攻守の中心になるべき選手

9月は打率4割超と再び打撃の調子を上げてきている中川
オリックスは借金5で3位・
日本ハムと11.5ゲーム差。逆転でのCS進出が厳しい状況となったが、可能性がある限り戦い続ける。その中で、もう一度存在感を発揮したいのが
中川圭太だ。
今季は111試合出場で打率.252、6本塁打、33打点。春先は好調だったが6月以降は打率が下降線をたどり、8月は月間打率.190と打撃不振に。スタメンから外れる試合も出てきている。
本来なら攻守の中心にならなければいけない選手だ。昨年は119試合出場でリーグ3位の打率.284、自己最多タイの12本塁打をマーク。一番から九番までの打順で役割を果たし、外野手で自身初のベストナインを受賞した。自己ベストの成績を残した背景には、思考の変化があった。一昨年は太腿を2度負傷して60試合出場にとどまったが、この長期離脱が打撃面で大きな転機になった。週刊ベースボールの取材で、以下のように語っている。
「2022年からずっと一軍にいましたが、そのときには得られなかった練習方法やトレーニングを昨季はできました。打撃の方向性も見えた、すごくいい期間だったんです。野球を始めてからずっと、ピッチャーに対してどの方向に打とうと決めて、その中で対応してうまくコンタクトをしていくという感覚でやってきました。こういう打球が打ちたいから、こういう体の使い方をするという考えでしたが、今はこういう体の使い方をすれば、こういうスイングができた。だからこういう打球になったという感じですね。根本のところから真逆のことをやっています」
「ぱっと思いついたんです。やってみたら、そのほうが体がうまく動いたんです。プロで成功している人はもともと、そういう考えかもしれませんが、僕の中では野球を始めてから、初めての感覚なんです」
「無敵の中川」の異名
中川を支えてきたのは「考える力」だ。ドラフト7位で東洋大から入団すると、1年目の交流戦で打率.386を残し、新人で史上初となる首位打者を獲得。その後も四番を打つなど中軸を任される試合が多く、111試合で打率.288、3本塁打、32打点と活躍した。20年は当時の
中嶋聡二軍監督が一軍監督代行として指揮を執った8月21日の
西武戦(京セラドーム)で「四番・中堅」に抜擢された。指揮官は「もう期待しかありません。僕は(二軍で)無敵の中川を見ていましたので。今の成績とは関係なく、まったく新しい中川だと思って使っています」と評価。「無敵の中川」という異名がファンの間で定着した。
原点は泉佐野シニア時代
原点は泉佐野シニア時代にある。PL学園高時代に
松井稼頭央(前西武監督)と同級生だった田中和人監督の指導で、打撃練習で竹バットを使っていた。芯の部分が狭いため、きっちりミートしなければ手がしびれる。金属バットは禁止で、当時は冬場でも手袋をはめず、ボールを芯でとらえる感覚を磨いた。田中監督は中川の野球に取り組む姿勢を高く評価していた。
「将来は、行けるところまで行きたいと考えていたようで、意識は高かったですね。今は手袋も使っていますが、痛みでバッティングを覚えさせていました。芯に当たればバットを全力で振らなくてもボールは飛んでいくことが分かりますし。当時から圭太(中川圭太)の探求心は強かった。こうしたらどうなるかを常に考えていました。型にはめるのは嫌なので、崩れてもいいからやってみればいい、と見ていました。飲み込みは早くないのですが、理解は早く右打ちやコンタクト、バットコントロールは当時から光っていました」
オリックス入団後は22、23年といずれも規定打席に到達してチームの優勝に大きく貢献。プロ8年目の今年は7月26日に国内FA権の資格取得条件を満たした。ドラフト7位から入団して勝ち取った権利は大きな価値がある。野球IQが高く、残している数字以上に存在価値が高い。オフの去就が注目されるが、今はシーズンに集中する。同じ外野手の
来田涼斗など若手が台頭しているが、まだまだ負けられない。切磋琢磨して白星を積み重ねる。
写真=BBM