投打がかみ合い借金完済
阪神と巨人が熾烈な優勝争いを繰り広げているが、他球団から「今、セ・リーグで最も強い」と恐れられているのが3位のDeNAだ。
9月14日の巨人戦(横浜)は4時間43分の激闘に。両軍合わせて19人の投手をつぎ込む総力戦となり、延長12回に劇的なドラマが待っていた。難攻不落の
ライデル・マルティネスから先頭の代打・
松尾汐恩が右中間に二塁打を放つと、無死一、二塁から
古市尊が犠打を決めると、打球処理した
マルティネスの一塁送球が逸れ、二塁走者の松尾が本塁に生還。サヨナラ勝利となり、今季2度目の6連勝を飾った。
6月30日終了時点で27勝42敗2分けと今季最大の借金15を背負ったが、その後の58試合で36勝21敗1分けと巻き返して借金を完済。特に9月は9勝2敗と投打ががっちりかみ合い、絶好調だ。
チーム力を引き上げた新戦力
新戦力の活躍がチーム力を引き上げている。6月中旬に来日した
ヘラル・エンカーナシオンは広角に長打を放つ打撃技術と強肩が光る右翼の守備で、7月からの反転攻勢に不可欠な存在に。「長打力が強み。本塁打に注目してほしい。打点にフォーカスしてほしい。日本で活躍したい」と貪欲な姿勢で起爆剤になっている。
山本祐大とトレードで
尾形崇斗とともに
ソフトバンクから加入した
井上朋也の活躍も光る。ファームで打撃好調をアピールすると、9月に一軍昇格。9日の
ヤクルト戦(横浜)で
山野太一から2回に移籍後初安打となる中前打を放つと、6回に左翼中段に叩き込む移籍後初アーチとなる3ラン。翌10日は3回に
吉村貢司郎から逆方向の右翼席へ2試合連続の2ランで勝利に貢献した。ドラフト1位で入団したソフトバンクでは一軍に定着できず、新天地にかける思いは強い。

プロ初本塁打を放つなど打撃の状態が上がってきた井上
「チームの雰囲気には、ちょっと慣れました。自分の長所を生かして、伸び伸びやっていけそうだなと。そのようなことは、村田(
村田修一)二軍監督や相川(
相川亮二)監督から言われました。ソフトバンクから移籍するにあたり、いろんな方から声を掛けていただきました。『良かったな』って感じでしたね。自分次第で出場機会は増えると思うので。トレードは野球人生において分岐点になると思います。長所はバッティングです。ベイスターズはホークスと同じように、すさまじい打線だと思っているので、その打線に食い込んでいけるようにしたいです。左ピッチャーのときの起用が多くなると思うので、そこで結果を出す準備をしていきたいです」
「組織力が重要になる」
借金を完済して4位・ヤクルトと7ゲーム差に広げたことで、CS進出が見えてきた。DeNAは短期決戦に強い。2024年はレギュラーシーズンで3位からCSで阪神、巨人を撃破すると、日本シリーズでもパ・リーグの王者・ソフトバンクに2連敗から4連勝で26年ぶりの日本一に。破壊力十分の打線が得点を積み重ね、救援陣が安定したことが頂点にのぼりつめた要因となった。
勢いに乗ると手がつけられない強さがあるが、現在のDeNAは組織としても成熟してきている。今年から就任した相川亮二監督は開幕前に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。
「まず、ベイスターズの最大の特長は攻撃力です。そこが前提になります。攻撃力を伸ばしながら、守備力というところの技術の成長は、いつまでも止まることはない。その中には“状況判断”というところも入ってきますし、この部分はまだまだ改善していかなくてはいけません。あるシチュエーションがあって、そのときに全員が『この場面であればこうする』と一致した状況判断をできるようなチーム力、組織力が重要になります。キャンプでは、このすりあわせを全員でしてきました。全員が同じ状況判断をすることができれば、プレーの質が高まりますが、現在のチームはまだ向上の余地があります。何もすべてファインプレーをしてくれと言っているわけではなく、アウトにできるプレーは確実にアウトにする。『この場面であればこうだよね』という選択が個人個人で違う状態を埋めていく。それができなければチームとしての戦術も成立しないので、もっと改善していきます。もちろん、それは守備だけではなく攻撃においてもです」
強いチームはミスが少なく、打撃、守備、走塁とあらゆる局面で状況判断に優れている。6月まで苦しい戦いが続いたが、7月以降は投打にスキが減って安定した戦いを続けている。短期決戦で下克上を起こす可能性は、十分にある。
写真=BBM