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【東京六大学野球】リーグ戦を動かす「連盟チーフ」を務める4年生主務の役割とは何か

 

神宮初観戦での感情の変化


2026年の当番校は明大であり主務・島抜は連盟チーフとして、東京六大学マネジャーのリーダー役を担っている[写真=BBM]


 東京六大学秋季リーグ戦が9月12日、神宮球場で開幕した。リーグ戦運営の中心にいるのは、学生マネジャーだ。誰よりも朝早く到着して試合の準備を始め、ゲーム後は片付けをして、球場を出るのは最後である。連盟事務局との間に入る「連盟チーフ」は、6年に1回の輪番制である当番校の主務が務める。2026年は明大が当番校で、島抜康介マネジャー(4年・日立一高)がこの大役を担う。春のリーグ戦を経て、秋は締めのシーズンだ。

「昨年は連盟結成100年、今年は神宮球場100年という節目の年にリーグ戦の運営に携われているのは貴重な経験です。この秋のラストシーズンも、しっかり無事に終えられれば、自分としては使命を果たしたことになると思うので、そこは常に心がけています。当たり前のことを、当たり前に。目の前の仕事を、忠実にこなしていきたいと思います」

 日立一高(茨城)ではベンチ入りした2年秋以降は、三塁コーチ(内野手の控え)を任されていた。判断力が問われる重要ポジションで、チームからの信頼の証しだった。3年夏に引退した段階で、野球は高校で一区切りと決めていた。同夏以降、指定校推薦での明大入学が決まり、新たな分野を模索。自分探しをしていた2022年秋、島抜は初めて神宮球場に足を運んだ。

「高校までに野球での縁、野球でつながった人たちがいるので、何か生かせないかなと考えていた矢先、明治の野球を見て、このチームに関わりたいと思ったんです。当時の4年生は主将・村松(開人)さん(中日)の年代です。高校3年間は女子マネジャーの献身的な姿勢を見て、人のために汗を流すこと、人のために動くことの大切さを感じてきました。自分自身、野球選手としての技術はなかったので、いろいろな人と関わりを持って、自分の強みを生かし、別の形で野球部に携わるにはマネジャーかな、と。天職だったのかもしれません」

 島抜は一般入試、指定校推薦、付属高校出身を対象とした練習会参加。その後、指導者との面談を経て野球部に入部した。1年時から異例とも言える現場の最前線に立ち、マネジメント業務を遂行。来客、マスコミ対応、寮管理、用具管理、財務管理のほか、マネジャーの役割は多岐にわたる。島抜はマネジャーとして最も必要な資質である「目配り、気配り、心配り」に長けており、下級生時代から指導スタッフから全幅の信頼を受けていた。最終学年では満を持して、当番校の連盟チーフとして、加盟6校のマネジャー陣を一つに束ねているのである。

 この夏は「第1回ワールドカレッジベースボールチャンピオンシップ」(台湾)における、侍ジャパン大学代表の学生マネジャーを務め上げた。マネジメント能力が認められたのである。

「日本を背負うというのは、今までにはない経験ですし、責任の重みも違いました。首脳陣、チームスタッフ、選手の協力もあり、人生において自信になりました」

「虎の巻」を作成


リーグ戦は多くの裏方の尽力によって運営されている[写真=矢野寿明]


 大学4年間、マネジャー業務を全うし、明大卒業のタイミングで野球界から離れる。不動産業界へ就職する。

「振り返れば4年前、歴史と伝統のある明治大学野球部に入部するのも、自分の中では挑戦というか、一歩、勇気を振り絞って踏み出した感じがあったんです。社会人野球でマネジャーを続ける選択肢もあったかもしれませんが、社会人ではまた別の分野でチャレンジしたいという思いが芽生え、就職活動を進めてきました。この大学4年間でいただいたつながりを大事にしながら、新たなフィールドで挑戦できればなと思います」

 今春、明大は2位。昨秋以来の天皇杯奪還に燃え、チームへのサポートをより強化する。

「全員が日本一の目標に足並みをそろえて取り組んでいるので、主将の福原(福原聖矢、4年・東海大菅生高)を軸に、まとまりが出てきていると実感しています。あとは形にするだけです。選手たちには一層、頑張ってもらい、自分自身も発破をかけていこうと思います」

 試合中は記録員としてベンチ入りし「一番、声を張っています」と、チームを鼓舞。だが、試合が終われば連盟チーフの顔に戻り、喜怒哀楽を表に出すことはせず、冷静に目の前の作業に当たる。連盟チーフに限らず、運営に携わるマネジャー全員の「鉄則」だ。

 さて、島抜にはもう一つ、大事な任務が残っている。明大におけるマネジャーマニュアルの作成だ。これまでの一部業務では、行き当たりばったりの面があった。戸惑った下級生時代の経験から、1年間の動きを冊子にまとめるという。主務の島抜に加え、4年生の酒井菜々花(竜ケ崎一高)、平野凪乃香(桐朋女子高)の最上級生マネジャー3人が共同で作成する。総力を結集してまとめ上げた「虎の巻」は、今後も活動が続く明治大学野球部の大きな財産、宝になる。

取材・文=岡本朋祐
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