登板前に尽くす最善の準備

今季もエースとして先発陣をけん引する投球を見せている東
2ケタ勝利を挙げることは難しい。そして、それを続けることはさらに難易度が上がる。相手のマークが厳しくなる中で、4年連続2ケタ勝利を達成したのが
DeNAのエース・
東克樹だ。
8月19日の
巨人戦(横浜)で、7回5安打無四球無失点の快投で10勝目をマーク。右打者にチェンジアップ、左打者にスライダーを効果的に使い、抜群の制球力で凡打の山を築いた。得点圏に走者を背負ったのは2回の一度のみ。今季5度の対戦で全敗と苦手にしていた
井上温大との息詰まる投手戦を1対0で制し、球団の左腕で史上初の4年連続2ケタ勝利を達成した。26日の
広島戦(マツダ広島)は6回5安打1失点(自責点ゼロ)。気温が上がるタフな環境の8月に4試合登板で3勝0敗、防御率1.29と抜群の安定感を誇る。
コンディションを整えるために最善の準備を尽くす。「お酢を水で割って飲むようにしています。毎日15〜30ミリリットルぐらいを水に溶かして飲んでいます。あとはハチミツを直接食べています。スプーン1杯とかですね。体を酸化させない、かつエネルギーをしっかり蓄えられるように。そういった部分でコンディションを整えられたらと思います。体が軽いですし、目覚めも変わってきているんじゃないかと思います。状態自体は継続していいんじゃないかと。シーズンはまだまだありますから、勤続疲労にどう対処していくか。そういったことを考えなければいけない年齢になってきているので、意識して栄養を取るようにしています。栄養士に話を聞くときもありますよ」と明かしている。
白星に重きを置かない
東の登板する試合にはバックネット裏にメジャーのスカウトの姿も。メジャー関係者は「侍ジャパンでWBC、五輪などに選出されていないのが不思議。日本球界を代表する左腕でしょう。打者を抑える引き出しが多く、常に安定した投球を続けている」と高く評価する。
23年に16勝、25年に14勝と2度の最多勝を獲得。だが、自身の白星にそこまで重きを置いていない。「勝つということは、僕自身の力だけじゃ無理なんで。日本は特に勝敗がすごいフィーチャーされる。どうしても負けたら言われますし、勝てば褒められるという日本の文化だと思うので、それは仕方ないことだと思います。それよりも僕は長いイニングを投げること。たとえ負けたとしても、8回3失点、7回2失点で負けても、そこまでメンタル的には来ないんです」と週刊ベースボールのインタビューで語っている。
全試合で目指すQS
昨年は24試合登板でQS(クォリティ・スタート、先発投手が6回以上投げて自責点3以内)がリーグ4位タイの18試合だった。
「もう少しやれたかなっていうのはありますね。中継ぎの大変さを考えると、いかに先発が長いイニングを投げて、次の負担を減らしてシーズンを戦えるかが非常に重要だと思うんです。先発が長いイニングを投げられるチームは、必然的に強くなっていく。先発はいつでも6回以上は投げたいですよね」
「全試合でQSを目指すというのが、僕の中での一つの目標ですかね。それができれば投球回数も180イニングぐらいが見えてくると思います。勝ち負けはそのあとのこと。僕一人ではどうしようもないので。0点に抑えても、バッターも相手投手があってのことなので点が取れないこともある。逆に僕が5点取られても、味方が6点取ってくれて勝てることもある。自分だけではどうしようもできない部分なので、自分のできることにフォーカスしていきます」と信念を口にしていた。今季は20試合登板のうち、9割の18試合でQSを達成。ゲームメーク能力がさらに上がり、リーグ4位の130イニングとタフネスぶりを発揮している。
チームは借金9の3位で最下位・広島まで3.5ゲーム差。CS進出を巡って4球団が争う混戦となっている中、白星を積み重ねることに集中する。エースが投げる試合は、当然負けられない。
写真=BBM