結果を残すも現状に満足しない

高卒1年目と思えない打撃で高い期待を集める横田
西武の高卒1年目のプロスペクト、
横田蒼和の一軍デビューが、着実に近づいている。ここまでファーム・リーグ中地区で85試合に出場し、打率.313、5本塁打、48打点。同地区だけでなく、ファーム全体の首位打者に立ち、唯一の3割打者として存在感を放っている。
すい星のごとく現れたドラフト5位ルーキーは、現在の手応えをこう語る。
「思った以上に結果がついてきてくれていると自分の中では思っています。その中でも感覚の部分はまだ悪い日もあるので、そこはもうちょっと毎日いい感覚が続けられるようにしていきたいなと思っています」
結果を残しながらも、18歳は現状に満足していない。
「守備、走塁のところはいっぱい課題があって、バッティングの中の課題で言うと、毎日違う打ち方になってしまう。感覚がその日によって変わってしまうっていうのがあるので、いい感覚を毎日なるべく続けられるようにしていきたいです」
自らの課題を明確に言語化し、日々の練習に向き合う姿勢を、
小関竜也ファーム監督も評価している。
「気持ちのブレが少ない。結果によって一喜一憂することがない。考え方もしっかりしているので、自分のやるべきことをしっかりやっていける」
高卒1年目らしからぬ対応力
技術だけではない。すべてのベースとなる性格面も含め、高卒1年目らしからぬ対応力を見せている。
その一つが、追い込まれてからの打撃だ。
「ツーストライクアプローチについては、高校のときからやっていました。最近、だんだん三振が増えてきているんですけど、その中でもできる最低限はできているのかなとは思います」
横田が明かす、追い込まれてからの基本形は「逆方向」だ。
「バットを短く持って、逆方向を意識しています。インコースも逆方向にファウルを打つ打席も今は増やしていっています。もともとはそのインコースもファウルにするということを高校のときはやっていて、ライオンズに入ってからも、初めはそうだったんですけど、やっぱりそれだけだと全部ファウルになってしまうので。それだとヒットが出ないというところで、だんだん(対応を)変えていって、最近は三振が増えてきてしまった(297打数で46三振)というところです」
課題と向き合いながら、試行錯誤を続ける。だからこそ、打率.313という数字にも成長の過程が表れている。
「順位が決まったときに呼ばれると思う」
そんな横田に、今シーズン中の一軍デビューが現実味を帯びてきた。
潮崎哲也シニアアドバイザーは、ファームで確かな結果を残す横田について「思ったより体も高校生っぽくない。しっかりしているから、その意味では次のステップに進んでもいい」と評価。さらに、一軍昇格の時期について、こう語っている。
「普通に行ったら、今年の後半に一軍に上がると思う。もちろん最終戦まで(一軍が)順位を争っていたら難しいと思いますけど、順位が決まったときに呼ばれると思います」
現在、一軍はクライマックスシリーズ進出をかけた争いの真っただ中にある。その戦いが一段落したタイミングで、横田に一軍昇格のチャンスが巡ってくる可能性は十分にある。これまでも西武では、ペナントレースの順位が決まった時期に、経験の浅い若手を一軍に昇格させ、実戦経験を積ませるケースがあった。
ただ、横田の場合は少し意味合いが違う。ファームで打率.313という確かな数字を残し、実力で一軍への扉をこじ開けようとしているのだ。高卒1年目で一軍デビューを果たせば、西武では、2014年に一軍デビューを飾り、デビュー7試合目から3試合連続本塁打を放った
森友哉以来となる。
今季中の一軍デビューの可能性について、横田自身は「まだ何も言われてはないんですけど」と前置きした上で、こう語った。
「上がれる機会があったら、本当に全力でプレーしたいなと思っていて、上がれるまではしっかり二軍で結果を出し続けることを考えてやっていきたいです」
すでに視線は一軍にも向いている。
「やっぱり一軍で勝利を稼いでいるようなピッチャーと対戦したいです。
伊藤大海投手(
日本ハム)とか。そこで、今の自分を1回試してみたい。(ファームでは)
楽天で投げている
泰勝利投手の真っすぐはやっぱり強いなと思いました」
投高打低と言われる時代に、ファーム全体でただ一人、打率3割を超える高卒1年目の18歳。結果を残しても浮かれることなく、自らの課題と向き合い、試行錯誤を続ける。次に立つ舞台は、一軍か。
西武の未来を担うプロスペクト、横田蒼和。その「一軍デビューの日」が、少しずつ近付いてきている。
文=伊藤順一 写真=BBM