昨年を上回る試合出場

2年目の今季、自身の新たな成長を感じている渡部
西武・
渡部聖弥が、ケガを通じた自身の成長を語っている。
2年目の今季、渡部はここまで
アレクサンダー・カナリオに次ぐチーム2位の118試合に出場。打率.253、112安打、9本塁打、44打点をマークしている。昨年は108試合で打率.259、110安打、12本塁打、43打点。2年連続で100安打に到達し、2ケタ本塁打にも王手をかけている。
渡部が感じる成長は、数字だけではない。「ケガの仕方」にも表れているという。新人では2017年の
源田壮亮以来となる「五番・三塁」で開幕スタメンを勝ち取った昨年は、開幕から11試合目の
日本ハム戦(エスコンF)まで打率.429と好スタートを切った。しかし、3回の走塁中に右足首をねん挫し、約2週間の離脱。復帰後の5月23日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)ではプロ初の2本塁打を放ったものの、今度は左足首をねん挫し、約1カ月の戦線離脱を余儀なくされた。
「去年は自分のケア不足で(足首を)捻ったり、自分発信のケガだった」
今季もケガに見舞われた。4月18日の日本ハム戦(エスコンF)では右手親指に死球を受け、骨折。公表は「右手親指打撲」だったが、登録は抹消されず、DHで出場しながら回復を待った。8月9日の
ソフトバンク戦(ベルーナ)では、守備中にイレギュラーした打球が左目の下に当たり、左眼窩底を骨折。約2週間の離脱を余儀なくされた。さらに復帰した25日の日本ハム戦(ベルーナ)では、二塁への走塁中に相手野手のスパイクが左膝上部に接触し、8針を縫った。

8月9日のソフトバンク戦ではイレギュラーした打球が左目の下に当たり、左眼窩底を骨折
それでも今季、戦列を離れたのは眼窩底骨折による約2週間だけ。チームが132試合を消化した9月16日時点で、昨年を10試合上回る118試合に出場している。
「今回は、死球を受けたり、イレギュラーした打球が当たったり、スライディングで相手と接触したりと、防ぎようのないもの。運が悪かったと思うだけです。昨年のようにケア不足が原因ではない分、成長かなと思います」
渡部には、試合に出続けることへの強い思いがある。
「休んだら後悔するんです。今は痛くても、2、3日経てば『痛いけどやれる』となる。離脱する悔しさの方が強いですね」
CS上位争いの緊張感
もちろん、負傷を抱えたまま出場するかどうかは、本人の意思だけで決まるわけではない。チームドクターが今後の野球人生への影響や後遺症の有無などを確認し、出場可能と判断したうえで、本人の意思も尊重される。4月の右手親指骨折の際もそうだった。
「親指にデッドボールを受けて、しびれて感覚がなかったんです。その状態で守ってゲッツーを取ったんですけど、グッと押し込んで投げてギリギリでした」
その後、患部が腫れ始め、
西口文也監督の指示で病院へ向かったところ、骨折が判明。それでもテーピングを施し、状態を確認しながら出場を続けた。
「1カ月はテーピングをして、少しずつ枚数を減らしていきました。守備に戻った時はテーピングの巻きが1、2枚になっていました」
ケガをしないことだけが成長ではない。防げるケガを防ぐために体を管理し、防ぎようのないアクシデントには、どうすればプレーを続けられるかを考える。渡部は、その経験を重ねている。
そして今季、渡部を突き動かしているのは、初めて経験するCS上位争いの緊張感でもある。
「体がしんどくなる中で、緊迫した試合が続きます。去年は消化試合だった時期に、こういう試合をものにしなければいけない。そこにやりがいを感じます」
ケガを乗り越えながら、出場を続ける。その積み重ねが、昨年にはなかったチームの戦いと、渡部自身の成長につながっている。
文=伊藤順一 写真=BBM