしてしっかりとそのエナジーを周囲に伝えて、『絶対に勝とう』といういい雰囲気をつくること。そのために最大限のエナジーを使っていくということだと思うので、僕としても非常にやりやすいです」
シーズンは残り32試合。厳しい戦いが続いているが、3位・
DeNAに0.5ゲーム差と熾烈なCS進出争いを繰り広げている。キハダは守護神として再び復活し、来年の契約延長を勝ち取れるか。チームの命運を握るキーマンの一人であることは間違いない。
写真=BBM