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苦難の時期を乗り越えて正捕手奪回 逆転優勝のカギ握る「攻守の要」は

 

24、25年と出場試合数は減少


貴重な打てる捕手として今季は存在感を発揮している大城


 巨人が8月26日のヤクルト戦(神宮)で逆転勝利を飾った。同点で迎えた9回に甲斐拓也が勝ち越しの1号ソロ。ナッシュ・ウォルターズの高めに入ったカットボールを左翼席へ運んだ。今季14打席目での初安打が、値千金の勝ち越し弾に。首位の阪神が敗れたため、1.5ゲーム差に接近した。

 甲斐は今季8試合出場のみとファーム暮らしが長かった。ソフトバンクで球界を代表する捕手として活躍し、巨人に2025年にFA移籍して正捕手として期待されたが、厳しい現実を突きつけられる形に。捕手のレギュラーは1人しかいない。この男もかつては出場機会が減少したが、苦難の時期を乗り越えて正捕手を奪回した。甲斐の活躍は大きな刺激になるだろう。逆転優勝のカギを握る司令塔が、大城卓三だ。

 球界で希少価値の「強打の捕手」として評価を高め、23年に134試合出場で打率.281、16本塁打、55打点をマーク。2度目のベストナインを受賞した。打撃がフォーカスされるが、21年にリーグトップの盗塁阻止率.447を記録。フレーミング技術、ブロッキングにも定評があり、正捕手としてステップアップするとみられたが、阿部慎之助前監督が就任した24年は打撃不振が影響して96試合出場にとどまった。復活を期した昨年も先発マスクをかぶったのは3試合のみ。プロ入り以来最少の56試合出場にとどまり、打率.187、3本塁打、10打点で存在感が薄れていた。

ライバルとの争いを勝ち抜いて


 岸田行倫、甲斐、小林誠司に加え、成長著しい山瀬慎之助とライバルは多い。打力を生かして一塁での起用法が増えたが、大城は捕手にこだわった。今年は開幕一軍のメンバーに入ると、4月5日のDeNA戦(東京ドーム)で1点差を追いかける7回二死一、三塁の好機に代打で出場し、右翼席に起死回生の逆転3ラン。この一撃で波に乗った。

 3、4月は11試合出場で月間打率.417、2本塁打、6打点をマーク。5月に入ると岸田に代わって先発マスクが増え、23試合出場で打率.324、2本塁打、8打点とポイントゲッターとして活躍した。6月以降は下降線をたどった時期があったが、打てなくても守備で貢献できる。投手と積極的にコミュニケーションを交わし、身振り手振りで配球の意図を伝える。ドラフト1位左腕の竹丸和幸、新外国人のブライアン・マタスペンサー・ハワード、シーズン途中加入の小笠原慎之介など、好リードで新戦力の能力を引き出している。

 今季は84試合出場で打率.272、8本塁打、32打点。得点圏打率.328と殊勲打が目立つ。規定打席に到達していないが、OPS.810は阪神の佐藤輝明森下翔太に次いでリーグ3位に該当する数字だ。「五番・捕手」で出場した8月20日のDeNA戦(横浜)では3本の適時打を放つなど自身3年ぶりとなる4安打3打点の大暴れ。リード面でも5投手をリードし、マタの来日初勝利をアシストした。

重要なのは「勝てるキャッチャー」


 複数の捕手が起用される併用制が現代野球のトレンドとなっている中で、現役時代に横浜(現DeNA)、中日で不動の正捕手として史上最多の2963試合に出場した野球評論家の谷繁元信氏が「令和の捕手論」について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「一番いいのはメインのキャッチャーが80、90%守って、あとは何人かのキャッチャーで10、20%をまかなう。これがベストだと思います。ただ、いまは併用制の時代です。メリットと言えば、例えば1カード3試合すべてで違うキャッチャーがマスクをかぶれば、違う配球パターンで相手打線と戦うことができる。これはメリットになる可能性もあるということです。ただ、デメリットは流れをつかめていけないこと。3連戦だけではなくて、シーズンを通して考えた場合、1年間の流れがなかなかできていかない。ただ、1人に無理やりマスクをかぶらせ続けても、逆にそれがデメリットになる可能性がある。そこはベンチワークというか、キャッチャーの状態を見ながら、あとは相性などで使い分けていく。併用しているチームは、そこが一番大事なんじゃないですかね」

「ただ単にマスクをかぶっているだけではダメなので。重要なのは勝てるキャッチャーかどうかということ。この点をしっかり判断してペナントを戦っていかなければいけません。もちろん、最初は無理して使っていかないと、いろいろなことを覚えないということもあります。本当の正捕手をつくり上げるために、そういったことが必要な場合もあります」

 チームを勝たせてこそ、捕手は存在価値が高まる。攻守のキーマンである大城の活躍は、巨人の逆転優勝に不可欠な要素だ。

写真=BBM
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