先発から救援に配置転換

巨人で思うような結果を残せていない則本。シーズン最終盤で復活できるか
巨人の
則本昂大がシーズン途中に先発から救援に配置転換された。8月25日の
ヤクルト戦(神宮)に先発したが3回途中4失点と結果を出せず、中3日で29日の
阪神戦(甲子園)で3点ビハインドの8回にマウンドへ。FA移籍後初めての救援登板で1回1安打無失点に抑えた。
新天地で開幕ローテーションを勝ち取ったが、好不調の波が激しい。6月9日の古巣・
楽天戦(楽天モバイル)で7回途中2失点に抑えて12球団勝利を達成したが、7月9日の阪神戦(東京ドーム)で5回10安打8失点と打ち込まれて4敗目を喫した。1カ月の登板間隔が空いたため調整に難しさがあったかもしれないが、右腕は責任を背負い込んだ。ファームで1カ月半の調整期間を経て救援要員で一軍昇格の予定だったが、
山崎伊織が右肩のコンディション不良で急遽登録抹消されたため、8月25日のヤクルト戦に緊急先発。結果を出したかったが、高めに浮いた球を痛打されてリズムに乗れない。初回に
長岡秀樹に先頭打者アーチを浴びると、2回も
赤羽由紘に直球を左翼席に運ばれた。3回は3安打を浴びて2失点。スコアボードに一度もゼロを刻めず降板した。
ファンは全盛期の姿を知っているだけに、期待値が高くなる。楽天では新人から6年連続を含む8度の2ケタ勝利をマーク。剛速球とキレ味鋭いスライダーを武器に最多奪三振のタイトルを2014年から5年連続獲得した。不動の守護神として活躍した
松井裕樹が海外FA権を行使してパドレスに移籍したため、チーム事情で抑えに配置転換された24年はリーグ最多の54試合登板で32セーブを挙げて最多セーブのタイトルを獲得。セーブ成功率91.4%はリーグトップの数値だった。
野球人生の大きな決断
野球人生の大きな決断を下したのが昨オフだった。メジャー挑戦を見据えて海外FA権を行使したが、獲得に向けて熱意を示した巨人に3年総額13億円で入団を決断。13年間プレーした楽天に別れを告げて新天地に挑戦した理由について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「おそらくFAの権利を行使するのは最後になるだろうという思いが自分の中でありました。その中で海外FA権を持っていたので、海外も含めてチャレンジしてみたいという思いと、何か環境を変えなければこれ以上の成長はないのかなと感じていた部分もあったので、権利を行使しようと思ったのが始まりです。移籍の決断については海外からのオファーがなかったわけではないんですけど、ジャイアンツからもオファーをいただいて、最後は僕がジャイアンツのために頑張りたいと思い、決断に至りました。1月に入ってからは本当に数時間単位で、『こっちがいいんじゃないか』『こっちにしようかな』というブレがありました。それだけに最後はジャイアンツへの移籍が決まってホッとしたというか、向くべき方向が決まったことで、スッキリした気持ちにはなりました」
投球スタイルの変化は必要か
今季は11試合登板で2勝4敗、防御率5.27。決して満足できる数字ではないが、まだシーズンは続く。救援陣の登板過多が懸念される状況で、
ロングリリーフにも対応できる則本が好投を続ければチームに大きなプラスアルファをもたらす。一方で、気になるのは奪三振能力の低下だ。54回2/3で36奪三振は少なく感じてしまう。楽天時代の22年以降から低下傾向にあり、35歳という年齢を考えると投球スタイルの変化が必要だろうか。
「奪三振のタイトルを獲っていたときと比べれば、そこまで執着心はなくなったんですけど。それでも獲れるに越したことはないですし、どんな状況においても三振というのが一番リスクの少ないアウトの取り方だと思っているので、獲りたいときに獲れるという能力は常に磨いておかなければなりません。そこは自分がキャリアを終えるまで、信念として持っておきたいなという感じです」と話す一方で、「ただ、年齢を重ねてきて体の負担を考えたときに、例えばゴロを打たせていったほうがいいとか、そういう状況も増えてくると思う。自分がこのままではいけないと感じたら、スタイルを変えることもあるかもしれません」とも語っている。
楽天時代を取り戻すのではなく、巨人で新たな則本昂大を構築する。その挑戦は始まったばかりだ。
写真=BBM